聾学校教員養成の現状と課題 (2002,10,20.修正)

Q1:教育学部(教員養成課程)の卒業生は、何人ぐらい教員になっているのですか?
Q2:特殊教育諸学校への教員就職状況は?
Q3:聾学校の教員免許が取得できる大学は?
Q4:聾学校教員養成の現状と問題点は?

Q5:聾学校教員免許を取得するのに手話は必修ではないのですか?
Q6:特殊教育諸学校への採用試験はどうなっているのですか?
Q7:聾学校教員免許を持ってなくても聾学校に勤務できるのですか?
Q8:認定講習って何ですか?
Q9:聴覚障害者の教員採用状況は?
Q10:総合免許になるとどうなるんですか?

Q1:教育学部(教員養成課程)の卒業生は、何人ぐらい教員になっているのですか?
A1a:大阪教育大学における教員養成を例にお答えします
表1は、大阪教育大学教員養成課程の平成4年度〜平成9年度卒業生の教員就職状況です。
1.昭和40年代には教員就職率が90%を越えた時がありました。大阪(府+市)の小学校枠での教員採用数を見ると、昭和48年4545人、昭和49年4575人、昭和50年3969人もあったものが、平成11年度は60人にすぎません。 昭和48〜昭和50年の3年間で13000人も採用しています。
2.盲・聾・養護学校に就職した者が相当数いるようだが、障害児教育課程(定員55名)以外の卒業生が盲・聾・養護学校に就職する割合が高い。小学校枠や中学校枠で合格した人が盲・聾・養護学校に就職する場合があるからです。
3.平成5年度から9年度までの聾学校コ−ス卒業生(約40名)で聾学校に新規採用された者は数名にすぎません。

表1 大阪教育大学(教員養成課程)における教員就職状況(「大阪教育大学要覧」より)

4年度 5年度 6年度 7年度 8年度 9年度 13年度
小 学 校 148(20) 174(29) 163(32) 127(17) 104(2) 72(11) 149(49)
中 学 校 51(17) 56(15) 58(23) 48(17) 49(6) 43(30) 18(11)
高 等 学 校 35(22) 46(32) 47(31) 44(35) 18(7) 34(31) 9(7)
盲・聾・養護 17(5) 14(5) 14(9) 13(7) 6 8(1) 32(19)
幼 稚 園 10(3) 8 12(2) 14(2) 16 15(1)
そ の 他 1 3 39(23)
合    計 262(67) 298(81) 294(97) 246(78) 196(15) 172(74) 247(109)
卒業者数 583 590 602 587 604 575 592
就 職 率 44.9 50.5 48.8 41.9 32.5 29.9 41.7

( )内は期限付き講師で内数、 また平成13年度は盲・聾・養護と幼稚園を一緒にして発表している。

A1b:過去20年間の教員採用試験(全国)の受験者・採用者統計は時事通信社の下記HPにあります下記ページに掲載された数字は、教育学部(教員養成学部)のみではなく、他学部卒も含めた数字です。
 http://book.jiji.com/kyouin/all.html

Q2:特殊教育諸学校への教員就職状況は?
A2a:大阪府立の盲・聾・養護学校への教員就職状況(大阪府教育委員会「大阪府教育の概況」に掲載された数字より)
1.大阪府立の盲・聾・養護学校21校に新規卒業者(出身大学に関係なく)が就職した数は、
昭和63年6名、平成元年3名、平成2年1名、平成3年9名と1桁で、新規卒業者の採用そのものが極端に少ない時があった。
2.これまで大阪府教員採用試験は、障害児教育の別枠がなく、基礎免(小学校か中学校)で受験していた。そのため、盲・聾・養護学校を希望していて合格しても赴任できないことがあった。しかし、平成12年度より障害児教育枠が設けられたので、大学で勉強した障害児教育の専門性が発揮できると期待している関係者が多い。

A2b:新規採用者がどれだけ免許を持っているか見てみましょう。

表2 平成13年度に新規採用された教諭の特殊教育教諭免許状保有状況の概要(H13,12,1.現在)

