ソフトバンク文庫のカッスラーということで、てっきり<オレゴンファイル>シリーズと思ってたら、新しいシリーズだった。NUMA と全く関係のない初めてのシリーズとのことで共同執筆の相手はファン上がりのブラックウッド。主人公はトレジャーハンターのファーゴ夫妻。夫のサムはカルテク卒のエンジニアでDARPAでの7年の勤務でCIAをはじめとする豊富な人脈を持つ。妻のレミはボストンカレッジで人類学と歴史学の修士を修めた才媛、結婚後にサムの発明が大ヒットして得た利益を元に大きくした会社を売り、慈善団体を設立。自宅兼オフィスのあるカリフォルニア州にトレジャーハントを支える凄腕の調査チームを抱える。2人とも冒険をいきがいとしサムは柔道の達人、レミは射撃・フェンシング・ロッククライミングの達人という設定。この第1作では、アメリカ東海岸で伝説の財宝を追っていた夫妻が第二次大戦時のドイツのミニ潜水艦に遭遇したことから、船内で発見されたワインボトルを手掛かりに古代に遡る謎の発見に挑む。マフィアの大ボスが同じ謎を追っていたことから熾烈な争いになる。ワインが<ナポレオンの失われたセラー>由来のものであることから、古代スパルタに絡む黄金とスパルタと戦ったペルシャ皇帝の末裔が敵のマフィアのボスであることなどが判明する。NUMAのからむシリーズは設定などに若干近未来的なものがあり、オレゴン号なども夢のハイテク船の赴きがあるが、このファーゴ夫妻シリーズは、特にそんなところもなく、現代によみがえった宝探し物語。カッスラーが実際にこう生きたいというのが最もストレートに出ているのかもしれない。2作目は構想中だそうである。
(「スパルタの黄金を探せ!(上・下)」、クライブ・カッスラー&グラント・ブラックウッド著、棚橋志行訳、ソフトバンク文庫、2010年3月発行、ISBN978-4-7973-5853-7,978-4-7973-5854-4)

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