恒例の英米SF賞受賞作特集。2009年度。ナンシー・クレスのヒューゴー賞ノヴェラ部門受賞作「アードマン連結体」では老人介護施設で暮らす老物理学者アードマンが発作的に不思議な感覚やヴィジョンを経験するが、それは80才以上の老人が進化を遂げる予兆だった。ジェフリー・A・ランディスのアナログ誌読者賞ノヴェレット部門受賞作「マン・イン・ザ・ミラー」では太陽系の果てのセドナで異星人の遺物と思われる黒い椀状の鏡に誤って落ちてしまった男が(ほぼ)摩擦0の椀からどうやって脱出するかというメールシュトローム2を思わせる謎解きのハードSF。キジ・ジョンスンの世界幻想文学大賞短編部門/アシモフ誌読者賞ショート・ストーリー部門受賞作「26モンキーズ、そして時空の裂け目」では1ドルで手に入れた26匹の猿と興行をして回るエイミーだが猿たちが姿を消す原理がわからないまま1匹の猿が老齢で別れの時がきた後で孤独から解放され謎の真相に思い当たる。ジェイムズ・アラン・ガードナーのスタージョン記念賞/アシモフ誌読者賞ノヴェレット部門受賞作「光線銃-ある愛の物語」では思春期に偶然見つけた光線銃による少年の成長譚。なかなかいい味の話になっている。他にSFスキャナー特別版として受賞長編のレヴューと英米SF界の動向+2009年度受賞作リスト。連載陣は、飛浩隆「零號琴」の第2回では磐記の街で開催される假劇に参加したトロムボノクたちを襲う凄絶なテロリズムを描く。小林泰三「天獄と地国との狭間」第8話「シェヘラザード」ではウインナー村の長老ザビタンは若い少女であり自らの長老となったいきさつを語りカムロギたちに合流を希望する。樺山三英「世界最終戦論」は戦争は一度も途絶えたことがないのだという状況を語る。他に昨年7月来日時のテッド・チャン・インタヴュー。ストラーニク2009レポートでは大野典宏氏の遍歴者賞受賞のレポート、速水螺旋人氏のマンガレポート付き。榊一郎「ザ・ジャグル」シリーズ刊行記念巻頭記事(でも近くの本屋では品切れなんだよなあ)。センターカラーでは鹿野司「ザはサイエンスのサ」刊行記念の特別編。先号の積み残しのオールタイム・SF映画ベスト50座談会。まあまあ納得のラインナップかな。アニメ系があまりはいってないけど。スターウォーズはやっぱり帝国の逆襲だよね。
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