在籍校種の免許状保有者 他の校種の免許状保有者 非保有者 合計
保有者数 割合 保有者数 割合 保有者数 割合
盲学校 13 18.8% 24 34.8% 32 46.4% 69
聾学校 20 22.2 30 33.3 40 44.4 90
養護学校 610 50.7 25 2.1 569 47.3 1204
 知的障害 433 50.9 20 2.4 398 46.8 851
 肢体不自由 144 50.0 5 1.7 139 48.3 288
 病弱 33 50.8 0 0.0 32 49.2 65
 合 計 643 47.2 79 5.8 641 47.0 1363

養護学校では半分、盲・聾学校では1/4以下しか在校種の免許を持っていないということになる。


Q3:聾学校の教員免許が取得できる大学は?
A3:表3のとおりです。

表3 聾学校教員免許が取得可能な大学(H12年度現在)

東北大学教育学部 宮城教育大学教育学部 筑波大学第二学群人間学類
東京学芸大学教育学部 横浜国立大学教育人間科学部 上越教育大学学校教育学部
金沢大学教育学部 愛知教育大学教育学部 大阪教育大学教育学部
広島大学教育学部 愛媛大学教育学部 福岡教育大学教育学部

上記大学以外の卒業生、あるいは上記大学でも聾学校教員免許を取得できなかった人の場合、教員として勤務している人を対象に、夏休みに認定講習(Q8参照)が開かれます。それを受講して単位を揃えれば聾学校教員免許が取得できます。現職の先生が1年間内地留学という形で大学の特殊教育特別専攻科で学び取得することもできます。また、聾学校養護訓練教諭免許状というものもあります。これは文部省の資格試験で、いわゆる一発試験というものですが、養護訓練の専門的知識・技術が問われ非常に難易度が高いです。

Q4:聾学校教員養成の現状と問題点は?
A4:問題点(私の個人的見解)
1.カリキュラム
・基礎免を取るのに多忙
・必修の専門単位が少ない
・聴覚障害児・者と接する機会が少ない
2.教官
・教官が少ない
3.施設・設備
・貧弱。聾学校、難聴学級の方が立派
・老朽化している
4.教育実習
・実習校が大学から遠い
5.予算
・すずめの涙
6.学生の意識
・偏差値だけで進学してきた者が相当いる
・教員採用試験が難しく、やる気を無くしてしまう者がいる
7.進路
・教員採用試験が難しく、合格率が低い
・入学時点ですでに教員を志望する学生が半数しかいない

卒業生の指摘
中川綾さん(平成7年度太田学級メンバ−。現在京都聾学校勤務の聴覚障害者)は、「第10回ろう教育を考える全国討論集会」の第9分科会「聴覚障害教育の人的環境 −聴覚障害教育の専門性と教員養成の見直し−」において「聴覚障害者と教職」というレポ−トで次のような指摘をしている。

教員養成系大学に求めること
・現場の経験者か、現場を良く知る研究者を教官に
・手話の習得を必修カリキュラムに
・国内外の最新のろう教育事情を提供できる講義内容を
・聾学校コ−スの必修単位の増加を
・成人ろう者の生活についても学ぶことのできる講義を

 また中川さんは、「聾学校の教員採用試験を一般学校とは別の枠で、次のような内容を含めて実施して頂きたい」と要望を述べている。
・ろう教育現場に関する知識や思考を問う専門試験の実施
・所有免許にこだわらない採用者枠の設定
・手話の実技試験の実施
・聾学校を想定した模擬授業の実施
・ろう学校関係者による試験官を
・採用試験や採用後の各種研修における手話通訳の公費による設置と派遣制度
・ろう教育に関する研修の充実

Q5:聾学校教員免許を取得するのに手話は必修ではないのですか?
A5:免許法上、規定はありません。また実状は大学によって違います。福岡教育大学では必修としています。
 
教育職員免許法上では手話に関する記述はありません。ちなみに私は大阪教育大学に勤務していた平成6年度から必修にしています。「言語指導」という授業の中で指文字とキュードスピーチの実技試験(読みとり)をしていました。福岡教育大学に転勤してからは「聴覚障害児指導法T」という授業の中で指文字・手話の実技試験(読みとり)を実施し、学生にも手話・指文字を使用した発表の場等を設定しています。教材は市販されている手話のCD−ROMやビデオ教材を用意し、治療教育センター視聴覚教材室でも勉強できるようにしています。また、NHKの「手話ニュース」、「みんなの手話」、「聴覚障害者のみなさんへ」等を視聴し習得に努めるように勧めています。成績不振者には追試験を実施し、再々試験までやって合格点に達するように求めています。他大学でも最近は手話に関する授業が開設されています。筑波大学などは1980年頃からやっており、私が筑波大の院生だった1980年当時は「手話の理論と実際」という講義名で、担当者はのちに筑波技術短期大学長となられた小畑修一先生でした。受講者が300名を越える年もあったと聞いています。
 聴覚障害者との会話で通用するのが大切ですので、地元の手話サークルに通うことを勧めています。私も学生時代は、地元の手話サークルに入り、通訳活動で飛び回っていました。

