平成14年7月1日(月) 17:00〜19:00
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since Jun. 28, 2002

 我が国の高等教育において障害者への門戸を開放する機関は増加しているものの入学後の学習支援は個別の大学や学生個人の自助努力にまかされてきた。現在、その支援の輪を広げ協力して取り組もうという姿勢が各地でめばえつつある。本研修では、SCS(スペースコラボレーションシステム)を利用して、問題関心を共有する各地の大学を繋ぎ、障害を持つ学生が直面している問題やその解決策などを議論する。SCSのテレビ会議システムは、移動困難な人には遠隔地の人々との交流を容易にし、聴覚や視覚に障害を持つ人には手話や音声をとおしてより自由なコミュニケーションを提供する。障害者への学習支援の問題を討議すると同時に、障害者にとってより有意義なSCSの活用法を模索したい。

話題提供者

話 題 提 供 者          話     題 関 連 事 項
花熊 暁(愛媛大学) 愛媛大学の取組
立入 哉(愛媛大学) 音声認識ノートテーク
Brenda Matthis(Lesley大学 高等教育における学習障害者への支援と技術サポート 広瀬(AHEAD報告)
指定討論者:
岩田吉生(愛知教育大学)
愛知教育大学におけるコーディネーターの役割とボランティア養成について
指定討論者:
白澤真弓(筑波大学院生)

 
参加機関

メディア教育開発センタ− 群馬大学 愛媛大学
筑波技術短期大学 愛知教育大学 福岡教育大学

スケジュ−ル

17:00 石坂: 挨拶
花熊(愛媛大): 愛媛大学の取組
立入(愛媛大): 音声認識ノートテーク
17:30 Brenda Matthis(Lesley大):米国の大学における学習障害学生の支援
18:00 石坂: 指定討論者へ
岩田(愛教大):15分
白澤(筑波大):15分
18:55 都築: 今後の課題(次へのステップ:3分)
広瀬: 終わりの挨拶(2分)


前回SCS(平成14年2月12日実施)のページへ


話題資料


愛媛大学の取組
花熊 暁プレゼンテーション

音声認識ノートテーク
立入 哉プレゼンテーション

高等教育における学習障害者の支援と技術サポート
Brenda Matthisプレゼンテーション

下の資料はDr. Brenda Matthisの発表に関連するものですので、是非お読みください。
米国の大学における障害者支援システムの現在
2001年AHEAD大会から


メディア教育開発センター 広瀬 洋子

はじめに

 今日の日本、学ぶ意欲があれば誰もが高等教育を享受できるかに思われている。大学の開放、生涯教育が提唱される一方で、障害者が高等教育を享受することはたやすいことではない。筆者は、2001年7月24日から28日までオレゴン州ポートランドで開催された第24回のAHEAD(Association of Higher Education and Disability)の全米会議に参加する機会を得た。AHEADは高等教育機関で障害者支援にかかわる専門家の集まりで約800名の会員を擁し、ウエッブ、出版、ワークショップなどの活動を通してこの分野の教育や情報交換を行なっている。今回の大会も参加者は全米・カナダはもとより、欧州や日本からも海を越えて集まってきた。大会には全米の大学の障害者支援局のコーディネータをはじめ、アシスティド・ラボの指導者や障害教育の専門家や弁護士など様々な職種の人が参加し、 プレカンファレンスを含め6日間、 の分科会に分かれて熱心な報告や討議が重ねられた。本稿ではそこで知り得た米国の障害者支援の現在を米国の社会的文脈の中で読み取るとともに、具体的な支援例としてオレゴン大学の障害者支援活動の機能と広がりを紹介したい。

