こちらも久しぶりの第5巻。内容は第1部が<子供の世界と侮るなかれ!>と称して、「となりのトトロ」、「アンパンマン」、「機関車トーマス」、「クレヨンしんちゃん」、「ドラエもん」、「とっとこハム太郎」、<戦隊シリーズ>について。第2部が<この人々が気にかかる!>と称して、「ドラゴンボール」(かめはめ波とフュージョンの2つ取り上げている)、「名探偵コナン」、「北斗の拳」、「ONE PIECE」、「創聖のアクエリオン」、「ケロロ軍曹」。第3部が<空想科学クラシック!>と称して、「鉄腕アトム」、<ウルトラシリーズ>、「科学忍者隊ガッチャマン」、「あしたのジョー」、「デビルマン(アニメ版)」、「宇宙戦艦ヤマト」、<怪獣の個性>としてウルトラシリーズやガメラシリーズの怪獣たち。いずれもいつもの調子なので特に言うことなし。
(「空想科学読本5」柳田理科雄著、メディアファクトリー、2006年7月発行、ISBN4-8401-1569-9)
2006年10月アーカイブ
前半の「テラナーとレジスタンス」では、ローダンたちが疑われずにホトレノル=タアクのもとに戻るために惑星ホプトレル=ハイクにてレジスタンスの地下基地からの脱出行を計画する。レジスタンス指導者のロクティン=パルとは相談の上だが、部下のレジスタンスには逃避行を疑われないようにするため秘密にしたために激烈な戦闘の中、何とか地表に出てホトレノル=タアクの元へ戻る。地球に帰還したローダンは苦渋の決断をし銀河系第一ヘトランの地位の受け入れを宣言する。後半の表題作ではラール人がネーサンの収蔵する人類のデータを狙っていることが判明、それを危惧したアトランはデータを記憶ロボットにコピーした上でネーサンのデータ消去を提案する。ローダンは賛成しないがミュータントたちの協力を得たアトランはネーサンの元に向かい、度重なる増強で自意識を持ち始めていたネーサンの防御を回避してデータ消去に成功するが、怒り狂うホトレノル=タアクに対しローダンはアトランの逮捕を約束せざるを得なくなる。
(「月面脳ネーサン(ペリーローダン327)」ハンス・クナイフェル&H.G.エーヴェルス著、青山茜・林啓子訳、ハヤカワ文庫SF1578、2006年9月発行、ISBN4-15-011578-8)
ロバート・シェクリイ追悼特集。特集の小説が理想的な異星人社会にまぎれこんだ1地球人の顛末を描いた「スタンダードな悪夢にようこそ」と未来のアメリカ西部で西部劇を演じる俳優を描く「けっして終わらない西部劇映画」、その他プラットのインタヴューと海外作家の追悼文、梶尾真治と草上仁のエッセイに未訳長編の紹介やリスト。読みきりとして神林長平「雪風帰還せず<前編>」(戦闘妖精・雪風第3部)と草上仁が熾烈な入札競争で敵対企業のドーピングを暴く特別チームを描くハードボイルドな「公共調達にかかわる不正等の防止と取引適正化に関する法律」。連載は朝松健「魔京」第3回、田中啓文「罪火大戦ジャン・ゴーレ」第22回は人類とログロ人の最終決戦に決着か?梶尾真治「スナーク狩り」(怨讐星域第3話)では徐々に<約束の地>の生態が明らかに。巻頭2色ページでは沖方丁の特集、ついにマルドゥック・ヴェロシティが11月に3週連続刊行。
舞台は21世紀末、中国が開発した(とされている)異次元間転送装置ハイパーフェーズにより異世界との交差が可能になるが、装置は未完成でピッツバーグだけが魔法の支配する世界エルフホームに転移し定期的にしか地球に戻らなくなってしまっている。そのピッツバーグでスクラップ屋を営むティンカーはある日魔法の狛犬に襲われているエルフを助けたことから、地球・エルフホーム・オニヒダ(鬼の支配するもう一つの異世界)の3世界間の争いに巻き込まれてしまう。