最終定理

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クラーク最期の長編。といってもこれも単独ではなくフレデリック・ポールとの合作。ポールもクラークと2歳しか違わないのでご老体である(今年でクラーク没時と同じ90歳?)。内容は近未来の地球を舞台にしたスリランカ人数学者の生涯を描くもの。ランジット・スーブラマニアンは少年時代にフェルマーの最終定理に取り付かれ、ワイルズの証明とは違うフェルマーのメモにあるようなすっきりとした証明を追い求めることとなる。コロンボで学生生活を送っているうち、ひょんなことから海賊騒ぎに巻き込まれ、海賊の一員でスーブラマニアンの名を騙っていると誤解されて拷問され、理不尽な幽閉生活を強いられる。しかし、その幽閉生活の中でフェルマーの最終定理の新たな証明を見出し、救出されてからの人生は一変してしまう。その後は有名人として教授ポストも得、大学時代の同級生とも結婚し順調な生活を送る。一方、並行して描かれるのは銀河系を管理する高度知性体グランド・ギャラクティクスが地球人の核実験を危険視し、配下の種族であるワン・ポイント・ファイヴズの艦隊を派遣するが、もうひとつの配下種族であるナイン・リムズの観察により対応を変更していく様子。後半で両者のストーリーは交錯し、スーブラマニアンの娘のナターシャが完成した軌道エレベーターを使って行われる宇宙ヨットレース中にナイン・リムズに姿をコピーされ、地球に到来したワン・ポイント・ファイヴズの艦隊と米軍があやうく交戦しそうになる危機とその回避などが語られる。最後の妻の悲劇的な事故死が異星人テクノロジーによる精神のアップロードにかろうじて間に合う場面が、エピローグでのスーブラマニアンのアップロード後の精神のはるか未来でのエピソードにつながっていく。軌道エレベータや銀河系を管理する超越種族、アップロードされた事実上不老不死の精神、などクラークの定番アイテムが出てくるいかにもの作品になっている。これが最後の作品なんだから、できれば、先に3部作の最後である"First Born"の方を出して欲しかったなあ。

'「最終定理」、アーサー・C・クラーク&フレデリック・ポール著、小野田和子訳、ハヤカワ海外SFノヴェルズ、2010年1月発行、ISBN978-4-15-209101-7)

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