小松左京の喜寿祝賀特別号。祝辞を寄せているのは、同人である桂米朝・福田紀一・濱田隆治・石毛直道・萩尾望都・とりみきをはじめとして、会員の中から、柴野拓美らの同世代作家から、それに続く世代の豊田有恒・堀晃・森下一仁・山田正紀・横田順彌・谷甲州・ひかわ玲子などの作家、巽孝之・みなもと太郎・中村桂子などの関係者や有村とおる・機本伸司などの小松左京賞作家、さらにはイラストや手書きメッセージを寄せた、吾妻ひでお・新井素子・石川喬司・上田早夕里・小佐田定雄・一峰大二・嘉門達夫・久美沙織・久保修・高斎正・最相葉月・すがやみつる・田中光二・高橋桐矢・ちばてつや・平谷美樹・藤臣柊子・町井登志夫・森優・八杉将司・夢枕獏といった面々を見るにつけ改めて小松左京の人脈を思い知らされた。高斎正のいつものコラムも他でも紹介されていたフィッティパルディのエピソード。すがやみつるは早稲田のeスクール入学記。パソコン通信のころから活躍していたすがやみつるが何故いまさらと思ったが、大学で学んだ経験がないと教え方がわからないというのが動機のようだが、いまどきのeスクールの利便性が紹介されて興味深かった。下村健寿氏の<さよならジュピターのミステリー>は「環境問題」というキーワードからの解読を試みている。先号に続いてのワールドコンレポートは「さよならジュピター」リメイク推進委員会と中国企画「アジアのsfと周辺事情?現状を語る」。小研の京都旅行レポートは京大お花山天文台と祇園の茶屋。こんなところで知った名前を目にするとは(とはいえ京大系なので花山天文台には行ったことはないんだけれど)。小松左京研究会のページの永瀬佳江氏は「チョモランマを見た!」という旅行記。唯一の小説は小松左京賞受賞作家の上杉那郎氏の「ミラクルビュレット?奇跡の弾丸?」。単純なヘルニアだったはずの患者が感染症の症状を表し死亡率100%近いアボリジニー出血熱と判断される。他に生き残ったのがHIV患者だったことからAZTの投与で危機を脱するまでを描く読み応えある医学SF。
(「小松左京マガジン第29巻」、(株)イオ発行、角川春樹事務所発売、2008年1月発行、ISBN978-4-7584-1106-6)

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