表4 平成12年度「聴覚障害児指導法T」受講者の成績

受講者の平均
第1回 指文字50点満点、学部生45.2(N=25)、言障課程生44.8(N=12)
第2回 指文字50点満点、学部生45.4(N=26)、言障課程生46.0(N=12)
第3回 指文字50点満点、学部生47.1(N=23)、言障課程生45.6(N=11)
第4回 手話の文読みとり50点満点、学部生36.8(N=24)、言障課程生30.8(N=15)
第5回 手話の文読みとり50点満点、学部生44.0(N=20)、言障課程生37.6(N=15)
第6回 手話の文読みとり50点満点、学部生43.1(N=24)、言障課程生43.9(N=13)
第7回 手話の文読みとり50点満点、学部生47.7(N=24)、言障課程生47.3(N=12)

表5 平成13年度「聴覚障害児指導法T」受講者の成績

受講者の平均
第1回 指文字50点満点、学部生37.9(N=33)、言障課程生44.5(N=10)
第2回 指文字50点満点、学部生45.3(N=32)、言障課程生46.6(N=10)
第3回 手話の文読みとり50点満点、学部生22.4(N=29)、言障課程生24.4(N=10)
第4回 手話の文読みとり50点満点、学部生36.4(N=25)、言障課程生37.2(N=9)
第5回 手話の文読みとり50点満点、学部生32.1(N=28)、言障課程生46.5(N=8)

表6 平成14年度「聴覚障害児指導法T」受講者の成績

受講者の平均
第1回 指文字50点満点、学部生38.9(N=17)、言障課程生23.3(N=8)
第2回 手話の文読みとり50点満点、学部生38.8(N=18)、言障課程生28.0(N=9)
第3回 手話の文読みとり50点満点、学部生42.7(N=17)、言障課程生36.3(N=9)
第4回 手話の文読みとり50点満点、学部生43.2(N=17)、言障課程生41.8(N=6)
第5回 手話の文読みとり50点満点、学部生45.4(N=18)、言障課程生35.5(N=10)

 年度によって点数差があるのがわかります。平成12年度は聴覚障害者も受講したので、皆の意識も高かったです。この受講生の中には競争倍率20倍という教員採用試験を突破した優秀な学生もいましたし、粒ぞろいでした。また、本学障害児教育教員養成課程では6専攻から自分の主専攻を選ぶ際(2年次進級時)に、1年次の成績順に希望して選んでいきます。そのため、不本意ながら聴覚障害の専攻になる学生も出てきて、学習意欲に影響もでます。大学での一般的傾向かもしれませんが、熱心な学生とまったく意欲のない学生とに2極分化してしまってます。後者には受験時に偏差値で選んだり、高校の進路指導の先生に勧められて来たというのが圧倒的で、本学のアドミッションポリシーを充分理解した上で受験してほしいものです。なお、障害児教育教員養成課程入学者(H13,H14)のうち約3割が夏休みに行われているオープンキャンパスに参加していました。参加した学生はさすがに意欲的です。

Q6:特殊教育諸学校への採用試験はどうなっているのですか?
A6a:自治体によって異なります。
 教員採用試験実施主体の類別(小川克正・廣蔦忍(1997)「障害児学校教員採用試験の8類型 −都道府県等52実施例にみる−」、岐阜大学教育学部治療教育研究紀要第18号、pp.19-30.)

