自閉症(正確には自閉性障害)はDSM−Wでは、通常、幼児期、小児期、または青年期に初めて診断される障害のひとつである広汎性発達障害(Pervasive
Developmental Disorders、以下PDD)に含まれます。PDDの特徴は、発達のいくつかの重要な面に障害があることです。たとえば相互的な対人関係技能、コミュニケーションの能力に質的な障害があります。または常同的な行動、興味、活動がみられます。(行動を同じようにくりかえしたり、その興味や活動の幅が狭いこと)。このような障害は、発達年齢や精神年齢から考えると明らかに偏りがあることが特徴です。PDDには、自閉性障害、レット障害、小児期崩壊性障害、アスペルガー障害、および特定不能の広汎性発達障害が含まれます。これらの障害は通常乳幼児期早期に明らかになり、しばしば、ある程度の精神遅滞を伴います。DSM−Wでは多軸診断を行いますので、診断の対象となる方を、主訴となる精神科的な診断(T軸)、精神遅滞や人格障害(U軸)一般身体疾患(V軸)、心理社会的および環境的問題(W軸)、機能の全体的評定(X軸)と5つの面で総合的に理解します。同じ自閉性障害であっても、その重さに個人差があり、精神遅滞があるかどうかも様々です。またてんかんなどの身体疾患を持っている場合(V軸)はそれに対する薬物療法も必要ですし、理解のある家族に育てられている場合、反対に虐待に近い取り扱いを受けている場合では(W軸)では治療的な介入も異なります。そして、同じ自閉性障害でも適応の状態(X軸)は、非常に幅があり、就職して人生を謳歌している人もいれば強度行動障害に陥ってしまっている人もいます。もし精神科医が総合的な診断を行ことができ、支援の対象となる方とそのおかれている環境について深い理解が可能となれば、より適切な援助が可能となるでしょう。
最近は、自閉性障害やアスペルガー障害、特定不能の広汎性発達障害を含めて自閉症スペクトラム(自閉症圏障害)と呼ばれることが増えています。それは、認知能力や言語能力に様々でも、対人的な相互作用の困難さや、想像力が乏しく、こだわりの傾向があることは、人が社会で生きていく際よく似た困難をもたらすからです。