No. 2007,10,30.発行   編集:吉田優子(H12年度生:ドイツ駐在員)
                   
 ドイツ滞在レポート No.27

* 今回から「研修」から「滞在」に変更します。

「オクトーバフェスト 〜ドイツ最大のビール祭り〜」
 例年、たった2週間の祭りのために、1ヶ月ほどかけて、42ヘクタールの土地に建てられる14のテントと、遊園地。
世界中から約600万人が参加しています。
一番大きなテントには1万人座ることができ、全てのテントの総従業員数は、1万2000人。
690万リットルのビールが飲まれ、720万トンのゴミが出ます。
世界規模のお祭りだけあって、こうして、数字を並べてみても、そのスケールの大きさに驚きますが、その歴史も立派なもの。今年で174回目を迎えました。

 そんな世界規模の、そしてミュンヘナー(ミュンヘンに住む地元っ子)にとっても、一大イベントの祭りに、私も3年目ということで、バイエルンの伝統衣装を着て、張り切って参加してきました(写真1)。

写真1
バイエルンの伝統衣装を着て参加 


 まずは初日〈9月22日(土)〉
この日は、地元の人に取って、一番大切な日。12時に、市長の掛け声で「オクトーバフェストビール」の樽が開けられ、そこから、閉店の23時まで、バンドの生演奏が鳴り響きます。バンドによる演奏は毎日ありますが、昼から23時までずっと続くのは、初日だけ。他の日は、夕方からテントの閉まる時間までの演奏のようです。
昼から、盛り上がるのは、この日だけ!!ということです。
 そこで、地元の人達は、テント内の席を3、4ヶ月も前から予約し、この日に備えます。
「予約なしでテントに入りたければ、朝8時までには会場につき、テント前に並ぶべし」と言うのは、ここでは有名な話。
ですが、なんとかなるかもしれない、と、甘く考えた私達は、10時頃会場に着きました。会場内の遊園地は既に開いているようで、楽しんでいる家族連れ等もいました。
テントの入り口はまだ開いていましたが、実際、中はすごい人で、座れるような状態ではありませんでした(写真2)。まだ、ビールを頼めるまで2時間以上もあるのですが、みんな、家から持ってきたサンドイッチを食べたり、持参したビールを飲んだり、カードゲームをしたり...と、それぞれに時間をつぶしていました。

写真2
テントの中
ビール販売開始2時間前なのに
この盛り上がり


 そこで、私達は、オープニング前のパレードを見ようと、パレードを待つ人の群れにまぎれました。このパレードは、初日の朝それぞれの醸造所から、会場に向けてビールの樽を乗せた馬車がやって来るというものです。馬車の到着は、12時のオープニングの少し前。ということで、私達も1時間ほど待ちました。パレードはそれなりに華やかでしたが、音楽等は特別すごいものでもないので、1時間も待ったのに...というのが、正直な感想でした。
 
 それから、ビールを飲もうと、それぞれのテントを覗きに行きましたが、もちろん、どのテントも入場制限で入り口は閉じてあり、ビアガーデンの入り口も同じように閉まっていました。
待っていても、今日は入れないだろうと、初日は結局、ビールを飲まずに帰りました。
 あとで、聞いた話ですが、別の友達は、8時には会場についていましたが、やはり、テント内の席は確保できなかったそうです。来年は、7時かな...と、話していました。

 そこで、気を取り直して2日目(23日(日))
長年、ここに住んでいる友達曰く、「最初の日曜日の20時以降は、みんな帰り始めるから、絶対にテント内に席を確保できる!!」。その言葉を信じて、この日は夕方から出かけました。昼からビアガーデンで飲んでいた友達と合流しましたが、18時の時点で、既に何杯飲んだのか、覚えていない様子でした。まだ寒くなかったので、まず、ビアガーデンに座ってビールを注文。テントにより少々違いますが、今年のビールは7、30ユーロから7、80ユーロ。毎年高くなっています。
何度も乾杯したりして、マス(1リットルジョッキ)のビールを飲み進めます。20時頃、寒くなり始めますが、この頃には本当に、テント内が空き始めます。月曜からの仕事を思って帰宅する人が出るためです。
そこでみんなで、ビールを持って、テント内に移動。すぐに、席も確保できました。とは言っても、席に座るということは、基本的にありません。常に、ベンチの上に立ち、片手にジョッキを持って、歌い踊り...飲み続けます。若い人も、白髪の入ったお年寄りも関係ありません。隣の席の人、向かいの席の人とも、乾杯したりして、とにかく陽気に飲み続けます(写真3)。

写真3
陽気に飲み続けてます


こうして、テントの閉まる23時まで、飲み続けたわけですが、さすがにこの日は、翌日の仕事を考えて、1リットル半で止めておきました。
 ちなみに、帰りに一つくらいと、ジェットコースターに乗ってから帰ったのですが、翌日、私の友達は、乗ったことすら記憶にありませんでした(これが、オクトーバフェストの醍醐味です)。


