その他の最近のブログ記事

クジラの彼

| コメント(0)

「空の中」、「海の底」、の番外編を含む短編集、なのでSFではないが<その他>カテゴリで記録しておく。「クジラの彼」は「海の底」でもちょっとだけ触れられていた冬原が結婚するに至る顛末。「ロールアウト」は輸送機設計チームの彼女と隊員の彼のエピソード。「国防レンアイ」は強くあろうとしている女性隊員と同僚の彼の話。「有能な彼女」は「海の底」の夏木と横須賀事件で潜水艦に閉じ込められた望が技官となって付き合いだした話。「脱柵エレジー」は新人訓練の途中で隊から抜け出そうとする(=脱柵)隊員を捕獲する役割の隊員同士を自らの過去と結びつけながら描く。「ファイターパイロットの彼」は「空の中」の青年カップルである春名高巳と光稀の付き合いから結婚して子供ができているところまで。光稀の強力なツンデレぶりがなつかしい。いずれも作者自らが言う通りべたべたの恋愛ものだが、基本的にハッピーエンドで読後が心地よい。これで自衛隊3部作と関係作は文庫になったんだからいいかげん図書館戦争シリーズにとりかかってくれないかなあ。

(「クジラの彼」、有川浩著、角川文庫、2010年6月発行、ISBN978-4-04-389804-6)

鏡明が『本の雑誌』に連載している「連続的SF話」のコラムから抜粋・追記したもの。期間は1979年13号?2001年3月号(213号)。SF以外に鏡明が面白いと思った本やCDの話が多いけれど、一番の特徴は本業の出張がらみで言った世界各地での本屋めぐりかな。といってもその手の本屋があるような町(ニューヨーク、サンフランシスコ、ロサンジェルス、ロンドン、パリ、といったところからスペインやメキシコまで)が中心になるけど。最初の方にはホーガン「星を継ぐ者」なんかが出てきてなつかしい。これだけの年数になると途中で物故したSF関係者も多数出てくる。ハインライン、シマックなんかの作家から黒丸尚とかも。90年代ののあたりの話も含まれてる。鏡明のSFの嗜好は必ずしも自分と一致しないけど(あたりまえ)、大森望の日記といい、この手の本は時の流れをたどるのが面白い。続きも単行本化を強く希望する。

(「ニ十世紀から出てきたところだけれども、なんだか似たような気分」、鏡明著、本の雑誌社刊、2010年3月、ISBN978-4-86011-202-8)

「超能力番組を10倍楽しむ本」の姉妹編。取り上げられているのはトンデモ本シリーズでも取り上げられていたその筋では有名なものばかり。「水は字が読める?」、「ゲームをやりすぎるとゲーム脳のなる?」、「有害食品買ってはいけない?」、「血液型で性格がわかる?」、「動物や雲が地震を予知する?」、「2012年地球は滅亡する?」、「アポロは月に行っていない?」、その他、多数の小ネタも。エピローグでは疑う心を大切にと称してニセ科学を楽しむ十カ条をあげてある。新味はないが、イラストを交えて子どもでも読めるようにしてあるため読みやすい。

(「ニセ科学を10倍楽しむ本」、山本弘著、楽工社、2010年3月発行、ISBN978-4-903063-41-6)

SFアニメを科楽する!

| コメント(0)

「福江流SFアニメと科学と"美少女"の楽しみ方」とサブタイトルにあるとおり、お得意の科"楽"という言葉を冠した本。取り上げてあるのはアニメ最初期の「鉄腕アトム」から始まって(多分、この本のきっかけにもなったかと考えられる)最近の「涼宮ハルヒの憂鬱」まで。キーワードのとおりSFと分類できるもので何らかの形で美少女も主要な役割のもの。他には「サイボーグ009」「マジンガーZ」といったなつかしいものから、「うる星やつら('87含む)」「機動警察パトレイバー」「新造人間キャシャーン」「キューティハニー(新含む)」「機動戦士ガンダム(新訳Zガンダム含む)」「宇宙戦艦ヤマト」「ドラゴンボールZ」といったある意味定番的なもの、「ダーティペア」「新世紀エヴァンゲリオン(新劇場版序含む)」「トップをねらえ!(2含む)」「ふしぎの海のナディア」「風の谷のナウシカ」「天空の城ラピュタ」といった別の意味の定番、「プラネテス」「銃夢」「11人いる!」「火の鳥」「超人ロック」「攻殻機動隊(2.0含む)」「絶対可憐チルドレン」「灼眼のシャナ」や、「サクラ大戦?桜華絢爛?」「ゼノサーガ」といったゲームベースのものや、「"文学少女"」「まほろまてぃっく」「ハチミツとクローバー」といったようなものまで幅広い。全部見ているわけじゃないが、見事に自分の好みと重なるのが多い。これらアニメといいゲームといいよく見たりしたりする時間があるなあ、と感心する。

