小学館のBIG COMICS SPECIALでの星野之宣の傑作短編集の第2弾。タイトルどおり宇宙ものの短編集といったところか。「詩人の旅」は恒星間宇宙船ミューズの建設現場の閉鎖環境と宇宙に適応した乗組員の姿を描く。「木霊の惑星」は、かつて探査隊のシャトルが墜落した惑星の探査隊に加わったロボットメーカー創始者の老人が再び惑星に赴いた理由を描く。「メリー・ステラ号の謎」は、焦熱地獄の惑星への探査隊の男が赴いた衛星は生きている生物衛星だった。「射手座のケンタウロス」は、"不死"の生物の伝説の調査に赴いた権力者の老人の悲惨な末路を描く。「鯨座の海」では、完全に干上がっているように見える惑星が突然の大雨で海の惑星に変わった時、眠りから覚めた大いなる生物が仲間との会話を始める。「セス・アイボリーの21日」は、女性科学者が遭難した惑星は異常に老化を早める星で、生き延びるためにクローンを作るが、という話。「メビウス生命体」は、ブラックホールの探査隊が拾った球体には、物体の裏側に超次元的に移動できる生物が封じられていた。「ターゲット」では、地球を狙う小惑星破壊任務の部隊が任務を果たすと、そこには次の小惑星が。「ウラシマ効果」は、孤独な任務から50年ぶりに帰還した男は相対論効果で若いままだったが、という話。「大いなる回帰」では、危険な軌道を変更されて金星に落ちたハレー彗星と父・息子の話。「灼ける男」は、水星の昼側から徒歩で基地に帰還しようとした男の話。「WAR OF THE WOLRDS」は、アメコミのヒーローたちが現実に現れたらという楽しいパロディ。「宇宙からのメッセージ」はカトゥーン集。「夜の女神」は、月面基地をめぐる攻防を描く初期作品。これだけが1978年発表で単行本未収録。読んだ記憶はあるけど掲載時かなあ、それとも現代マンガ図書館で掲載誌を探して読んだのがあったけど、それだっけ?単行本未収録作を入れて付加価値にしてるんだろうけど、違和感があるなあ。
(「スターダストメモリーズ」、星野之宣著、小学館 BIG COMICS SPECIAL、2011年10月発行、ISBN978-4-09-184107-0)
コミックスの最近のブログ記事
「星を継ぐ者」単行本刊行に合わせて企画された(と思しき)ビッグコミックススペシャルの作品集の第一弾。表題から海洋関係かと思うが中身はそうでもない。巻頭の「レッドツェッペリン」では、合衆国の原潜ノーチラスに搭乗したドイツ中佐が北極海で原子力砕氷空母に出会うが既に炉心事故を起こしていた。「鯨鬼伝」では、鯨漁の島、肥前・又鬼島に天保年間に流れ着いた白人は身につけていたロザリオから神父と思われたが漁に同行した男の前に白い巨大鯨が現れる。「罪の島」では、海洋調査船の乗組員がカムチャッカで難破してたどり着いた島には謎の研究施設跡があり、巨大な海獣が襲ってくる。表題作では、第二次大戦期、ドイツの不沈戦艦ビスマルクが航空戦力とレーダーに打ち負かされるころ、同じドイツのワルター・タービンを使ったUボート実験艦が敵の攻撃から逃れて出たのはネス湖だった。「アウト バースト」では、南米の古代都市の調査に赴いた大富豪たちが、死の胞子を文明世界に持ち帰る。巻末の単行本初収録の「環礁にて」では、リゾート開発のための未知惑星の探査に来た調査隊が、滅びた文明のイメージがある条件が整った時だけ発現することを発見する。ほとんど90年代の作品で固めたもの、最後の「環礁にて」を除けばSF味はあまりない。
(「滅びし獣たちの海」、星野之宣著、小学館BigComicsSpecial、2011年9月発行、ISBN978-4-09-184106-3)
谷風長道が衛人操縦士として成長すると共に、ガウナ殲滅を目指して積極攻勢に出ることを決意するシドニア艦長。その一方で科学者・落合の異形の研究が徐々に明らかになり、戦いは新しい局面に突入していく。ハードな戦いの日々の中、艦内でのくつろぎの時に驚いたイザナの義手が長道の腕を握りつぶしたりという、ここしばらくの弐瓶作品にみられるギャグもちりばめられている。
(「シドニアの騎士 四」、弐瓶勉著、講談社アフタヌーンKC-716、2010年12月発行、ISBN978-4-06-310716-6)
いよいよ最終局面。無数の十字架が世界各地を襲い、滅亡の時が始まろうとする。何とかルナを止めようとするイサを助けに箱舟に乗って現れたのはイサの親父だった。それによりイサはラキア(=別宇宙)に行き、アブラクサスたちに勝てる兵器を入手しようとする。そこで出会ったのはこの宇宙を創ったもの(=神)であった。帰還したイサはまさに大洪水を起こそうとしていたルナを止め、世界は救われる。ラキアのこれまでの巻ってここに記録してたかどうか忘れてしまったが、完結を記念して記録しておく。
(「ラキア 5」、矢島正雄原作・Boichi漫画、講談社モーニングKC1963、2010年12月発行、ISBN978-4-06-372963-4)