表7 教員採用試験の類型化の観点。8類型とその要素

免許状 専門試験 受験枠 要素 類型番号
@ 必要 あり 独立校種 CSA T型
A 必要 あり 小中高内 CSB U型
B 必要 なし 独立校種 CNA V型
C 必要 なし 小中高内 CNB W型
D 不要 あり 独立校種 DSA X型
E 不要 あり 小中高内 DSB Y型
F 不要 なし 独立校種 DNA Z型
G 不要 なし 小中高内 DNB [型

要素は、免許状の有無で(C,D)、専門試験の有無で(S,N)、受験枠の有無で(A,B)にわけてある。


教員採用試験で特殊教育諸学校の別枠があるのは以下のT型、V型、X型、Z型に該当する29の自治体です(平成9年度実施要項より。以後変更がありますので必ず最新情報を確認してください)。

表8 特殊教育諸学校の別枠の類型

T型 秋田県 福島県 山形県 東京都 千葉県 山梨県 富山県 奈良県
和歌山県 鳥取県 島根県 山口県 香川県 徳島県 長崎県 大分県
U型 福井県
V型 愛媛県
W型 宮崎県
X型 青森県 北海道 茨城県 栃木県 滋賀県
Y型 名古屋市 京都市 福岡市 福岡県 鹿児島県
Z型 岩手県 静岡県 愛知県 岐阜県 三重県 広島県 高知県
[型 宮城県 神奈川県 埼玉県 群馬県 長野県 新潟県 石川県 大阪府
京都府 兵庫県  神戸市 岡山県 北九州市 佐賀県 熊本県 沖縄県


A6b:平成13年度の盲・聾・養護学校の教諭の採用について
表9 盲・聾・養護学校の採用試験区分の有無

区分あり 区分なし
都道府県 30 17
63.8% 36.2%
政令指定都市 10
16.7% 83.3%


表10 採用時における特殊教育教諭免許状保有の条件の有無

条件としている 参考にしている 特に考慮していない
都道府県 18 17 12
38.3% 36.2% 25.5%
政令指定都市
8.3% 58.3% 33.3%


表11 特殊教育教諭免許状非保有の新規採用者への免許状取得要請

文書で求めている 口頭で求めている 特に求めていない 無回答
都道府県 28 12
7.0% 65.1% 27.9%
政令指定都市
0.0% 50.0% 50.0%


Q7:聾学校教員免許を持ってなくても聾学校に勤務できるのですか
A7:勤務できます。
 表12をご覧ください。聾学校に勤務する先生方の中で聾学校教員免許を保有しているのは約31%、つまり全国平均で3人に1人ということになります。「これで、聾学校の専門性が保障されるのか?」という質問を保護者の方から頂くことがあります。「聾学校の専門性が確保されないなら、聾学校に子どもを通わせても意味がないではないか」という厳しいご批判を頂くこともあります。聾学校教員免許を取得して大学を卒業する者は毎年100人を軽く越えています。しかし、全員が教員になる訳ではなく、また教員採用試験が厳しい現状にあっては、供給が需要を越えてしまっています。また聾学校に勤務できても数年で転勤があります。多くの県では聾学校が1県に1校しかなく、転勤により聾学校を転出せざるを得ず、逆に転入したきた先生は聾学校教員免許を持っていないということがある訳で、なかなか免許保有率があがりません。秋田県では県教委の配慮で養護学校の免許保有率が90%を越えています。保有率を上げるためには、教員採用、現職教員への再教育(認定講習、内地留学)、人事異動の際の配慮等が必要です。
 断っておきますが、免許を持った先生は優秀で、免許を持たない先生は優秀ではないということではありません。免許の有無と教師としての力量は必ずしも相関関係にあるとは言い切れません。

表12  盲・聾・養護学校教員の在校種の免許状保有率(H13,5,1.現在)

教員数 免許状保有者 保有率(%)
盲学校 2717 523 19.2
聾学校 4125 1282 31.1
養護学校(計) 42187 23068 54.7
 知的障害 27405 15097 55.1
 肢体不自由 11974 6471 54.0
 病弱 2808 1500 53.4
  計 49029 24873 50.7

表13 平成9年度障害児学級の障害児学校免許保有率

所有者 非所有者 障害児学校免許保有率
小学校障害児学級 5211 12204 17415 29.9
中学校障害児学級 2129 6019 8148 26.1
     計 7340 18223 255563 28.7

