新入生のみなさん、ご入学おめでとうございます。

福岡教育大学の教職員を代表して、みなさんのご入学を心より歓迎いたします。

ご家族の皆様には、めでたく今日の日を迎えられましたことに、お慶びを申し上げます。

また、ご臨席を賜りましたご来賓の皆様にも厚く御礼を申し上げます。

 

みなさんが福岡教育大学での学びを始めるにあたって、まず、本学について紹介します。

本学の起源は、明治６年に設置された学科取調所（後の福岡師範学校）に由来します。第２次世界大戦後、教員養成は新制大学で行うという主旨のもと、昭和24年に、福岡県内にあったいくつかの師範学校を包括して、新制大学「福岡学芸大学学芸学部」として発足し、令和元年度に70周年を迎えました。その間、大学の名称を福岡教育大学に、学芸学部を教育学部に改称するとともに、それまで県内に分散していた大学キャンパスを赤間の地に統合移転しました。また、専門性の高い教員を養成するために、昭和58年に大学院教育学研究科を、平成21年に大学院に教職実践専攻を設置しました。そして、本年度より、北海道教育大学、大阪教育大学と本学との共同学校教育学専攻博士後期課程を設置することができました。

 

このような歴史と伝統をもつ本学は、我が国の教育界を支える優秀な人材を輩出してきました。九州・沖縄地方における教員養成の拠点大学として、生涯にわたり学び続ける有為な教育者を養成することを基本理念としている、ここ福岡教育大学で学ぶということは、共に学ぶ同級生、先輩や後輩、本学の教職員との触れ合いだけでなく、福岡県、そして九州・沖縄地方を中心として全国に広がる、本学の教員育成ネットワークに参加することを意味します。みなさんの先輩達は輝かしい活躍をしており、みなさんは、本学在学中はもちろんのこと、本学を卒業あるいは修了して、教員として就職した後も、学び続ける先輩達の背中を追いながら、成長していくことができるのです。

 

先輩達といえば、本学の、ここ数年の学部卒業生のデータによりますと、正規教員としての就職者数も講師を含めた教員としての就職者数も全国トップクラスにあるとともに、教員就職率も高いレベルを維持しておりまして、本学は教員就職者数と教員就職率がともに高い教員養成大学であると自負しております。新入生のみなさんも、先輩達に続いて、ご自身の夢の実現に向けて邁進する学生生活を送ってください。

 

本学では、令和５年度入学のみなさんから適用しているカリキュラム改革を行いました。それは、新たな時代に対応した教員養成を実現するために学位プログラム制を導入し、複数の教員免許取得を可能とするものですが、それを、受け身でこなしていくだけでは、自分の本当の力にはなっていきません。みなさんは、ご自身の目指す教員像に応じて自らの学びをデザインしながら、主体的そして自立的に学んでください。

　

正課外の活動にどのように取り組んでいくかということも大切です。主体的で自立的な学びの姿が最もよくあらわれるのが、ボランティア活動です。本学では、全ての学生がボランティア活動に参加できるよう、支援しています。部活動やアルバイトなどからも、社会性などの資質・能力を得るチャンスはありますが、「楽しいから」とか「好きだから」とか言って、易きに流れることなく、将来の教職生活を見据えた、主体的で自立的な学びを期待したいと思います。

 

教職という仕事は、子どもたちの人間形成にとって、最も大きな貢献をするものです。教師の一言が子どもの人生を大きく決定づけることも少なくありません。みなさんの中で、ご両親や親戚の方々の中に、教師をなさっている、あるいは、なさっていた方がおられる人も多いのではないでしょうか。中には、前身の師範学校や福岡学芸大学を含めて、本学の卒業生、つまりみなさんの先輩という場合もあるかもしれません。二代、あるいは三代にわたって教師をめざす、このことも、教職という仕事の魅力を示しているように思います。

 

教職という仕事の魅力についてお話ししてきましたが、子どもたちの人間形成にかかる大きな責任をあわせて担っていることも忘れないで、本学での学修に取り組んでください。とりわけ、子どもに対するいじめや様々な人権侵害が課題となる中、人権尊重の理念に立った学校教育を担う教師となるために、人権教育について深く学ぶことを期待しています。先ほどは、教員就職者数や教員就職率といった、教員養成の量に関する成果をお話ししましたが、本学では、カリキュラム改革やボランティア活動の推奨等によって、教員養成の質も向上させて、子どもたちの学ぶ権利を最大限に保障できる教師を学校現場に送り出しているのです。

 

教職という仕事に魅力を感じ、あわせてその責任を自覚して本学に入学されるみなさんは、これから始まる、本学での学びの中で、あるいは学校ボランティアの活動に打ち込んでいく中で、子どもたちの成長に最も大きな貢献をする教師としての自信と誇りが持てるようになることを、心から期待しています。

志を秘め、謙虚に学び、勇気をもって、教職へとつながる学生生活をスタートしてください。本学での学びが、みなさんの夢の実現に寄与できることを祈念いたしまして、わたくしの式辞といたします。