No. 2007,11,30.発行   編集:吉田優子(H12年度生:ドイツ駐在員)
                   
 ドイツ滞在レポート No.28


『音楽の都 ウィーン』
 私の住むミュンヘンはドイツの南に位置しているので、スイス、オーストリアへ日帰りや、週末で旅行する人が少なくありません。
 今回は、私たちも、週末を利用してオーストリアの首都、ウィーンに行ってきました。
ここから、車で約4、5時間。
 いつものように、インターネットで乗り合いできる車を探して、行きも帰りも人の車に同乗させてもらいました。土曜日の朝からしっかり観光できるように、金曜日の夜にミュンヘンを出発しました。ウィーンにも、幸い知人がいたので、そこに泊めてもらい宿泊費は浮きました。

 朝一番、まずは「シェーンブルン宮殿」へ。
 「美しい泉」という名のこの宮殿は、王家の夏の避暑地として使われていたそうで、有名なところでは、女帝マリアテレジアや、その末娘マリー・アントワネットもフランスに嫁ぐまで、ここで夏を楽しんでいたそうです。
ここでは、宮殿内を半分見学するか(約20室)、後悔されている全ての部屋を見るか(約40室)、「皇太子庭園」内も見学するかなど、見学する範囲を選ぶことができ、それによって、チケットを購入します。
 私たちは、40室の見学に、皇太子庭園もついているコースを選びました。オーディオガイド料込みで、一人15ユーロ、学生は13ユーロです。ここには、嬉しいことに日本語ガイドがありました!!
40室の部屋を見学する間、オーディオからは、いつその部屋が作られたのか、どのように利用されていたのか、その部屋での歴史的な出来事など、たくさんのことを学べます。
 少々分かりにくいのは、部屋が歴史の年号順には並んでいないため、一つの部屋で19世紀の話を聞き、次の部屋で16世紀、その次にまた18世紀のことと、話が前後することです。手元に年表か、王家の家系図でもあれば、頭の中をすっきり整理できるのにと思いました。
 宮殿外の庭は、誰でも自由に散策でき、その一画にチケット保有者のみ見学できる「皇太子庭園」があります。小さいですが、とてもきれいに手入れされていて、私たちが行った10月中旬は、ちょうど赤くなり始めた葉もあり、とてもきれいでした(写真1)。

写真1 シェーンブルン宮殿の庭 写真2 シェーンブルン宮殿の展望テラス

 宮殿を背にして庭を見ると、その先に小高い丘があり、そこにもちいさな建物があります(写真2)。展望テラスとして使われていたようで、今は中がカフェになっていて、眺めを楽しみながら、休憩できます。が、お値段は少々高めです。
 その丘に向かう途中には、小さな迷路と遊び場があり、興味深い遊具がありました。大人だけで楽しんでいる人もいて、私たちも例にもれ、しっかりと楽しんできました。 また、別料金ですが、敷地内に動物園もありました。
 大きな敷地内をぐるりと散歩すると、日本の茶室もあり、昔の王家と日本との交流を垣間みることもできます。今でも、きれいに手入れされていて、実際にお茶会が行われたこともあるようです。
 ここから、ドナウ川の近くへ向かう途中、昼食をとりました。偶然見つけた中華レストランですが、一人9ユーロで食べ放題。新鮮な魚などもあり、自分で選んだ物をカウンターに運ぶと、その場で鉄板焼きにしてくれます。味も中々で、つい食べ過ぎてしまいました。
 ここから、プラーター遊園地へ。遊園地自体は、そんなに規模の大きな物でもないようでしたが、ここには、世界一古い観覧車があります。この観覧車より以前に作られた物で、現在動いている物はなく、第二次世界大戦中など止まったこともありますが、修復作業などが行われ、今も、1896年から市民のために回り続けているそうです。
 チケット売り場を入るとまず、以前は30台あったゴンドラが、戦後15台に減られたので、そのゴンドラを利用して、小さな歴史館が作られています。一つ、一つのゴンドラの中には、ミニチュアで当時の様子が再現されていて、とてもかわいらしく、その手の込み様には驚きます!! そして、いよいよ観覧車へ(一人8ユーロ)。大きなゴンドラに、10人ほどの人が乗れます。ゆっくり、ゆっくりと、一周し、景色自体は、特別な物ではありませんが、その一周に長い歴史を感じます(写真3)。

写真3 プラーター遊園地のゴンドラ 写真4 ウィーン市内の公園

 このゴンドラ、事前に予約すると、貸し切ってパーティや、お祝いをするのに、利用できるそうです。誕生日や記念日など、プランを伝えれば、それに応じた様々なサービスもあり、対応してくれるようです。また、ビジネスランチなどにも利用可能と書いてありました。いつか、利用できたらいいなと思います。
 ここから、歩いて、ドナウ川岸まで行き、少々歩きましたが、川には、客船などがたくさん停まっていました。私のイメーシしていた川とは違い、街中を流れているので、岸もきれいにコンクリで固められていて、風情などは全くありませんでした。
  が、ウィーン市内自体は、ミュンヘン同様たくさんの緑があって、市立公園内などは、小さな川も流れて散歩には絶好の場所だと思います(写真4)。また、公園内には、オーストリア・ウィーン出身の作曲家などたくさんの著名人の像があり、それを見て回るだけでも、この国が音楽の都と呼ばれていることに納得します。その他、オペラ座の建物を外から眺めたり、ショッピング街を歩いて、ウィーンの人の日常を眺めたりしました。
 街には、外壁の後や、古い建物がたくさん残っていて、雰囲気のいいカフェや、レストランもたくさん見つけました。もっと、長期で滞在して色々な店を訪れたかったです。
 今回私たちは、ケーキ王国ウィーン(写真5)のケーキから、アプフェルシュトゥルーデを食べてみました。さくさくしたパイ生地に甘いりんご!!とても美味しくて、ぺろりと食べてしまいました。