日本の大学の現状と新しい動き
 国立大学協会の「国立大学における身体に障害を有するものへの支援等に関する実態調査報告書」(平成13年6月)によれば、2000年10月に全国の国立大学99校を対象に行なった調査から、過去3年間に障害者の受験ないし受験相談のあった大学は全体の80%、学生の修学上の困難や支障を乗り越えるための相談窓口を設置している大学は31%、学内委員会等の組織を持っている大学は11%という結果が出た。障害者の多くが推薦入学のある私立大学に学ぶケースが多いので、私立の実態を調査する必要もあるが、日本の大学では入学後の学習や学生生活をサポートするシステムの整備は各大学によって大きな隔たりがあり、ガイドラインのようなものさえ存在していないと言える。
 しかしここ数年障害者と高等教育に関しての関心は高まりつつある。たとえば、視覚障害者支援総合センターは盲学生支援センターの時代から15年近い歴史をもち、高等教育を目指す視覚障害者に多大な支援を与えつづけてきた。また、全国障害学生支援センターは全国の大学に向けて詳細なアンケート調査の実施するとともに、その結果を「大学案内」として毎年出版し、ウエッブ上でも情報を流している。2001年春には全国の障害者の高等教育に関心をもつ教員や研究者を集め交流を図ろうと日本障害学生支援センターも動き出した。当メディア教育開発センターでも、2000年度からFD研修事業の一環としてNIMEにおいて「高等教育における障害をもつ学習者への支援と配慮」のワークショップが始まり、2001年度には、NIMEでのワークショップ1回と、SCSを利用して全国の大学をつなぐ形での研修を実施している。またこうした動きに呼応して、NIMEでも2001年度より正式にメディア活用系のメディアFDとフレキシブルラーニング支援の研究開発部門のサブグループとしてハンディキャップ班を立ち上げた。こうした形で先人たちの努力と、新しい大学改革の流れ、IT環境整備への関心の高まりがあいまって、高等教育と障害者に関するネットワークが形成されつつある。その意味でも、世界的に最も進んでいる大学における障害者支援を実行している米国の在り様を検討することは重要である。

障害者の高等教育と米国の社会背景
 アメリカ合衆国憲法の草案者たちは、啓蒙主義思想からの影響を受けて「すべての人間は平等に創られた」と宣言した。そして建国から200年の間、長い歳月と人々の絶え間ない活動によって、奴隷解放、女性の参政権、黒人の隔離教育の撤廃、公民権の獲得などが実現していった。この流れの中に、障害者への差別撤廃運動も位置付けられ、他のマイノリティーと連帯して学習権の獲得が進められていった。ここでは多くはふれないが、法制面において1973年のリハビリテーション法504条、1990年の障害を持つアメリカ人法(ADA)によってほとんどの大学に障害者サポートシステムが整備されることになった。70年代のリハビリテーション法は多くの負傷したベトナム帰還兵を迎える際に成立したものであり、その後公民権運動の流れに障害者の人権を位置づけた1990年に雇用、交通、公共施設、コミュニケーションシステム等の差別を禁止するADA法(Americans with Disabilities Act)が成立した。これは1964年の黒人の参政権を認めた選挙法以来の公民権に関わる法律の制定であり、これによって建国以来目差していた「最後アメリカンドリーム」が実現したとも言われる程、画期的なものであった。障害者の自立を促進させタックスペイヤーにさせることが国家の利益に繋がるという考えが、時の共和党政権の価値観と合致したと言われているが、この法律が運用される際に連邦政府の財政負担はゼロという形で進めたところに成立成功の鍵があるという意見も多い。
つまり大学で言えば、障害を理由に差別したり、障害者への配慮を欠く大学は告訴され、敗訴すれば連邦政府からの助成金が打ち切られるほか高額な賠償金を大学自身が負担しなければならない。米国の高等教育機関では、障害者への支援は人権への配慮という道徳的な思想であると同時に、大学運営にとって不可欠のもとなった。その証拠にAHEADの大会には多くの大学からADAコーディネータという専門職の人々が参加している。彼らは障害者支援局(Office for the student with disabilities)に所属しているのではなく、学長あるいは副学長直属の立場から大学がADAを遵守しているかを内側から見張る役割をまかされている。
 2001年度AHEAD総会の開会特別講演を行なったのは、カリフォルニア大学バークレー校の準教授であり、『ADAの副作用(Backlash Against the Americans with Disabilities Act)』 の著者でもあるLinda Kriegerであった。彼女は自らのレスビアン開放運動との関わりを紹介するとともに、障害者の人権運動がこのようなマイノリティー解放運動とともに連動することの重要性を訴えた。こうした講演からも、大学のADAコーディネータや障害学生支援局が自治体のOCR( office for civil right)と常に緊密な関係を保ちながら活動し、高等教育の中での、人種、信教、性別、障害、病気、セクシャルオリエンテーションからの自由といった広い意味での“人権”に対する配慮が払われている米国の様子を垣間見ることが出来た。