(「SFアニメを科楽する!」、福江純著、日本評論社、2010年3月発行、ISBN978-4-535-78633-2)

ソフトバンク文庫のカッスラーということで、てっきり<オレゴンファイル>シリーズと思ってたら、新しいシリーズだった。NUMA と全く関係のない初めてのシリーズとのことで共同執筆の相手はファン上がりのブラックウッド。主人公はトレジャーハンターのファーゴ夫妻。夫のサムはカルテク卒のエンジニアでDARPAでの7年の勤務でCIAをはじめとする豊富な人脈を持つ。妻のレミはボストンカレッジで人類学と歴史学の修士を修めた才媛、結婚後にサムの発明が大ヒットして得た利益を元に大きくした会社を売り、慈善団体を設立。自宅兼オフィスのあるカリフォルニア州にトレジャーハントを支える凄腕の調査チームを抱える。2人とも冒険をいきがいとしサムは柔道の達人、レミは射撃・フェンシング・ロッククライミングの達人という設定。この第1作では、アメリカ東海岸で伝説の財宝を追っていた夫妻が第二次大戦時のドイツのミニ潜水艦に遭遇したことから、船内で発見されたワインボトルを手掛かりに古代に遡る謎の発見に挑む。マフィアの大ボスが同じ謎を追っていたことから熾烈な争いになる。ワインが<ナポレオンの失われたセラー>由来のものであることから、古代スパルタに絡む黄金とスパルタと戦ったペルシャ皇帝の末裔が敵のマフィアのボスであることなどが判明する。NUMAのからむシリーズは設定などに若干近未来的なものがあり、オレゴン号なども夢のハイテク船の赴きがあるが、このファーゴ夫妻シリーズは、特にそんなところもなく、現代によみがえった宝探し物語。カッスラーが実際にこう生きたいというのが最もストレートに出ているのかもしれない。2作目は構想中だそうである。

(「スパルタの黄金を探せ!(上・下)」、クライブ・カッスラー&グラント・ブラックウッド著、棚橋志行訳、ソフトバンク文庫、2010年3月発行、ISBN978-4-7973-5853-7,978-4-7973-5854-4)

世界最長寿と銘打った大森望のWeb日記の1995-2000年分の抜粋。抜粋といっても約500ページのボリュームは圧巻である。内容はSFとミステリ関係の交遊録およびインターネットの動向も含まれて結構幅広い。この時期はすでにSF大会なんかは参加してないので、出てくるSF界のできごとも雑誌その他で間接的に聞いてたようなことが多く、改めて読むとなかなか興味深い。翻訳小説関係はともかく、アニメやゲーム関係(関連してカラオケ関係)は自分でほとんどフォローしてないので、わからないことが多く、その都度、ウェブで補足情報を調べて読むと時間がかかってしょうがない(またカラオケの話が多いんだ、宴会の後はほぼ必ずカラオケみたいだし)。全体としては途中に出てくるDASACON賞のコメントにあったとおり「作家の素顔や生の声に接することができる」「業界情報や仕事の様子がよくわかる」といった評価のとおりだろう。今でも大本のWebページは公開されているので、その気になれば読むこともできるわけだが、分量を考えると、なかなか機会がないと、いったん読み出すとのめりこみそうで怖い。この本が好評なら続き(2001年以降)も出るかも、とのことなので、それが出たら改めて読んでみよう。

(「狂乱西葛西日記20世紀remix」、大森望著、本の雑誌社刊、2009年9月発行、ISBN978-4-86011-099-4)

「よくわかる現代魔法」シリーズを題材に、昔なつかしいアスキーの256本の題名をパクったTVアニメ化記念の派生本(多分)。冒頭がイラストの宮下未紀による書き下ろしマンガ。登場キャラと声優の紹介および声優の座談会。用語解説にイラスト集、既刊の原作の紹介。詠唱呪文基礎講座と称してプログラムリストを交えた解説。アニメの監督とプロデューサーのインタヴュー。巻末の書き下ろし短編「夏のスプライト」では、並行宇宙のこよみたちが現れて大騒ぎになった顛末。これはこれでいいけど本編の続きを早く書いてくれ。