表14 盲・聾・養護学校数、在籍者数、教員数

年度 盲学校 聾学校 養護学校
学校数 在籍者数 教員数( 女性) 学校数 在籍者数 教員数(女性) 学校数 在籍者数 教員数(女性)
1996 71 4442 3523(1584) 107 6999 4830(2687) 797 74852 44370(25177)
1997 71 4323 3500(1582) 107 6841 4861(2721) 800 75280 45630(25967)
1998 71 4199 3479(1599) 107 6826 4864(2747) 805 76420 46913(26726)
1999 71 4172 3467(1595) 107 6824 4883(2779) 810 77818 48143(27568)
2000 71 4089 3459(1618) 107 6818 4877(2797) 814 79197 49209(28259)


表15 特殊学級数、特殊学級在籍児童生徒数及び担当教員数(H13,5,1.現在)

区分 小学校 中学校 合計
学級数 児童数 学級数 生徒数 学級数 児童生徒数
知的障害 11308 33119 5697 17767 17005 50886
肢体不自由 1180 2178 412 638 1592 2816
病弱・虚弱 555 1212 248 475 803 1687
弱視 107 139 42 55 149 194
難聴 365 745 163 323 528 1068
言語障害 317 1155 25 56 342 1211
情緒障害 5214 14003 2078 5375 7292 19378
総計 19046 52551 8665 24689 27711 77240


表16 通級による指導の実施状況(H13,5,1.現在)

区分 小学校 中学校
言語障害 24725人 125人 24850人
情緒障害 2571 515 3086
弱視 148 12 160
難聴 1235 231 1466
肢体不自由 2 1 3
病弱・身体虚弱 0 0 0
総計 28681 884 29565


表17 重複障害学級在籍率の推移(各年度5月1日現在)

区分 55 60 2 7 12 13
総計 31.0% 36.6% 38.3% 43.8% 45.1% 44.6%
 盲学校 26.6 30.9 35.4 41.9 43.3
 聾学校 12.7 12.7 15.7 17.9 17.4
 知的障害養護学校 34.1 34.0 37.2 37.6 36.7
 肢体不自由養護学校 53.9 59.9 71.4 75.0 74.9
 病弱養護学校 33.3 33.0 31.4 32.5 34.1


Q8:認定講習って何ですか?
A8:免許を持っていない現職の教諭が講習を受けて単位を揃えて(2種:6単位)免許を取得するものです。一般の人は受講できません。
認定講習の実施状況について(都道府県のみ)
表18 平成13年度実施状況及び平成14年度実施計画

取得できる免許状 平成13年度実施状況 平成14年度実施計画
盲・聾・養護 28 59.6% 28 59.6%
0.0 2.1
盲・聾 0.0 2.1
盲・養護 4.3 2.1
2.1 0.0
聾・養護 2.1 8.5
養護 12 25.5 19.1
未定 0.0 4.3
未実施 6.4 2.1


各都道府県・政令指定都市教育委員会の特殊教育教諭免許状の保有率向上に関する計画等について
1.最終的な目標及び計画
表19 免許状保有率向上について数値目標を立てている都道府県・市の内訳(単位:件)

40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
1〜3年後
4〜6年後
7〜9年後
10〜13年後
14〜16年後
合計 14


Q9:聴覚障害者の教員採用状況は?
A9:聴覚障害の有無ではなく、能力・人物で採用されますが、一般の教員採用状況と同じく厳しいものがあります。また、聴覚障害者の受験データはまとめられていません。
 「聴覚障害者の教員採用状況について教えてください」という質問をいただくことがありますが、まとまったデータはありません。これまで、太田学級には6人の聴覚障害者が在籍し、5人が教壇に立っています。採用にあたっては、あくまで採用試験の成績、人物等で選ばれています。ただ、現在は聴覚障害の有無に関係なく、教員採用自体が大変厳しい現状にあります。これから教員を目指す方々も、努力次第で道は開けますので、自分の個性を磨き、能力を高めてください。
 歴史的に見て、聴覚障害者で聾学校長になった方もいます。昭和3年7月、私立松本ろうあ学院を経営した小岩井是非雄(こいわい ぜひお)先生、室蘭聾学校長を努めた辻本繁先生がいらっしゃいます。

 現在では、全国の教育機関に勤務する聴覚障害教職員と主旨に賛同する人たちによって作られた聴覚障害教職員協議会(http://www1.ocn.ne.jp/~zntyokyo/index.htm)があり、活発な活動を続けています。
 