現在の課題
日本の大学で障害者支援を考える場合、先の調査報告にもあるように「身体に障害を有する者への支援」が中心になり、運動障害、聴覚障害、視覚障害、健康障害、言語障害等が対象となっている。サービスも朗読サービス、ノートテイク、手話通訳、学内の移動などが中心課題となる。ところが米国では、AHEADの会長へのインタビューしたところ、過去20年間に視覚障害・聴覚障害・肢体不自由への支援体制は確立されているという。現在の課題は、AHEADの第24回大会のテーマが“Widening the Umbrella(支援の対象の拡大)”とあるように、学習障害や精神障害への対応に焦点が移りつつある。ことに地域に密着し、いわゆる4年制大学と比べて経済的な負担も少ないコミュニティーカレッジでは、誰もが入学できるオープン・ドア・ポリシーを貫いている。したがって、障害をもつ学生たちが最初に門をたたくのは自宅から通学が可能なコミュニティーカレッジであることが多い。 
一般学生もそうであるが、ここで2年間、一定の成績をおさめ4年制の大学に編入する障害者も多い。また一方で重度の学習障害や精神障害から、コミュニティーカレッジの教室で一般の学生とともに学ぶことが困難なケースも少なくない。そうした中、ダンスや陶芸や美術等のアートクラスやクッキングクラスなどがこうした学生にとってかけがえのない教育的意味をもつ。自らの身体と向き合い、仲間とともに言語を介さない表現を学んでいく過程は疎外されがちな障害者がコミュニティーの中で友人を得てゆく過程である。また教育機関側から言えば、そうした講座は卒業するしないにかかわらず高等教育の機会を享受したい、させたいという障害者本人と家族の熱い思いになんとか応えるための救済的役割を果たしているとも言えるようだ。
 しかし学習障害に関しては、障害の程度も内容も個人差があり、中にはハーバード大学のようなトップスクールの学生の中にも存在する。そうした学生のための先端的な支援の研究として、脳生理学的知見とコンピュータを使った学習障害者用の学習ソフトの開発等が進められている。いくつかの分科会でもオルタナティブ教材やコンピュータを活用した学習方法などが検討されていた。AHEADにおける学習障害への関心の高まりは、視覚障害、聴覚障害、身体障害をもつ学生への支援の端緒を開こうと模索する日本から行なった筆者を困惑させるものであったが、AHEADの会長によれば、20年前の米国も現在の日本と同じであった、と教えてくれた。また欧州での取り組みも米国のレベルには遠く達していないところが多いとのことであった。米国の建国の精神や公民権運動の流れといった社会的背景が違うとはいえ、高等教育の重要性への認識を共有する両国にとって、何がいったいこの差を生み出したのか、今後さらに検討する必要があるだろう。

オレゴン大学にみる障害者支援
ここで米国の大学における具体的な障害者支援をオレゴン州の州立大学であるオレゴン大学(University of Oregon) のウエッブページをたどりながらその機能を紹介したい。
全米の大学のほとんどの大学のウエッブぺージと同じく、オレゴン大学のウエッブページの表紙から、disabilityを検索すると障害者支援局(Office for the students with disabilities)のページに繋がる。障害者支援に関わるウエッブの記事はA4版で印刷して90ページにも及ぶ。以下にその内容を簡単に列挙してみよう。

●障害者支援室(Dsiability Service)のスタッフ
(1)学内規則や法律のカウンセラー (障害に関する証明書への対応や配慮の判断)
(2)一般窓口カウンセラー(学習支援のアシスト・教員へのコンタクト等)
(3)学生カウンセラー (各種支援コーディネート)
(4)ノートテイク・試験等のコーディネータ
(5)朗読コーディネータ (録音サービス)
(6)手話通訳スタッフ
(7)アダプティブ・テクノロジー・アドバイザー(ラボやコンピュータトレーニング・活用アシスト)
  
