<移動都市>シリーズの第3弾。前作から16年後。トムとへスターは氷上都市アンカレジで平穏に暮らしていたが15歳の娘レンは物足りなさを感じていた。そこに現れたのが盗賊団<ロストボーイ>のリンペット。アンカレジにあるブリキの本を奪おうと昔なじみのコールに持ちかける<ロストボーイ>のガーグルだが、アンカレジを出て冒険をしたいレンがまんまと乗せられて本を持ち出してしまう。そこにへスターがかけつけガーグルを射殺するが、残った<ロストボーイ>のフィッシュケーキはレンと本を攫ってリンペットで脱出する。<ロストボーイ>の本拠地に向かう途中で海賊狩りにあった2人は、水上都市ブライトンで囚われの身となる。そこでは昔トムとへスターを裏切ったペニーロイヤルが市長に収まっていた。一方、レンの行方を追うトムとへスターは<ロストボーイ>の本拠地に行くが、そこは壊滅寸前で、老いたリーダーのアンクルは本拠地の壊滅と運命を共にし、その後ブライトンにたどり着いたトムとへスターはレンの手掛かりを得る。同じころ移動都市連合と対決を強める<グリーンストーム>陣営では、ドクター・ゼロによって発掘されたへスターの育ての親である旧型ストーカー、シュライクが復活させられていた。<グリーンストーム>の最高司令官ストーカー・ファンはブライトンに攻撃の手を向けるが、おりしもブライトンでは年に一度の盛大なお祭りムーン・フェスティバルが開幕していた。祭りに集う多くの移動都市の中心ブライトンに襲いかかる<グリーンストーム>の飛行船隊。戦いの中で、昔の裏切りを暴露されたへスターは、トムにレンを連れて懐かしの飛行船<ジェニー・ハニヴァー>で脱出するように告げて姿を消す。そのへスターを救ったのは育ての親シュライクだった。ブリキの本に隠された秘密(最終戦争前の軌道兵器<オーディン>を起動する鍵)で戦争が新たな局面を迎えることが暗示され、トムとへスターの間の溝はどうなるのか、といった後を引くところで幕。最終の第4巻が早く出ることを祈ろう。
(「氷上都市の秘宝」、フィリップ・リーヴ著、安野玲訳、創元SF文庫、2010年3月発行、ISBN978-4-488-72303-3)

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