クライトンの遺作(死後、パソコンから見つかった原稿(パイレーツ)があるので最期の作品ではなくなったが)。遺伝子にからむ話をいくつかのストーリーラインで描いたもの。1つは自分の細胞を知らないうちに売られていた話。抗癌性物質を分泌する体質の持ち主バーネットは自分の細胞を無断で売った大学と買い手のBioGen社を訴えるが、その細胞がBioGen社に属するとの判決が出、その影響は娘である弁護士のアレックスとその息子のジェイミーにまで及ぶ。行方をくらましたバーネットの代わりに細胞を取ろうとBioGen社の差し向けた回収人の手が2人に伸びてきたのだ。もう一つのラインはBioGen社で人を成熟させる遺伝子の研究をしているジョッシュの話。未認可の成熟遺伝子を組み込んだ薬を兄が吸ってしまい、最初のうちは成熟して無茶をしなくなる効果が出るがそのうち老化が始まりついには兄は老衰死する。さらに別のラインでは、ヒトの遺伝子を組み込んだ動物の成長の話。人語を操るオウムのジェラールは鳥かごから逃げ出して冒険を繰り広げ、ヒトとチンパンジーの交雑体であるデイブは遺伝子を提供したレイディアル・ジェノミクス社の研究員ヘンリーが連れ出し、息子のジェイミーの学校に通わせ始めるが、ちょっかいを出してきた上級生と騒動になる。各ストーリーラインはそれぞれ、一応の決着がつくが、全体としては遺伝子を取り巻く多様な状況を反映するかのように、イマイチまとまりがないようにも感じられる。まあ、いつもどおりすらすら読めて面白いんだけど。
(「NEXT -ネクスト-(上・下)」、マイクル・クライトン著、酒井昭伸訳、ハヤカワ文庫NV1207,1208、2009年11月発行、ISBN978-4-15-041207-4,978-4-15-041708-1)
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