●支援内容
(1)コース履修(優先履修受付・教室再配置)
(2) 教員との連携(教員や学部への配慮要請)
(3)教員への文書による配慮の要請
(4)ノートテイク(同クラス学生有償ボランティア)
(5) 朗読テープ (朗読支援センターへの連絡).
(6) 手話通訳
(7) 試験時の配慮
(8) 教室内の配慮(前列席の確保、配布資料への配慮:拡大文字、OHP対応等)
(9)アダプティブ・テクノロジー・ラボの活用指導
(10) 機器の貸し出し(テープレコーダ・TTY・音声計算機/音声辞書・FMシステム・簡易ワープロ)
(11) その他の授業支援

●FD支援(教職員のためのガイドブック)
障害支援室のサービス内容や連携方法の周知と、障害者が授業をよりよく理解できるようにするための教授法や配慮へのアドバイスが60頁のウェッブサイトに掲載され、関連部署へのリンクがなされている

●その他の学内サービスとの連携
(1)アカデミックラーニングセンター
(2)教育機会均等プログラム(EPO)
(3)差別撤廃措置・機会均等部門
(4)就職センター
(5)カウンセリング・試験センター
(6)安全管理センター
(7)エスコートセンター(学内移動補助)
(8)機器修理サービス

●地域サービスとの連携
(1)盲人と失読症のための朗読テープサービス
(2)オレゴン州立図書館
(3)盲人委員会(Commission for the Blind)
(4)職業リハビリセンター(Vocational Rehabilitation
Division (VRD) )
(5)モビリティ・インターナショナル USA (MIUSA)

米国の大学における障害者支援の特徴とIT活用
 米国の大学における障害者支援の特徴は、60年代に始まった公民権運動や人権運動の一環として発達してきたことにある。人種・性別・セクシャルオリエンテーション・貧富の差等に関わらずすべての市民があらゆる場面で均等な機会を享受するべきだ、という堅固な思想基盤と、それに対応した具体的対策の積み重ねによって支えられている。あらゆる大学にADAコーディネータがおかれ、ADA法が学内で実現されているかを監視している。たとえば先のオレゴン大学では、Transition Plan Americans with Disabilities Actを実現するためのタスクフォースが1992年7月に組織され、学部教育、教室、建物、サービスなどの学内のすべての項目にわたって点検・整備が進められ、常にウエッブ上に公開されている。現在米国ではADA法施行から10年が経ち、様々な形で評価がなされ、その成果が発表されつつある。
 大学のADAに対する姿勢を学内外に示すとともに、障害者支援局(office for the students with disabilities)が学生と支援システムの仲立ちをする上でなくてはならないのがウエッブページに代表される大学のIT環境である。大学のウエッブページを見れば、その大学がどの程度、障害をもつ学生へのサービスを実施しているかは手に取るようにわかる。障害学生支援局のWebページは、必ずと言ってよい程Assistive technologyのサイトにリンクされ、コンピュータの活用が障害者にとって欠かすべからざるものになっている。
University of Washingtonが1999年に制作した『Working together』という障害をもつ学生への学習支援を描いた紹介ビデオでは、良い教師の条件の一つに、授業を3つの方法で提示することがあげられている。通常の講義をWebページ上で展開すれば、聴覚障害者はプリントアウトして読み、視覚障害者は音声読み上げソフトでアクセスすることが可能になる。ディスカッションボードを利用すれば多様な障害をもつ学生が議論に加わることができる。ビデオ教材作成はクローズドキャプション(字幕)や、視覚障害者用にナレーションを加えたバージョンを作成する。こうしたITとメディアの活用は障害者のみならず、言語的ハンディキャップをもつ留学生にとっても強力なサポートとなり、大学のユニバーサルデザインに貢献している。実際にこのビデオ自体、二つのバージョンがあり、一つは聴覚障害者のために字幕がつけられているもの、もう一つは視覚障害者のために画面の状況をより詳しく伝えるナレーションがつけられているものであった。