また、障害者の教員採用について、秋田県、岐阜県、三重県、広島県広島市、大分県に障害者枠の特別選考があります(平成15年度採用試験)。


小岩井是非雄先生について(「信濃教育」第1539号(平成12年2月)、戦後信州教育を支えたひとびと29より。原文は「信濃教育」昭和43年10月号、坂井満吉先生「小岩井是非雄先生」ですが、それを信濃教育編集部が要約して第1539号に掲載したものを太田が抜粋紹介します)
略歴
明治27年2月2日 東筑摩郡島立村に生まれる。
明治44年 官立東京聾唖学校図画科卒業。
  盛岡高等農林勤務、大正11年退職し帰農。
大正14年〜昭和3年、東京聾唖学校師範部図画科に学び教員免許状取得。
  松本女子求道会(主宰:寺田五三子)の要求で、求道会内に創設の「ろう唖教育所」に勤務
昭和7年 松本女子求道会解散。「ろう唖教育所」は「私立松本ろう唖学院」と改め小岩井が主宰。 
昭和10年 「松本ろう唖学校」と改称。
昭和11年 私立の「松本ろう唖学校」として正式認可。
昭和19年10月 財団法人化
昭和23年 市立移管。
昭和25年 県立移管。県立移管とともに校長退任。以後昭和31年3月まで図工科教師として奉職。
昭和43年4月 ろう教育振興に尽力した功績で勲五等瑞宝章を受ける。
昭和56年12月18日 逝去。享年88歳。

小岩井先生のお人柄
・ろう唖教育所での指導を要請された時、師範卒業生の月給が50円近かった時に、月給1円50銭。いかに奉仕的な仕事であったか。
・太平洋戦争の激化に伴い、補助金・後援会寄付金が減額。ご家族のご理解で私財の提供もあったとのこと。
・県立移管の際、県当局は小岩井先生を教諭に格下げし、長野ろう学校教頭富岡先生を初代校長として迎えた。「富岡先生が当時の施設設備の不備を嘆じた文章に
『着任した時には、椅子というものはたった1つあったばかりで、私が来ると前校長の小岩井先生が、自分の椅子を私にすすめ、自分は生徒用の椅子にかけられた』とある。
そこには、私立から市・県立への移管運動に二十年間も献身的に尽力、実現すると潔く校長を退き後任者を迎えられた高潔なお人柄が如実に示されている。」(p.94)

Q10:総合免許になるとどうなるんですか?
A10:専門性の低下が招かれます。
 現在、盲・聾・養護学校の校種別の教員免許を一本化しようという準備が進められています(文部科学省の審議会情報、第1回第2回第3回第4回第5回第6回)。馬鹿こくでねぇーと言いたいですね。私は断固反対です。一本化する一番の理由は表12に見られるような校種別保有率のアンバランスをなくして見かけ上の保有率を押し上げたいということですね。数字上のトリックをねらっている訳です。当然、障害種別の専門性は薄まり、教員養成では粗製乱造ということになります。この総合免許問題に関しては、愛媛大学の立入哉先生が「みみだより(http://www.normanet.ne.jp/~mimi/)」(422号,426号,430号,431号など)で反対運動を展開されています。20年ほど前にも一本化の動きはありましたが、その時は全国聾学校長会が強い反対の意思表示をして中止になった経緯があるようです。でも、現在の全国聾学校長会は毎年約1/4が入れ替わるらしく、聾教育の経験がない先生が多く意思統一が難しいのでしょうか。一本化を阻止できないとすれば、対応策はないのでしょうか? 例えば、校長、教頭、主事等は当然専修免許保有者とし、総合免許の教員は勤務してからも研修を積み、5年以内の専修免許取得を義務づけるとか、5,6年で転勤させているのを止めてベテラン教員と中堅、初心者等のバランスを配慮する人事異動を実施する等が考えられます。また、アメリカのCED(Council on Education of the Deaf)のように州発行の免許よりも上位の免許を出せるような組織を日本でも作るなどして専門性の維持・向上に努めることが必要でしょう。教員養成・採用・在職研修とを一体化できるシステムを作り上げていくことが必要ですね(この文章を書いているだけで血圧が上がってきます)。


*この文章中、表2,表9〜表19は文部科学省特別支援教育課の資料(H14,5現在)によります。

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