2007年10月アーカイブ

前半の「ピラミッドの影響圏」では、リニアエンジンが機能を取り戻しブリーたちの捜索に向ったローダンたちだが、ツバイたちの報告の座標に到着しても惑星すら探知できない。一方、惑星ゴシュモスキャッスル上のブリーたちの元には再びゼウスが現れ、異エネルギー連続体からノーマル連続体に戻った際に、「敵」のピラミッド1基の侵入を許してしまいローダンたちのマルコポーロはピラミッドの影響圏に囚われてしまったという。同じく影響圏内にいたムシーラーたちの協力を得たローダンたちは、ピラミッドから出現した異生物の攻撃を撃退し、苦労の末ピラミッド内のハイパーエネルギー性異エネルギー受信部のインパルス送信回路を切り替えることに成功する。後半の表題作では、消えたテラの行方を突き止めるため、有能な転送機の専門家を探していたアトランは、民間研究所にいた専門家2人が超重族により収容所惑星ワツティンに収容されたことを知る。2人の救出に派遣された、USOスペシャリストで細胞活性装置保持者の”銀河ギャンブラー”または”スマイラー”ことロナルド・テケナー大佐は、プロスペクターに扮して捕虜ーとなりワツティンに送られることに成功する。ワツティンでうまく叛乱を指揮し惑星総督の超重族を捕虜にしたテケナーは、2人の科学者を無事転送機で救出することに成功する。テケナーは最後の大物レギュラーだそうで今後もたびたび出てくるそうである。今後10巻分(350巻まで)の仮題があとがきに載っているが350ではいよいよアフィリーサイクルに突入するようである。

(「収容所惑星ワツティン(ペリーローダン340)」エルンスト・ヴルチェク&H.G.フランシス著、五十嵐洋訳、カヤカワ文庫SF1637、2007年10月発行、ISBN978-4-15-011637-8)

SFマガジン2007年11月号

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日本作家特集と世界SF大会の速報。ヒューゴー賞のノヴェレットのマクドナルドとショートストーリーのプラットが予想通りで嬉しい(8月号の記録参照)。長編もヴィンジというのは予想どおりだけど読んでないからなあ。大森望の「狂乱トーストマスター日記」も舞台裏として面白い。星雲賞も日本・海外とも短編は異論はない。長編は反対はしないけど、もっとなかったっけな、という感じ。あっめずらしく長短編ともに読んでいる。コミックの「ヨコハマ買出し紀行」は連載終了で受賞かな、妥当なところ。「宇宙へのパスポート3」は最早定番。一方の作家特集は、<雪風>の第3部はまだ続くので終了してからだな。でもあまりすっきりした結末にはならないような気もする。このところ立て続けの円城塔「Your Heads Only」は1999から2007までの断章で語られるこの作者らしいラブストーリー(?)。伊藤計劃「The Indifference Engine」は題名こそ円城みたいだが中身は自身の「虐殺器官」と同じ世界で民族紛争の悲惨さを描いたもの。平山瑞穂「棕櫚の名を」は、仕事まわりの途中でふと立ち寄ったかつて暮らした街で子供の頃入り浸っていた家を発見した主人公が思い出したものを描く。しかし、特集の目玉は実は単行本発行記念で本誌にも登場したCOCOが描く本オタクの生態「SFマガジンの早川さん」かもしれない。翻訳連載企画「浅倉久志コレクション」のニール・パレット・ジュニア「銀河ホテルマンは眠れない」はやっかいな客ステントール人が持ち込んだ"ペット"のスケイズティは何にでも化けるやっかいな奴だった。退治に四苦八苦する主人公の支配人やベルボーイたちだが原因を作ったホテルオーナーの甥のオリーが考え出した解決法は、という話。連載陣は朝松健「魔京」第9回、田中啓文「罪火大戦ジャン・ゴーレ」第34回。

