前半の表題作では、アトランたちは恒星五角形転送機ゲルックスヴィラの制御惑星ペシュナトにおもむくが、そこではペシュナトの幽霊を名乗るレムール人女性エルミナゴがいて、問答無用に攻撃をしかけてくる。エルミナゴはかつて島の王が身につけていたような細胞活性装置を身に着けて長い年月を孤独の中で過ごしてきて狂い掛けていた。何とか自分を人質として休戦に持ち込んで転送機実験をしようとしたアトランだが、オクストーン人による破壊工作を見破られ、再び戦いになる。マルチデュプリケータから出てくる自らのコピーが即座に年老いて塵になるのを見たエルミナゴは細胞活性装置を壊し塵となって消え、技術者を乗せたまま転送機に突入した実験艦のデータがテラの行方の手がかりとして残された。後半の「にせイトリンクス」では、突然襲ってきた未知宇宙船群を退けたローダンたちだが未知宇宙船はゼウスによって消され正体の手がかりは失われる。その後400光年ほど離れたところからの未知通信を追ってダントンたちが行ってみると、そこのパピッロ星系の第3惑星には20世紀後半くらいの技術的段階にいるイトリンクスがいた。パピッロの陰に未知宇宙船と同型の宇宙船が隠れているのを発見したダントンたちは宇宙船にあった転送機を封鎖し、イトリンクスたちの元へ行くと、未知宇宙船の種族がイトリンクスに化けているのを発見し正体をあばくとアリ様の異星人が姿を現した。政府中枢にもぐりこんでいた異星人たちを一網打尽にしてダントンたちはパピッロを離れた。
(「レムールの女」クルト・エーヴェルス&エルンスト・ヴルチェク著、渡辺広佐訳、ハヤカワ文庫SF1644、2007年12月発行、ISBN978-4-15-011644-6)
2007年12月アーカイブ
前半の「恒星五角形」では、アトランがテラの行方を追おうと古レムール人の未発見恒星転送機を見つけるため、USO旗艦の<インペラトールVII>でアンドロメダとの間にあるミッドウェイステーションに向うが、そこにも既にラール人の手が伸びていた。一方、太陽系帝国の駐アンドロメダ大使のいるケムテンツでは突然マークスから立ち退きを迫られ首都から脱出せざるをえなくなっていた。マークスの手が大使に伸びる前に暗殺者から脱出したアトランたちが到着し大使を救出し、新たに到着したマークス政府外交部代表のグレク1により両者の関係は修復された。そして封鎖されている恒星五角形転送機ゲルックスヴィラに向うが、そこはマークスを狂わす放射で守られておりレムール人の末裔であるテラナーなら近づけることが判明する。後半の表題作では、ゲルックスヴィラに向ったアトランたちは2つの惑星を発見する。その一方であるトクトンの調査に向ったアトランたちは襲ってくる異生物たちを何とか退け、崩壊寸前の建物内で発見したシュプールにより、示唆された動物グラウンツァーが群れる場所に到着する。アトランの付帯脳に反応してグラウンツァーに隠された付帯意識に古レムール人が情報を隠していたことが判明する。何とかグラウンツァーから情報を引き出したアトランたちは、かつて古レムール艦隊の一部が転送障害で未知の場所に転送された事例を見つけ、テラの行方の手がかりを得た。
(「生まれざる者の恐怖(ペリーローダン341)」、クルト・マール&ハンス・クナイフェル著、若松宣子訳、ハヤカワ文庫SF1640、2007年11月発行、ISBN978-4-15-011640-8)
魔法が一定の法則の元に使え、人々が使い魔と呼ばれる馴致された動物の相棒と暮らす世界を舞台にした<ジョン平とぼくと>シリーズの4。主人公の北見重は魔法は苦手で化学実験に明け暮れる高校生。1?3までで、企業の研究所で兵器として開発された特殊な能力を持つ使い魔、ブラウ(blau=青)、ロオト(rot=赤)、グリューン(Grun=緑)、そしてヴァイス(weiβ=白)をめぐる陰謀が一段落(重が魔法が苦手な理由も一部判明)。その後の重たちの日常を扱った番外編的短編集。クラスメートがなくした指輪をめぐって滝沢先生を探す「ジョン平と1つの指輪」。小木津の幽霊話の顛末を描く「ジョン平と地下室の幽霊」。この2編は滝沢先生がいい味出してます。重たちの元を去った三葉がある町で世話になった老人カップルのしみじみとしたい話「雨の日の三葉は」。財布を落としたことに気づいた寧先生だが拾い主からの電話で尋ねてみるとという「寧先生と返ってきた財布」は寧先生の酒癖の悪さ爆発の1編。演劇部の復活公演の練習を描く「タンスターフルの食卓」。文化祭当日、暇をもてあましていた図書部員が遭遇したエピソードを描く「クスクスは夕陽を浴びて」。どれも1?3まででえがかれた世界にひたれるエピソードばっかりでお得な気分に浸れる1冊。あとがきによるとまだ続く可能性もありそうなので、楽しみである。
(「ジョン平とぼくときみと」大西科学著、ソフトバンククリエイティブ・GA文庫、2007年11月発行、ISBN978-4-7973-4531-5)
