No. 2008,6,20.発行   編集:吉田優子(H12年度生:ドイツ駐在員)
                   
 ドイツ滞在レポート No.39

「エジプト旅行記 その7〜カイロ・イスラーム地区〜」
 2日間、しっかり、休んだことで、完璧ではありませんが、元気になり、観光を再開することに。カイロの中でも、イスラーム地区は、広く、その中がいくつかの地域に分かれています。ここには、たくさん、イスラム教のガーマ(礼拝堂)があります。その他にも、古くからの建築物が残っていて、この地区の約600の建物が、世界遺産に認定されているそうです。どこに行っても、歴史的な建物を見られるということですが、なかには、資金不足で、破損したまま放置されているものもあるようです。
 私たちはまず、シタデル地区にタクシーで行きました。ここには、大きな城塞があります(写真1)。これは、アイユーブ朝の創始者サラディンが建設を始め、その後、マムルーク朝、オスマン朝の間もずっと、政治の中心として使われていた場所です。小高い丘の上に立っていて、ここから、それぞれの時代の将軍がカイロを見下ろし、支配していたのだなと思うと、不思議な気持ちになります。

写真1
シタデル地区の大きな城塞


 チケットは、40ポンド(学生半額)、城内に入るときには、荷物チェックもあります。まず、入り口近くに立つ、小さなガーマを見学しました。ご存知かと思いますが、イスラム教徒の女性は、肌を出すことを禁じられているので、いつも頭にも布を巻いた服装をしていますが、ガーマを訪れるときには、観光客でも、肌を露出しては入れません。顔、頭までは覆う必要はありませんが、暑い時期に観光に行く場合は、大きなスカーフなどを持参して、入る前に肩から巻くようにするといいかと思います。ガーマ内は、お祈りのために、じゅうたんが敷いてあるので、靴を脱いで入ります。小さなガーマと言っても、吹き抜けのようになっていて、開放感のあるものでした。
そこから、アイユーブ朝のころに作られた井戸を、眺めたりしながら、カイロのランドマークと言われる『ガーマ・ムハンマド・アリ』へ。外観もとても、立派ですが、内装もそれに負けないくらい美しいものです(写真2)。

写真2 カイロのランドマークと言われる『ガーマ・ムハンマド・アリ』の内装


しばらく、このガーマ内で床に腰を下ろし、そのシャンデリアや、ステンドグラスを眺めました。出口を出てガーマ南西に立つと、カイロを一望できます。この日は、空気があまりきれいではなかったので、見えませんでしたが、快晴の日にはここから、ギザのピラミッドまで見渡せるそうです。さらにその奥にある『ガウハラ宮殿』も見学しました。こちらの内装は、洋風で、誰がどのような目的で造ったものかはわかりませんでしたが、エジプトと、ヨーロッパ文化の交流を垣間見ることができます。
 城塞内をひとしきり、見学した後で、その周辺を少し、散歩してみました。ガーマの目と鼻の先に、次のガーマが建っていますが、それでも、礼拝の時間には外にまで人があふれていて、それだけ多くの人が信仰し、お祈りに行っているのだなと思いました。注意深く見ていると、建てられた時代によって、少しずつスタイルも違うようでした。
 途中、地元の人に道を尋ねながら、何とか歩いて、カイロに現存する最古のガーマ『ガーマ・アフマド・イブン・トゥールーン』を見に行きました。ここは、入場無料ですが、入るときに普通なら脱ぐはずの靴を「脱がなくていいよ」と靴にかぶせる袋を貸してくれます。が、もし借りると、帰るときに、バクシーシを要求されるようです。私たちは、「要らない」と、靴を脱いで入りました(写真3)。

写真3 カイロに現存する最古のガーマ『ガーマ・アフマド・イブン・トゥールーン』 写真4 シタデルと、丘の下に広がる一般市民の住居


中はとても広く、静かで、外の車の騒音が突然消え去ります。まるで、昔にタイムスリップしたかのような幻覚に襲われます。どこのガーマでも感じたことですが、中に入るとなぜか、心がとても落ち着きます。カイロは、ごみごみしていて、うるさいのに、なぜこんなに、ガーマの中だけ静寂に包まれているのか、不思議でなりません。
このガーマは、879年に建設されたものですが、すぐ横には、13世紀に再建された螺旋階段のついた塔があります。ここからも、ギザのピラミッドが一望できるそうですが、やはり、見えませんでした。写真4は、ここから見たシタデルと、丘の下に広がる一般市民の住居です。屋上に、マッシュルームのように見えるたくさんの白い点は、テレビのパラボラアンテナです。
 ここから、タクシー乗って、カイロで一番大きなお土産センター『ハーン・ハリーリ』へ(写真5)。

写真5 カイロで一番大きなお土産センター『ハーン・ハリーリ』 写真6 様々な香辛料


まずは、ここのレストランで昼食をとり、買い物へ。このバザールも、お土産を売っている観光客向けのエリアと、一般市民向けのエリアに分かれているようでした。細い路地は迷路のようになっていて、たくさんの店が軒を連ねています。とにかく、しつこく声をかけてくるので、少々疲れますが、ここだけで、お土産は全てそろうと思います。ピラミッドの置物、ラクダの人形、様々な香辛料(写真6)、ハイビスカス茶、ベリーダンスの衣装までとにかく、何でも売っています。香辛料は量り売りで、1ポンド程度購入しても、食べるのに1年かかりそうなほど入っています。香辛料売り場は、凄い匂いで、私はその匂いだけで、むせてしまいました。バザールは、楽しくて気づけば、2時間以上、グルグルと見て回っていました。そこで、カフェに入って一休み。ここでも、おいしいミントティを飲んで、元気を取り戻しました。
 たくさん、買い物して疲れたので、知人宅に帰り、休憩して、夕食後、ナイル川でボートに乗ろうと出かけました。フェルーカというボートは、帆走の小さなボートで、1時間で30ポンド払いました。ナイルの上は風が冷たくて、気持ちよかったです。船頭のおじさんは、スルスルと帆を動かし、見事に風を操っていて、感動してしまいました(写真7)。夜のカイロは、ネオンがいっぱいで、昼同様、車の騒音が凄いですが、ナイルの上は少しだけ静かで、ゆっくりした気持ちになれます。

写真7
フェルーカ


 私たちは、ホテルハイヤットの横から出ていたフェルーカに乗ったのですが、その後、このホテルへ。目的はいい景色を見るためです。中洲には、カイロタワーというタワーがありますが、こちらは、登るのに50ポンドほどかかります。でも、ホテルの上なら、ただだろうと言うことで、行ってみましたが、最上階は高級なバーになっていました。それでも、「ちょっと見に来ただけ」と言うと、入れてくれました。夜のカイロは、たくさんのネオンで包まれていて、HITACHIの看板の下に、アラビア語で『日立』と書いてあるのも見えたりしました。
 夜になると、風が涼しく、ナイルの上の橋にたたずんで、話をしている人もたくさんいます。橋の上は交通量がとても多く、落ち着いた雰囲気とはいえませんが、宗教上、結婚前に男女が二人きりになることが難しいこの国では、この橋の上は、デートスポットで、1,2メートルおきに、カップルが会話をしていました。
 こうして、少し、夜のカイロの様子も見て、知人宅に戻り、休みました。次回は、エジプト旅行最終日の様子です。