ネフィリム

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吸血鬼が存在し時々人間を襲っているという世界でヨブは最強の吸血鬼と言われていた。そのヨブが暴漢に襲われていた少女ミカを救ってミカとの約束から血をすうことをやめ殺人を商売としているころ、最強クラスの吸血鬼といわれたカーミラがストーカーJに殺されるという事件が起きる。いろめきたつ他の吸血鬼たちは犯人を捜しだそうとするが、Jという名前を聞いたヨブはおまえたちではJにはかなわないと言い放つ。一方、続発する吸血鬼による襲撃に対抗するために人間たちが結成した組織コンソーシアムの1部隊の隊長であるランドルフは吸血鬼狩りを続けながら妻と娘の仇であるカーミラを探していた。吸血鬼をも糧とする呪われた種族ストーカーのJがこもる城に向って殺到する吸血鬼軍団。ミカをJにさらわれ血を吸わない状態ではJにかなわないと悟ったヨブは、コンソーシアムの基地を襲って研究主任のドクターから対吸血鬼用の新兵器を供与させて城に向う。ランドルフもまたカーミラを殺ったというJの城に対吸血鬼用の兵器を満載して向った。どうにかザコ吸血鬼を倒して城に到着したランドルフはミカを発見するもほぼ力つきる。他の吸血鬼たちを吸収してしまったJの元には実は生き残っていてJに再生されたカーミラを何とか倒したヨブが一騎打ちを挑んだ。ランドルフが打ち込んでいた弾が偶然効力を発揮したこともあり、何とかJを倒したヨブはミカと共に城を去った。最初から吸血鬼・人間部隊・Jの壮絶な戦いの描写がこれでもかと続き一気にクライマックスまで達するのは圧巻である。ただ、ストーリーの疾走の陰で、ミカとその仲間(?)のルーシーの謎、吸血鬼やJとミカたちの関係の謎、などは何もわからないままに終わってしまっているのが気になるところではある。

(「ネフィリム」小林泰三著、角川ホラー文庫、2007年9月発行、ISBN978-4-04-347009-9)

海底密室

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M.G.H.を読んでそちらの登場人物の関係者が登場するとあったので買っておいたのを今頃になってやっと読んだ。この手の本は出てすぐに買っとかないと店頭からなくなってしまうが、近所の”今時の”古本屋のちょっと品揃えの良い店で見つかった。主人公の鷲見崎遊(すみさきゆとり)は科学ジャーナリスト。失踪した元彼の御堂健人が開発したアプリカント(人格複製型人工知能)をインストールした携帯情報デバイスを持ち、研究員の死亡事故(と思われる事件)があった《バブル》へ取材に赴く。《バブル》はアクアスフィア計画(深海底生活圏実験計画)で房総半島沖の水深四千メートルの海底に設置された実験施設である。遊と共に海上プラットホームに立ったのは死亡した研究員の弟、須賀貴志と3人の交代研究員だった。《バブル》に到着した遊たちだがその夜、交代要員として到着したばかりの佐倉が倉庫内で焼け焦げた姿となって発見される。倉庫が密室状態だったことから事故と思われたが、自殺と思われていた先日の須賀の死亡も密室状態だったことから遊は不信感をおぼえる。その後再び密室状態の研究室で研究員の和久井が頭を殴られて死亡しているのが発見され、事件は連続殺人の可能j性を孕んでくる。犯人は誰か、その動機は、そして密室殺人の手段は?謎に挑む遊とアプリカントのミドーがたどり着いたのは、《バブル》特有の現象が巧妙に組み合わさったトリックであった。事件は解決するが行方不明の健人の謎はそのままなので、どこか別の機会にでもまた取り扱って欲しいものである。

(「海底密室」三雲岳斗著、徳間デュアル文庫、2000年9月発行、ISBN4-19-905012-4)

冒頭で集積者によって滅びんとする宇宙と最後の瞬間に願いを託して別の宇宙に情報を送るところが描かれ舞矢たちの”前世”が垣間見れる。舞矢たちの属する「調律師」機関の新年会では舞矢以外の式者たちや、霧音とその”姉妹たち”である人工の装者たちの微笑ましい姿が描かれる。平穏もつかの間、新たな事件が続発し霧音は天然の装者である真琴と共に調査に乗り出すが、それは敵の罠であり、真琴は重傷、霧音は捕らえられてしまう。装者のいないまま救出に向おうとする舞矢は、調律師機関の日本の責任者である佐々木から、擬似人格を与えて翔夏を剣者として使うことを指令される。複雑な想いを胸に”翔夏”と共に敵地に向かった舞矢は、何とか敵の罠を見破り、敵の聖騎士の中に囚われていた霧音の救出に成功し、直後に敵の巣は殲滅された。しかし意識を回復しない霧音や、式者たちの能力を自分達のために使おうと画策する政治家たちの動きが不気味な予兆を孕んだまま今巻は終了する。11月には次巻が出るそうなので、今後の展開が楽しみである。

(「虚攻の戦士、偽リノ剣、穢レタ鎧」神野オキナ著、ソフトバンククリエイティブGA文庫、2006年6月発行、ISBN4-7973-3619-6)

