九州方言研究会会報 NO20
2004年12月13日発行
KYUSYU HOGEN KENKYUKAI
(The Society for the Study of Kyusyu Dialect)
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発行元・事務局
811-4192福岡県宗像市大字赤間文教町1-1
   福岡教育大学 教育学部  杉村 孝夫
Tel 0940-35-1283 Fax 0940-35-1723
E-mail sugimura@fukuoka-edu.ac.jp
郵便振替 01790-2-25125(杉村孝夫)
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  九州方言研究会会報20号をお届けします。今回の内容は福岡で行われる1月研究会の案内,図書などの紹介です。

◆◆◆◆◆◆◆第19回研究会のご案内◆◆◆◆◆◆◆◆

 第19回研究発表会を以下のように開催します。今回は福岡女学院大学の二階堂さんのお世話により、再び天神サテライト教室で開催することになりました。発表内容は次のとおりです。ふるってご参加ください。

 
 1.と き:2005年1月8日(土)午後2時〜5時ごろまで

 1.ところ:福岡女学院 天神サテライト教室 (別紙参照)
       (天神2丁目8−38 協和ビル9階 地下鉄天神駅 徒歩1分)
      
 
 3.懇親会:研究発表会終了後、会場近辺において懇親会を予定しています。こちらの方にもどうぞご参加下さい。
            
 4.宿泊など:宿泊は各自ご予約ください。



お願い:研究会、懇親会に出席の方は12月28日(火)までに電子メールまたはファックスにて事務局(杉村)までご連絡ください。特に懇親会については人数把握のため必ずご連絡ください。
 


5.発表: (1)福岡弁をめぐって 
中村 萬里(筑紫女学園大学)
{要旨} 本発表では、従来ほとんど調査報告されていない福岡弁(福岡部の言葉)について考えてみる。古い町「博多」に対して、新しい町「福岡」の言葉を最近耳にすることがない。例えば、「がっしゃい」という言葉がある。「貸してがっしゃい」 「どうしがっしゃーと」など。この言葉は、ござる+しゃる→ござらっしゃる→ごあっしゃる→がっしゃる、になったと思われる。意味は、「〜ください」「〜いらっしゃい」である。一般的には「がっしゃい」は、武士の言葉の名残と考えられている。私の調査に関する限りでは、近代的な女性語やお嬢様ことばの「てよだわ言葉」と軌を一にしたものとの見方もできそうである。また、アクセント現象もいわゆる博多アクセントと若干の差異が認められる。


     (2)熊本方言における「が」と「の」の使い分けに関して
加藤幸子(マサチューセッツ工科大学大学院/東北大学大学院)
{要旨} 標準語では主格はすべて格助詞「が」により表されるが、熊本方言などでは、主格は「が」または「の」により表現される。本発表では、熊本方言の「が」と「の」は解釈の違いにより使い分けられていることを示すとともに、標準語のすべての「が」が、熊本方言において「の」に置き換えられるわけではないことを、現在把握している範囲で議論する。(その際、データに関して助言など頂ければ幸いに思います。)
  また、方言研究の生成文法理論への貢献についても考えたい。


      (3)長崎県島原市方言の音調体系―木部2000を参看しつつ―
崎村 弘文(久留米大学)

{要旨}
    長崎県島原市方言は、2型の語声調方言であることが知られているが、その
   助詞・助動詞の音調体系については不明の点が多かった。同じ島原半島の方言の   それについては、先行研究として、木部2000に加津佐町方言をめぐる論考が有る   が、島原市方言の体系と対比してみると聊か不審な点も認められる。長崎県南の   方言の音調体系をより良く記述することを目的として、若干の考察を試みたい。   
 