ティンカーが助けたエルフのウインドウルフは実は総督という地位にある高位のエルフであり、ティンカーを守るためにティンカーの体を改造してエルフ(の貴族階級)にした上に自らの結婚相手にしてしまう。ティンカーは実はハイパーフェイズ装置の開発者の娘でその理論を真に理解している唯一の天才少女であり、これらの事情がからまって鬼の黒幕に誘拐され異次元間ゲートを作るよう強制される。何とか脱出して鬼の首領もウインドウルフに打倒されるが完成したゲートの予想外の働きでピッツバーグはエルフホームに留まったままになってしまう、というところで幕。18才の女の子が美しいエルフの貴族と結ばれるという結構ご都合主義だが話自体は面白く読め、ロマンティックSFの賞であるサファイア賞受賞もうなづける。いかにも尾を引く結末だが続編もあるそうなので翻訳を待ちたい。
(「ティンカー」ウェン・スペンサー著、赤尾秀子訳、ハヤカワ文庫SF1572、2006年7月発行、ISBN4-15-011572-9)
第3回小松左京賞の受賞作。小松左京賞やSF新人賞は最初単行本で出ることが多いのでこのように文庫になってから読むということがよくある。昔のSFは創元・ハヤカワの文庫で読むという習慣が残っているのだろうけど、読んだ本を取っておく場所の問題でもある。物語の舞台は関西(と思われる)の私大物理学科の素粒子物理研究室。留年寸前の主人公の男子大学生・綿貫はゼミの卒論突破のため、不登校の女子学生、穂瑞沙羅華を引っ張り出すよう教授から命じられる。沙羅華は天才少女として飛び級で入学した16才で、大学の近くに建設中の加速器実験施設「むげん」も彼女の理論を支柱にしたものであるが、早熟ゆえのトラブルで大学にも出てこなくなったようである。聴講生の老人の疑問「宇宙を作ることはできるのか?」をきっかけにしてゼミに出てきた沙羅華と綿貫は、このテーマに対し研究室の他のメンバーとディベートをして宇宙が作れることを証明しなければならなくなる。ネットワーク上の計算資源を駆使して宇宙を作ることをシミュレートしようとする沙羅華はついに突破口を開くが、周囲の状況は彼女を次第に追い詰めていき、ついには完成間近の「むげん」で実際の宇宙創成を試そうと立てこもる。最後の瞬間に事態は収拾されるが事件の顛末は公開されることはなく、沙羅華は大学を去り普通の高校生となることを選択する。中心の話題は宇宙創成と万物理論というハードなものだが、小説の外見は青春学園小説のそれであり、読みやすい。
(「神様のパズル」機本伸司著、角川春樹事務所・ハルキ文庫、2006年5月発行、ISBN4-7584-3233-3)
ノンフィクションライター金子隆一氏が不老不死についてまとめたもの。第1章では「不老」と「不死」に関する世界各国の文化史をふりかえる。やはり一番こだわってるのは中国人であることや、西洋の吸血鬼がらみの話、近年のクライオニクスまでをまとめている。第2章では老化寿命のメカニズムに関して代表的な後天説、先天説を網羅する。第3章では不老化に効果のありそうな各種の手法についてまとめてある。食生活や環境面で世界的にも長寿者の多い地域として沖縄県、中でも奄美群島があげられている。最後の第4章では肉体の不老化が可能になるには科学的に細胞の不老化をするだけでは足りず、社会的にクリアすべき問題点と脳の不老化の問題があることを指摘し、これらを踏まえて人類が進むべき道として、肉体の不老化ではなく、人格情報の電子化による情報生命体への進化と、それによる精神の不死化を目指すべきであるという結論に至る。個々の話はどこかで読んだことのあるものが多いが、これだけまとまっていると読み応えがある。とはいってもやはり超人ロックのような不老不死化を望みたくなるんだが。
(「究極のサイセンス不老不死」金子隆一著、八幡書店、2006年6月発行、ISBN4-89350-400-2)