 2週目の週末は、「イタリア人の週末」と言われています。海外からの参加も多いのですが、特に隣国イタリアからの参加は多く、陽気な彼らの酔っぱらい振りは見事なものです。
実際、私達も2週目の週末に出会った人のほとんどは、イタリア語で話しかけてきました。話しかけられても全く理解はできませんが、彼らも理解してもらいたいわけではなく、楽しい場を共有しているという空気を味わっているようです。
 私達は、この土曜日は、飲むというよりも、祭りの乗り物、食を楽しもうと出かけました。
こちらでは、移動遊園地というのは珍しいものではなく、この祭り中以外にも、1ヶ月だけ、2週間だけと、遊園地がやって来ることがあります。始めて見たときには、安全性を心配しましたが、どのアトラクションもしっかり、建てられているようです。
今年は、ブランコが回転しながら地上40メートルまで上がるという乗り物に乗ってみました。風が心地よく、眺めの良くて、会場内が良く見渡せました(写真4、5)。

写真4 回転ブランコ。地上40メートル 写真5 回転ブランコから見た会場


その他、2つほどアトラクションを楽しんで、前から気になっていた「Fischer-Vroni」という、14あるテントの中で唯一、魚を食べられるテントに向かいました。テントの外で、炭で魚を焼いていて、前を通る度にいい匂いがするので、前から食べてみたかったのです(写真6)。種類は、鱒、サバ、鮭など。塩焼きにレモンをかけて...この日は、サバを食べましたが、脂がのってとても美味しかったです。

写真6 
炭火焼きの魚
とても美味しかったです


 今年4回目の参加は、祭りの最終日となる10月7日(日)。本当は、翌日の仕事を考えて、土曜日に行きたかったのですが、昼3時には「今日は本当に混雑していて、入場は不可能です」とラジオで呼びかけていました。
そこで、日曜日、午前11時には会場につきました。さすがに午前中ということで、席はまだ空いていたり、ブランチを食べた家族連れが帰り始めたりと言う時間でした。
私達も、テント2階に席を取り、ビールと一緒に、この祭りの名物と言える「鶏の丸焼き」(8〜9ユーロ)を注文しました(写真7)。運良く、近くに座っていた家族連れから、「ビール」と、「鶏の丸焼き」のタダ券を2枚ずついただきました。この券、多くのミュンヘン市内のオフィスで配られているそうです。会社がまとめて買って、従業員に配るというのが普通のようです。

写真7
祭りの名物「鶏の丸焼き」 


おかげさまで、タダで昼食を済ませ、ビールを2杯飲み終わったところで、他のテントにいる友達と合流するために、移動しました。
余談ですが、各テントの入り口には、警備の人が立っていて、酔っぱらいの処理や、入場制限に当たっていますが、それと同時に、ビールを持ち出そうとする人を止めています。それぞれの醸造所によって、ジョッキに銘柄が記入されていて、そのジョッキをお土産に持ち帰ろうとするのを防ぐためです。
 友達のいたテントは、会場内で一番若い人に人気のテントですが、まだ2時だったので入場制限はされておらず、中に入れました。でも中は、最終日ということでバンドの演奏にも熱が入り、かなり盛り上がっていて、すごい熱気、中々前に進めないほど通路まで人が出て踊っていました。
ここで、さらに1杯ビールを飲み、歌い、踊り・・・
私のビール記録を3リットルに更新しました。でも、友達をテントに残し、夕方には帰宅したので、次の日の仕事には支障ありませんでした。


 ここで、少々、オクトーバフェストの裏側も紹介したいと思います。
 早い人は朝の10時には飲み始め、途中で帰る人もいますが、中にはテントの閉まる23時まで1日飲み続けるという人もいます。そう言う人は、10リットルくらい飲むそうです。ビールは1杯8ユーロですが、酔ってくるとチップも弾むので、一回に10ユーロ払っている人もいるとか。1日で使うお金もバカになりません。
そこで、お金のない学生は、家である程度飲んで、いい気分になってから出かけるというのも、よく聞く話です。
 上記したように、「記憶がない」、「夕方には何杯飲んだのかもう分からない」、「1日で100ユーロほど使ってしまった」というのは、日本人から見ればびっくりする話ですが、ミュンヘナーに取って、この祭りはそのためにあるようなもの。
酔って、記憶を失って、お金を使い果たして...それがこの祭りの醍醐味です。
 その反面、掏摸なども多く、会場内にはたくさんの警官がグループでパトロール、警備に当たっています(写真8)。
 また、急性アルコール中毒なども多く、会場には救急車も待機していて、運ばれる人の姿を見かけることも少なくありません(写真9)。

写真8 バトロールしている警官 写真9 酔っぱらいを運ぶ担架


路上で寝てる人、友達に担がれて帰宅する人も見かけ、その程度ならいいのですが、死者の出る年があるとも、聞きます。
そこまでして、この祭りに参加したいとは思いませんが、毎年、回を重ねるごとに私もこの祭りを好きになっています。
 今なら、春先(半年前)から、祭りの情報(今年のビールの価格)が地元の新聞に載る理由が分かる気がします。