      
 ★★★★★★次回研究会は2005年7月上旬(第一土曜は2日)を予定しています。発表、参加をよろしくお願いします。★★★★★★★★★★★★


著 作 紹 介

(1)『日本語のアスペクト・テンス・ムード体系−標準語研究を超えて−』
                         工藤真由美<編>

 東北から沖縄に至る諸方言における、アスペクト・テンス・ムードの文法構造を中心に、統一した枠組みで下記3期7年間にわたる「体系的」かつ「動態的」観点からの調査研究の成果の一部。
 @ 第一期(3年間) 西日本を中心とする調査
   九州方言研究会による『西日本諸方言アスペクトの地域差に関する研究』
 A 第二期(2年間) 西日本と東日本を中心とする調査
   科学研究費補助金基盤研究(B)(1)『方言のアスペクト・テンス・ムード体系   変化の総合的研究』
 B 第三期(2年間)沖縄・奄美を含む全国調査
   科学研究費補助金基盤研究(B)(1)『方言における動詞の文法カテゴリーの類   型論的研究』
  
 目  次

 第1部 序論 標準語研究を超えて

 T調査の概要−東北方言から沖縄方言まで(工藤真由美)
 U研究成果の概要−アスペクト・テンス・ムードを中心に(工藤真由美)

 第2部 方言が提起する新しい視点
 ■述語になる品詞の連続性−動詞・形容詞・名詞(八亀裕美)
 ■青森県五所川原方言の動詞のアスペクト・テンス・ムード(工藤真由美)
 ■青森県五戸方言形容詞の〜クテル形式(金田章宏)
 ■福岡地区のアスペクト・待遇・ムード(木部暢子)
 ■形容詞に接続するヨル形式について−熊本県下益城郡松橋町の場合(村上智美)
 ■熊本方言における「寂ッシャシトル」「高シャシトル」という形式について
                              (村上智美)
 ■沖縄方言の動詞のアスペクト・テンス・ムード−沖縄県具志川市安慶名方言のばあ  い                        (かりまたしげひさ)
 ■シヲリ形とシテアリ形・シテヲリ形−奄美大島大和浜・津名久方言における
                              (須山名保子)
 ■ウチナーヤマトウグチ−動詞のアスペクト・テンス・ムード(高江洲頼子)

(ひつじ書房2004年、定価6,200円)



(2)『出雲のことば CD-ROM/DVD』

 DVD版では、出雲のことばによる民話、昔話、日常会話が聞ける。
1.はじめに  映像「一粒の米におもう」
 2.日常会話編 シナリオ:オリジナル
 3.民話・昔話・神話編
   「飯山狐」「十六島の地名」「やれな婆あ」「こぶとり爺さん」「ちゃっくりかき」   「うわばみと田能久さん」「だらずの知恵」「だらず婿さんとつけもん」「あわて   もの婿」「平田の方言」「八岐大蛇」「国引き」
 4.出雲弁パラダイス
 ・診察室のお婆さん(全国ズウズウ弁大会(平成16年1月)から)
 ・お婆さんの会話(平田市有線放送 昭和52年)
 ・出雲弁有線放送(平田市有線放送 平成14年)
 ・爺と婆の世間話
 ・出雲勉強室

 CD-ROM版の「辞書」では、約5400語の単語を50音順に配列、共通語訳・同意語・用例(その訳)を記すとともに約900語の音声が聞ける。
 方言、共通語、両方から単語の検索が可能
  参照:牧野辰雄『出雲のことば早わかり辞典』、奥野栄HP「出雲弁の泉」

 「音声と表現」は、次の3部構成による出雲方言の音声、概説である。
音声 出雲弁モーラ表、モーラ音声、母音、無声化、開合、訛音の音声が聞ける
表現法 表現法、待遇表現
あいさつことば あいさつことば

※調査・研究協力者として、友定賢治、有元光彦、灰谷謙二、岩城裕之、友定優子の各氏の名あり。

    発行(湖西振興機構<斐川町・宍道町・平田市>2004、1セット+送料等3,290円)


  写真に写った方言(写真掲載は工事中)

 石垣市内2004年11月撮影
写真1は、公設市場前の食堂の看板。「おーりたぼーり」(いらっしゃい)の表記あり。

写真2は、その近くのアーケードの横断幕。左側が少し切れたが、「にいふぁいゆー」(有り難う)と記されている。

写真3は、アーケード内の商店のひとつ。「うふぱーに」(大羽)は商店名。

写真4は、石垣市内、八重山そばの店の看板。「まーさん道」は「マーサンドー」(美味いよ)の文末助詞「ドー」を「道」に置き換えている。


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