写真5 ケーキ王国ウィーンのケーキ屋

<2日目>
 2日目は、まず、王宮内にある、音楽教会へ。どの教会でも日曜の朝にはミサがありますが、ここのミサは少々特別。あの有名な、ウィーン少年合唱団の歌声が聴けるのです!!ということで、ミュンヘンから1週間前に予約しておきました。シーズンは、もっと早く予約が必要になるようです。普通の教会のミサは、無料。教会には、誰でも入れますが、ここのミサは有料です。
 私たちは、予約の際、安めの席をということで、2階の席を取りました。「この席なら、ぎりぎり見えますよ」と言われた席で、14ユーロでした。が、実際にミサが始まると、彼らの歌声は聞こえますが、その姿はありません。どうやら、最上階のテラスで歌っているらしいのです。
「ぎりぎり、私たちの席から見える」のは、説教をする神父様。でも確かに、ミサに来ているのですから、だまされたとは言えません。普通の教会のミサに比べると、歌の回数も多かったように思いますし、素晴らしい歌声を生で聞いているのは事実です!!が、これなら、ただで入場し、立ち見にしておけば良かったかなと思ってしまいました。そして、2時間ほどのミサの最後。会場内にざわめきが!!
合唱団が、一階の神父様の祭壇の所に並んだのです(写真6)。

写真6 王宮内の音楽教会

 そこで歌ったのは、たった一曲でしたが、やはり、姿を見て聞いた方が、ずっと気分がいいなと思いました。これが、最後の曲で、ミサは締めくくられました。2時間のミサ、立っておくことが辛い人はお金を払うべきですが、そうでなければ、当日朝早く、入り口に並び、ただで、立ち見をした方がいいかもしれません。
 その後は、王宮内の庭をぬけ、市庁舎の方へ向かいました。ちょうど、スキーのイベントがあっていて、この地方の踊りなども見学できました。驚いたのは、市庁舎の建物、ミュンヘンの市庁舎とそっくりでした!!
 お昼には、ウィーンの有名な料理、「シュニッツェル」を食べました。が、ミュンヘンで食べている物と味は同じでした。地元の味がミュンヘンでもそのまま再現されているということでしょうか。
 お昼から街の中心に建っている「ステファン教会」に行きました(写真7)。

写真7 ステファン教会

 日曜の午前中は、ミサのため、一般公開がありません。昼の公開時間1時半にあわせて、教会に行くと、たくさんの人が見学に来ていました。教会内は、300年かけて建てられただけあって、豪華で、立派な作りとなっていました。
ここでもう一つ、見学しておきたいのが、「カタコンベ」。これは、地下墓地で、見学は、30分おきのガイドツアーになっています。ガイドさんが「英語がいい人?ドイツ語がいい人?」と聞き、半々だったので、両方でガイドをしてくれました。
 地下はやはり、独特の匂いと雰囲気で、息をのむ物がありました。整備された部分は納骨堂になっていて、この教会の神父さんなどが眠っています。さらに奥には、王家の内蔵を収めてある壺の並んでいる部屋があり、様々な形の壺が並んでいました。壺の大きさから、子供の物だとか、知ることができます。
 そこから、さらに奥に進むと、そこは教会の地下ではなく、正確には、教会横(一般道)の地下になるそうで、一般市民の骨が所狭しと積み上げられています。埋葬するための土地がないため、地下に白骨を山積みにしてあるそうです。もうひとつ、地下にさらに深く掘られた穴の中にも、白骨を見ることができます。これは、その昔、ヨーロッパでペストが大流行したとき、その死体から誰も菌をもらわないようにと考えられて作られた穴だそうです。
日本の納骨堂と違い、地下に作られていて、さらに昔の人の骨はただ、山積みになっているので、何とも言えない、空気が漂っていました。

 最後に、「Hundertwasser Haus」(フンダート ヴァッサー ハウス)に行きました。日本のガイドブックにはあまり取り上げられていないようですが、ウィーン出身の建築家フンダートヴァッサーが建てた建物です。彼は、エコロジストとしても有名で、「自然との共生」をテーマに建築、絵を描くなどの活動をしています。カラフルでユニークな作りのその建物ですが、市営団地として使われているので、内部の見学はできません(写真8)。

写真8 フンダート ヴァッサー ハウス 写真9 オペラ座近くの地下鉄の駅にあるトイレ

建物一階と、向かいの建物に、土産屋があり、彼の作品の写真なども見ることができます。ちなみに、大阪には彼の設計したビルがあります。
 余談ですが、音楽の都ウィーンで、面白いトイレを見つけました。オペラ座近くの地下鉄の駅にあるトイレ(写真9)。入り口と内部がまるでオペラ座内にいるかのような作りになっています!!
 今回は、2日間の滞在で、オペラを見られなかったことが一番残念です。次回はぜひ、本場のオペラかコンサートを味わいたいと思っています。
ウィーンは首都ですが、本当に小さく、2日間でも十分に見て回れる規模の街でした。が、市庁舎、王宮の周りを始め、たくさんの自然に恵まれているので、観光スポットのみを早足で回らず、のんびり散歩でもして、ゆっくり滞在するのに適した街だと感じました。