2008年3月アーカイブ

パンドラ1,2,3,4

| コメント(0)

文庫化されたのでやっと読んだ。4巻のボリュームなのでまとまった時間にと思っていたが、読み出したらそんな心配は無用だった。細かく章立てしてある上にどんどん話が進んでいくので意外なほど読みやすい。主人公の動物生態学者の朝倉はチョウゲンボウの異常行動から特異な知能化の仮説をたてるが、その異変は地球規模に広がっていた。ボルネオでは高度の知性を持つオランウータンが動物を統率して人間を襲う。国際宇宙ステーションでは知性化したラットにより乗組員が殺され、ラットと茶褐色の謎の共生体にのっとられた乗組員を乗せたままCRV(乗員帰還機)が大気圏に突入してしまう。ラットが降下したオーストラリア近海では環境異変が進行していく。地球規模の環境異変に対して科学者たちは未発見の彗星パンドラが原因であり、その目的が地球のパンドラ化であるとの仮説をたてる。そしてついに彗星パンドラが発見され、各国連携のもと、宇宙戦闘を想定したパンドラ探査計画が発動する。しかし各国間の軋轢から宇宙機の建造は遅れ、1次探査は日本の宇宙機「きりしま」が担うことになる。さらにはパンドラの軌道上に新たな彗星パンドラ2が発見され、この真の目的地に対し、「きりしま」と後を追った中国の宇宙機「長江」が迫るが、意思を持って攻撃してくるパンドラ2により「長江」は機能を失ってしまう。「きりしま」と2次攻撃を担う「ガイア」の最終攻撃の寸前、地球人類との共存の道をあきらめたパンドラ2は突然のガス放出で太陽系脱出軌道に乗って去っていく。渡り鳥の異常行動の謎から始まった話がスケールアップして異星生命とのコンタクト(侵略)ものにまで拡大していく様が現実の宇宙開発の延長上にリアルに描出されるのは見事である。一介の学者の朝倉が活躍しすぎの感はあるけど。

(「パンドラ1,2,3,4,」、谷甲州著、ハヤカワ文庫JA907,908,909,910、2007年11月,12月発行、ISBN978-4-15-030907-7,978-4-15-030908-4,978-4-15-030909-1,978-4-15-030910-7)

前半の表題作ではイモムシ型生物アルトマクに捕まったメルヴァンたちテラナー技術者はレムール艦からの脱出作戦を実行し、搭載艇を奪って他のレムール艦に向うが、向った先のレムール艦には未知のエネルギー生物が引き寄せられ、それらが艦を蝕ばむにつれ北極部に追い詰められてしまう。一方、レムール艦捜索に出たシェーデレーアはゼウズの情報どおりに艦隊を発見、駆逐機で偵察に赴くが突然現れた箱型宇宙船の攻撃によりシェーデレーアだけが殲滅スーツのおかげで生き残る。漂流するうちメルヴィンたちの立てこもるレムール艦に行き着き、殲滅スーツによりエネルギー生物を撃退した後、ローダンの元に戻り、メルヴィンたちの数奇な運命が語られた。後半の「ひとりぼっちの戦い」では、超重族レティクロンが残ったテラナーを洗脳するために設けた”説得パラダイス”、ヤレドシュ星系第二惑星チュグモスも説得パラダイスが設けられた要衝の1つだった。政治将校のワッツェル・ヤチントーは超重族に屈したふりをしながら反攻の機会を狙う太陽系秘密情報局員だった。超重族の罠をかいくぐりながら孤独な戦いを続けるヤチントーは、アトランが送り込んだ工作員が捕らえられたニュースを知り、USO救援艦隊が近いことを察して、準備していた計画を開始する。おりしもチュグモスにはレティクロンが訪問してきていたが、その鼻先で超重族の拠点に仕掛けられた爆弾が爆発し、USO救援艦隊によりチュグモス解放が進められるが、レティクロン暗殺を狙ったヤチントーは捕らえれレティクロンに殺される。