日本への含意
 情報技術の進展は、大学教育の教授法や学習法を大きく変化させ、そのIT活用技術は一生を通じて学ぶさいの教育の基本的技術と知識となるだろう。特に障害者はIT活用によって革命的とも言える恩恵を受けることができるようになった。読み、書き、聞く、議論する、という学習にとって欠かせないコミュニケーションをコンピュータ等の機器によって獲得することが出来るようになったからだ。
この分野で最先端の技術水準を誇る日本にありながら、障害をもつ学生がIT学習を享受しているとは言い難い。それを実現させるには、国家レベルの法的整備や財政的援助とともに、学内の制度や目標、責任の所在を明確にし、学内外の関係機関との連携を支えるヒューマンサポートが重要である。近年、日本の文部科学省は「多様な学生に柔軟な学習形態を可能にするオープン&フレキシブルな新しい高等教育」を提唱している。AHEADの取り組みから、メディアの技術と開発が社会や文化しいては人間に対する価値観と密接に連携して進むということを実感する。米国の「多様な人々への大学の開放」の歴史と実践をみる時、この言葉の意味と深さを日本の我々がどこまで共有できるのか、そのための覚悟ができているのか、もう一度問う必要があるだろう。
 
<参考文献>
広瀬洋子 1997『障害者の高等教育とメディア・アクセスの研究』p.165-187,共同研究者/香川邦生、都築繁幸/三ツ木任一,放送教育開発センター
広瀬洋子 2000『共生の時代』p.87-104、放送大学教育振興会
国立大学協会第3常置委員会2001『国立大学における身体に障害を有するものへの支援等に関する実態調査報告書』
The Association on Higher Education and Disability(AHEAD)  <http://www.ahead.org/>
Disability Service University of Oregon  <http://ds.uoregon.edu/resources.htm>

愛知教育大学におけるコーディネーターの役割とボランティア養成について

愛知教育大学  岩田 吉生


1.はじめに
平成14年度現在,本学には7名の障害のある学生が在籍し,聴覚障害学生4名,肢体不自由学生1名に対して,特別な支援がなされている.本学では障害児教育講座の教官5名により,障害のある学生に対する学習支援のワーキング・グループ(以下,WGと略す)を構成し,教授会や各種委員会等に働きかけを行い,全学的な支援体制の構築に力を注いでいるところである. 今回は,本学における障害学生の学習支援の現状を中心として,コーディネーターの役割,ボランティア養成について説明し,SCS研修に参加された皆様のご意見・ご助言を戴きたい.

2.障害学生支援の現状
(1)聴覚障害学生の支援内容
1)ノートテイクによる講義保障
 ノートテイクによる講義保障については,全ての講義に学生2名を配置し情報保障を行っている.ノートテイクの大半は,同じ講義を履修している障害児教育専攻の聴者の学生によるボランティアが担当している.時間割りごとのノートテイク担当者については,学期始めのガイダンス時を利用する等,学生間で取り決められている.しかし,外国語の講義等は他専攻の専門的な知識を有する学生に依頼している.この場合,学生のニーズを事前に把握し,WGが外国語教育講座の教官に学生の照会を依頼し,語学能力の優れた学生がノートテイクを担当している.この専門のノートテイクについては,1講義に付き2名配置し,謝金を支払っている.また,聴覚に障害のある学生が履修する講義については,配慮事項に関する文書を作成し,担当教官に理解をして戴いている.
2)手話通訳による講義保障
 聴覚障害学生4名に対して,各学生1名に付き半期ごとに3, 4コマ程度,手話通訳による講義保障が実施されている.通訳者を専門のノートテイクと同様,1講義に付き2名の手話通訳者を配置し,謝金を支払う形で行われている.コーディネートの方法としては,WGが個々の学生に要望を尋ね,全て文章にまとめた後,愛知県聴覚障害者協会に派遣申請している.通訳者の出勤簿,謝金の振り込み等の事務手続きは,教務課の事務官が担当している.また,手話通訳による講義保障を実施する講義についても,配慮事項に関する文書を作成し,WGが事前に担当教官の研究室等を訪問し説明する等,理解を戴いた上で行っている.
3)その他の学習支援
 教務・厚生関係の即時的情報は,学内の要所に電子掲示板を設置し,学生に情報を提供している.また,教育実習に対する支援として,聴覚障害学生は,小学校・主免実習と中学校・副免実習を,ろう学校で実習できるように,学内の教務委員会で承認してもらい,愛知県ろう学校長会を通して,県内の各ろう学校に要請した上で実施している.
(2)肢体不自由学生の学習支援
 肢体不自由学生に対しては,学内の移動において,車椅子や義足歩行で困難な際に移動介助を担当する学生を配置し,支援を行っている.また,講義においては,配慮事項に関する文書を作成し,担当教官に理解を戴いている.一部の建物を除き,学内の教育棟・研究棟において,スロープやエレベーターを設置することにより,肢体不自由学生が独力で移動可能となるように,施設・環境の整備を進めている.また,身体障害者用の駐車場を数カ所に設置するなどの配慮も行っている.講義においては,配慮事項に関する文書を作成し,担当教官に理解を戴いている.
(3)言語障害のある学生の学習支援
 今春3月まで,声帯異常による言語障害のある学生が在籍していた.本学生に対しては,演習など口頭発表が必要な講義において,マイクを準備する配慮を行った.また,講義においては,配慮事項に関する文書を作成し,担当教官に理解を戴いた.