(「よくわかる現代魔法が256倍よくわかる本」、桜坂洋・宮下未紀・「現代魔法」製作委員会、集英社スーパーダッシュ文庫、2009年8月発行、ISBN978-4-08-630499-3)

レインツリーの国

| コメント(0)

ここは原則としてSFと関連本の記録をつけているのだが、この本はごくまっとうな恋愛小説でSF的内容はない。ただし「図書館内乱」とのコラボ小説という意味と、単純に有川浩の小説は読んでよかったと思うので書くことにした。関西から東京に出てきて3年になる青年「伸」は、かつて読んだライトノベル「フェアリーゲーム」の感想をネットの「レインツリーの国」というサイトで読み、作者の女性にメールを書く。その相手「ひとみ」とメールのやりとりをするようになった「伸」は、そのうち「ひとみ」に会いたいと思うようになるが「ひとみ」はなかなか会ってくれようとしない。やっとのことで会うことになった2人だが、せっかくの出会いも、どこかちぐはぐなところがあり、別れる間際のちょっとした事件から「ひとみ」が聴覚障害者で、何とかそれを隠して会おうとしていたことが判明する。最初の不幸なすれ違いを何とか克服して再度会った2人だが、ここでもささいな事件をきっかけとして傷つけあうようなことを言ってしまう。同僚の女性の発言から「ひとみ」の甘えに応えられなかった自責の念を抱きながら「ひとみ」に髪を切って垢抜けて補聴器も見せたら、と提案する「伸」に対し、突然「レインツリーの国」のトップページにしばらく更新を休むというメッセージが。焦ってメールした「伸」に対し、しばらく待って欲しいという「ひとみ」。やきもきして待つうちに1ヶ月ほどたって来た「ひとみ」からのメールには髪を切る決心をし「伸」の叔母の美容院に付き添って欲しいとの決意があった。短くなった髪と共に、やっと恋の成就した2人の姿を描いてさわやかな感動の結末となる。やっぱりこういう後味のいい小説はいいなあ。「図書館戦争」シリーズは文庫化の目処が立ってないそうだが、早く文庫化して欲しい。この作品で「フェアリーゲーム」として扱われているのは、笹本祐一「妖精作戦」シリーズだが、これがずいぶん前の作品でなかなかお目にかかれない。古書店で検索すると4冊セット3000円とか出てくるので躊躇してしまう。どっかで見つけて読んでみたいものだが。

(「レインツリーの国」、有川浩著、新潮文庫、2009年7月発行、ISBN978-4-10-127631-1)

SFファン48年

| コメント(0)

明治大学SF研究会の創立者のエッセイ。1995年に前著にあたる「SFエッセイ」が同じ出版社から出ているそうだが知らなかった。1948年生まれとのことなので私より1世代上の人のようだ。T大SF研の先輩で言えば長らく会長<会長は快調です>として君臨し平井和正のウルフガイの殺し屋のネタになったとも伝えられるS氏と同世代か。前半はSF関係のエッセイでSFマガジンのテレポート欄への投稿なども含む。後半は雑多なエッセイや創作だが長らく浜松で中学校の英語教師をされていたようで、そのあたりにまつわる話題を取り上げている。明治大SF研の40周年記念の話も載っているが、それを読むとT大SF研の40周年のことが思い出され行けなかったことが悔やまれる。50周年があれば是非行きたいものである。

(「SFファン48年」、川瀬広保著、近代文芸社、2009年1月発行、ISBN978-4-7733-7609-8)

オタク論2!

| コメント(0)

唐沢俊一と岡田斗司夫の雑誌『創』での連載をまとめた第2弾。内容は2人の対談だが、全体が第1部DEATHと第2部REBIRTHと題されているように、第1世代のオタクの死とその後という感じの話になっている。現代のオタク像(東浩紀らの第2世代、20代の第3世代、さらに下のケータイ世代?)を第1世代からどう見るかといった話や、昨年からの急速な経済状況の悪化から、今後の日本社会はどうなっていくべきかといった話(1.民主的な市民社会の延命、2.ネットと現実の狭間をリアルとして生きる、3.貴族農奴社会、という3つのパターンの実現性を検討し、3.の実現性が高いと見る)、など、この2人ならではという議論が展開される。もし、この不況が一段落するものなら、その時またこうした対談を聞いてみたいものである。

(「オタク論2!」、唐沢俊一・岡田斗司夫著、創出版、2009年5月発行、ISBN978-4-924718-93-7)

2010年8月

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

このアーカイブについて

このページには、過去に書かれたブログ記事のうちその他カテゴリに属しているものが含まれています。

前のカテゴリはSF小説です。

次のカテゴリはコミックスです。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。