奇居子(ガウナ)討伐に向かった赤井たちの討伐隊は全滅し、接近する奇居子を避けるため緊急機動したシドニア内部は大混乱に陥った。カビザシ回収に向かった谷風長道たちはなんとか奇居子撃破に成功するが、漂流する星白の捜索に向かった谷風は帰還限界点を超えてしまう。星白と遭遇して漂流する2人を救ったのは船規違反を承知で救助に向かった守備隊全機だった。星白とともに衛人操縦士に任命された谷風は連結型奇居子の迎撃に向かうが、谷風をひそかに恨む岐神によって瀕死の重傷を負い、奇居子は撃退したものの星白は戦死してしまう。一方、シドニアは進路前方にある自由浮遊ガス惑星を奇居子が潜んでいる可能性大として爆破するが、そこから現れたのはまるで衛人のような人型奇居子だった。「BLAME!」などのひたすらハードな世界観とはちょっと違って、ハードな戦いと「アンドソーオン」などでも見られたゆるい男女のからみも混じってちょっと不思議な読み心地になっている。
(「シドニアの騎士・二」、弐瓶勉著、アフタヌーンKCコミックス、2010年2月発行、ISN978-4-06-310633-6)
歩はアリたちに連れられて、月面の地下にあるもうひとつの街、ファベーラ=スラムの姿を見る。そこに現れたSGポリスの警備ロボット、ガーディアンとの戦いの最中、現れた仮想の女王、レディ・ファントムに連れていかれた先は中国月面市にある隠れ家ビレッジであった。ファベーラやガーディアンの姿、吾郎の弾圧、ビレッジの人たちのムーンチャイルドへの期待などで混乱した歩はアリとレディ・ファントムに自分の誘拐の目的を問う。アリたちは、それに応えるため、ビレッジから離れた月面に行き、ネクサス評議会が管理する仮想現実システムに歩をアップロードする。その仮想現実で歩はアメリカの田舎の一軒家のチェアに横たわる老人に出会う。いよいよ月面世界の裏に隠された真実とロストマンの姿の秘密に迫ってきた。
(「MOONLIGHT MILE 19」、太田垣康男著、小学館 BIG COMICS、2009年12月発行、ISBN978-4-09-182786-9)
第1話「七人みさき」では日本各地に伝わる「七人みさき」という怨霊譚を調べていたアマチュア研究家が死亡したことから、その研究成果をかつての級友たちに発表してほしいと頼まれた宗像が彼らに語ったことを描く。第2話の「生と死の女神」では、縄文遺跡の多い八ヶ岳連峰が古代から”黄泉の国”とみなされていたのは理由があった。死の女神イザナミの神話と火山噴火の関係を、地底湖からの忌部と宗像の決死の脱出行を通して描く。第3話の「神の背中」では、縄文土器の中でも最も異彩を放つ神像筒型土器は神の背中を表しているといわれるが、その謎の解明をある少年と約束した宗像と成長して青年になっても発掘にかかわる男との絆を描く。
(「宗像教授異考録、第十ニ集」、星野之宣著、小学館 BIG COMICS SPECIAL、2009年12月発行、ISBN978-4-09-182814-9)
第1話「扶桑伝説」では古代中国に伝わる東方海上の巨大な桑の木の伝説と石炭や巨樹の伝説の関係を探る。第2話の「無限回廊」では、お稲荷さんの朱色の謎を追う宗像が大学の同級生で歴史の教師をしている男と再会したことで、教授の娘と結婚した宗像一家を襲った悲劇が浮き彫りにされてくる。第3話の「裂けた仮面」では、裂けた顔の奥から覗く観音を表現した宝誌和尚立像をきっかけに、かつてインドで死亡した僧の亜南を思い出しながら宗像と亜南の姉の理論物理学者が、像に秘められた思想・哲学に思いをめぐらす。
(「宗像教授異考録、第十一集」、星野之宣著、小学館 BIG COMICS SPECIAL、2009年8月発行、ISBN978-4-09-182670-1)
第1話「巨木漂流」は古代に48mもあったと伝えられる出雲大社の伝説を火山噴火による巨木漂流とからめて解明しようとする話。忌部神奈の体調異変ともからめ気を紛らわせようとする宗像の姿も描かれる。第2話「ちいさきものの手」では土壙墓から出土した人骨が抱いていたちいさな手形の土器と卵巣摘出手術を受けた神奈が病院で小さな子を失った夫婦と出会うエピソードをからめる。第3話「女帝陛下の百合若大臣」では古い説話の「百合若大臣」と「ユリシーズ」は共に孤島に流された男が苦難の果てに帰還を果たすという共通点があることから神功皇后神話や武内宿禰の話につながる。第4話「権現の馬場」では馬が突然怪死するという木曽地方の伝承の正体とミステリーサークルの謎を解く。
(「宗像教授異考録、第十集」、星野之宣著、小学館 BIG COMICS SPECIAL、2009年3月発行、ISBN978-4-09-182326-7)
弐瓶勉が描く宇宙SF。太陽系は奇居子(ガウナ)と呼ばれる存在に破壊された。それから千年。人類の繁殖と生産を維持しつつ宇宙を旅する巨大な播種船・シドニアが舞台。シドニアの最下層で育った少年・谷風長道はシドニアを守る衛士訓練生となり旧型だが歴史的名機である継衛への搭乗を許可される。主人公である長道が米泥棒としてボコボコにされたり、女子光合成室に紛れ込んでやはりボコボコにされたり、と、「ブラム学園」にも通じる部分と、シドニアを守る衛士のハードな戦いや、何故か長道を気に賭ける船長の謎など、これからの展開が楽しみである。
(「シドニアの騎士 一」、弐瓶勉著、講談社アフタヌーンKC、2009年9月発行、ISBN978-4-06-314597-7)