3.コーディネーターの役割
 前期・後期の始めには,コーディネーターの教官を介して,学生との話し合い,障害児教育講座教官によるWG会議,教務課への諸連絡,学外機関(愛知聴覚障害者協会)への依頼,通訳者への諸連絡,ノートテイカーへの諸連絡,講義担当教官への説明などが行われている.学生,通訳者,事務職員,教官など,皆の協力の下で,運営が円滑に行われるように,頻繁に連絡を取り合い,密接な協力関係を築くことができるように努力している.
 特にコーディネーターの教官が配慮すべき事項としては,障害学生支援に係わる人々の全てに諸連絡が伝達されるようにすることである.また,個々の障害学生が率直に要望を語れるように,コーディネーターの教官と常々良好な人間関係を作っておくように心掛けている.学生の講義履修上の悩み等を聞いた上で適切にアドバイスしたり,WG会議で検討した後,関係機関の担当者と交渉することもある.また,コーディネーターの教官が,講義,会議等の校務,研究調査等の出張などで,なかなか連絡が取れない時でも,すぐに障害学生の要望を掴むために,学生の自宅へ電話・FAX,e-mailによって連絡を取ったり,携帯電話のメールを利用しながら情報交換を行っている.

4.ボランティアの養成
 本学では,ノートテイクや車椅子介助等の説明会を開催する等,ボランティアの養成は,特に実施していない.大半のボランティア支援は,障害学生と同じ専攻の学生が担当しているため,何か問題が生じた時には,障害学生自らがすぐにボランティア学生に意見を伝えられるような環境にある.障害学生からも「特にボランティア養成の必要は感じない」と云う意見が出されている.


リンク
    今回のSCS研修は
   メディアFDとフレキシブル・ラ−ニングの一環として企画したものです。

   メディア教育開発センタ−の研修一覧もご覧ください

   メディア教育開発センタ−の紀要、報告書の障害者関係論文リスト(18件:2002,6,28現在)
     注:このままクリックしても不適切なペ−ジに行ってしまうようです。
     検索画面(フルテキスト検索)で、(2)キ−ワ−ドに「障害者」とお入れください。

   国立大学における身体に障害を有する者への支援等に関する実態調査報告書
     (国立大学協会 第3常置委員会 ,平成13年6月)

   The Association on Higher Education and Disability (AHEAD)

   Disability Service, University of  Oregon

   Lesley University

  国内の大学で「障害学生への支援」に関するHP掲載があるのは    

立命館大学 日本福祉大学 早稲田大学
筑波大学 筑波技術短期大学
お願い: 他大学の情報をご存じの方はお教えください。

   全国障害学生支援センター


最終更新 2002,7,2