万物の情報を吸収しやがては世界を抜け殻にしてしまう存在「集積者」。この宇宙に現れる集積者の尖兵であり虚数的現象をも操る「端末」に対抗できるのは、対抗術式と共に端末に打撃を与えられる「式者」と呼ばれる能力者だった。一見さえないデブのオタクに見える高校生、三隈舞矢は「式者」の1人であり、パートナーである「装者」の霧音と共に、幼馴染の翔夏との日常を守るために戦っている。新興宗教系の礼拝堂に潜む端末を始末した舞矢たちだが、すでに端末の一部は外部に逃れた後であり、元凶の端末であった神父をその内に蘇らせた美少年・鏡壱が舞矢たちの高校に転校してきたことから、戦いは新たな局面を見せる。式者たちの戦いぶりからノイズを取り込むことを学習した鏡壱に対し、翔夏を守りながら戦う舞矢だが、ついに黒こげにされてしまう。鏡壱の凶手が翔夏に伸びた時、焦げた外装を振り払って現れた細身の美少年こそ舞矢の真の姿だった。改めて戦いを継続する舞矢だがやはり分が悪くあわやという時に介入したのは封印された記憶が解け、端末に対抗する最強の能力を秘めた剣者として顕現した翔夏であった。鏡壱を倒した後も暴走する翔夏をなんとか鎮めた舞矢たちにはつかのまの平安が戻った。デブの少年が実は能力を秘めており、幼馴染の美少女を守るっていう設定は「さすがの猿飛」ですな。

(「虚攻の戦士『ナツ』ノキオク」神野オキナ著、ソフトバンククリエイティブGA文庫、2006年1月発行、ISBN4-7973-3445-2)

トランスフォーマー

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こちらは映画のストレートなノヴェライズ。19世紀末の北極探検家ウィトウィキーは氷に埋もれて凍りついた巨大な人型機械を発見する。時代は飛んで現代の中東の米軍基地に墜落したと思われていたヘリが接近する。応答しないヘリを警戒して強制着陸させるが、それは巨大な人型機械にトランスフォームし機密情報を奪取しようとして基地を壊滅させる。一方本国jのトランキリティ高校に通うサム・ウィトウィキーは念願の車(ボロのカマロに見える)を手に入れるが、それをきっかけに、大きな事件に巻き込まれる。カマロはトランスフォームし、パトカーがトランスフォームした別の機械生命体と戦いを始める。彼らは100万年もの昔から戦い続けてきたサイバトロン戦士とデストロン軍団のそれぞれ一員だったのだ。両陣営は失われたエネルギー源の<キューブ>と失踪したデストロンの首領メガトロンを探して地球にたどり着いたのだ。祖先のウィトウィキーの情報から極秘扱いされていた<キューブ>とアイスマンとして知られた存在がメガトロンであることが判明し、復活したメガトロンとデストロン軍団に対し、<キューブ>をめぐってサイバトロン戦士との壮絶な戦いが始まる。サムの同級生の美女ミカエラの活躍もあり、最後には<キューブ>はメガトロンの胸でエネルギーを放出し失われてしまい、残ったサイバトロン戦士は地球人と共に生きることを選ぶ。サムとミカエラのハッピーエンドを予感させる結末までストレートな話だが、映画でのトランスフォームと両軍団の戦いの場面を思い起こすことにはなった。

(「トランスフォーマー」アラン・ディーン・フォスター著、中原尚哉訳、ハヤカワ文庫SF1622、2007年7月発行、ISBN978-4-15-011622-4)

この夏公開の映画の前日譚。1969年7月人類初の月着陸を目指すアポロ11の陰でひそかにもう1機の宇宙船が飛び立っていた。19世紀末に北極で発見された巨大な機械生命体(アイスマンと名づけられた)の調査研究から生まれたゴースト1号であった。しかしテスト飛行中に発生したワームホールにより何処とも知れぬ銀河の中に出現してしまう。そこに偶然(?)現れたのは機械生命体デストロンの宇宙船ネメシス号とサイバトロンの宇宙船アーク号であった。デストロンとサイバトロンは長い間、壮絶な戦いを繰り広げた後、故郷のセイバートロン星から失われたオールスパークの行方を追って来ていたのだ。デストロンの首領スタースクリームの巧妙な誘いにのりかかったゴースト1号の面々だが、なんとなく覚えた不信感がサイバトロンのコンボイ司令との接触ではっきりし、最後にはスタースクリームを攻撃し地球への道を閉ざす。一方、地球ではアイスマンをアメリカ本土に移送する作戦がロシアの工作員によって危機に瀕するが、起動しかけたアイスマンを何とか再封印することに成功する。デストロンとサイバトロンはいずれも地球のアイスマンが行方不明だったデストロンの首領のメガトロンであることを知り、地球を探すことを決意する。元がおもちゃのせいか、キャラのたった機械生命体たちのいかにものやりとりが続くが、80年代というとあまりそこらへんをチェックしてなかった時代だし、その後も子供が娘ばかりのせいか、イマイチ、トランスフォーマーになじみがないなあ。まあ映画はそれなりに楽しめたけど。

(「トランスフォーマー、ゴースト・オブ・イエスタデイ」アラン・ディーン・フォスター著、金子司訳、ハヤカワ文庫SF1621、2007年7月発行、ISBN978-4-15-011621-7)

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