(「メールストロームでの邂逅(ペリーローダン344)」、ウィリアム・フォルツ&H.G.フランシス著、天沼春樹訳、ハヤカワ文庫SF1650、2008年2月発行、ISBN978-4-15-011650-7)

バイオメガ1,2,3,4

| コメント(0)

弐瓶勉の作品は BLAME! あたりからずっと買うのを我慢してたんだけどついに買ってしまった。重二輪は出てくるし、後になるとメガストラクチャーも出てくるSFということでやはり買うしかないと。舞台は西暦3000年代、7世紀ぶりの火星有人飛行から帰還した探査船は地球周回軌道上で大破し、未知のウイルス【N5Sウイルス】に侵された乗組員の遺体からは地上に胞子が撒き散らされていた。東亜重工のエージェントである合成人間の庚造一は人工島【9OJ】に潜入しN5Sウイルス適応者を探しだそうとする。ウイルスに感染した人類は凶暴な動く死体”ドローン”と化し地上を埋め尽くそうとしている。<ドローン禍>が急速に拡大する中、DRF(技術文化遺産復興財団)の強制執行部隊により東亜重工本社は壊滅し、DRF とその下部組織である公衆衛生局の間の抗争が激化する。公衆衛生局の将軍ナレインを無力化したDRFの総主ニアルディは自らの計画を進め、火星でレーフ博士が発見した逆相写像重合体を地表に散布する。重合体はドローンを触媒とし爆発的なスピードで増殖し、地球上のあらゆるものをコード化し、胚珠が宿主の望むものを実らせると言われるが、、、。4卷途中で地球から脱出した造一たちは全長48億kmの未知のメガストラクチャー上で人間と出会う。重二輪に宿るAIフユと造一の行く末はいかに、というところまで。

(「バイオメガ」1,2,3,4、弐瓶勉著、集英社YUJ(ヤングジャンプコミックスウルトラ)、2007年1月,8月,2008年2月発行、ISBN978-4-08-877210-3,978-4-08-877211-0,978-4-08-877317-9,978-4-08-877405-3)

SFマガジン2008年4月号

| コメント(0)

「ベストSF2007上位作家競作」特集。伊藤計劃「From the Nothing, With Love」は史上最も有名な諜報員が実は肉体を変えながら引き継がれていく話、円城塔「The History of the Decline and Fall of the Galactic Empire」は1?2行からなる100の断片で銀河帝国の興亡を綴ったもの。野尻抱介「南極点のピアピア動画」は最近のネットの流行物をうまく取り入れてローカル大学内プロジェクトにより出て行った恋人を取り戻すため宇宙を目指す話、前編なので完結してからまた。菅浩江「流浪の民」は美容を題材にした新シリーズの1編とのこと。一方、海外組では、クリストファー・プリースト「戦争読書録」は双生児執筆に纏わる戦争文献の紹介エッセイ。ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア「出血がとまるまで押さえてください」はハイウェー建設計画にからめて環境破壊を警告した寓話。シモンズ関係では酒井昭伸による「『オリュンポス』は続編の夢を見るか」というエッセイ。早く続編を書いてくれないかなあ。連載陣は夢枕獏「小角の城」<第16回>、谷甲州「乱風邪楓葉」<霊峰の門第十三話>、椎葉誠のエッセイ「小便の王様をたずねる旅」は極寒期のシベリアの旅を描いて面白い、酷暑の方も期待。他には『新世界より』刊行記念の貴志祐介インタヴューと映画がらみで「ジャンパー」の特集と清水崇&豊島圭介インタヴュー、「ライラの冒険 黄金の羅針盤」誌上公開など。

2010年3月

  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      

このアーカイブについて

このページには、2008年3月に書かれたブログ記事が新しい順に公開されています。

前のアーカイブは2008年2月です。

次のアーカイブは2008年4月です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。