カッスラーとケンプレコスのNUMAファイルシリーズ。今回はバスク人とエスキモーのある一族の過去にからめて、過激環境保護団体と遺伝子工学を使った陰謀を企む企業の戦いを描く。環境保護団体<海の番人>の船がコントロールを失って巡洋艦に激突した事件で救助劇を演じたオースチンとザバーラのチームだが、その裏には多国籍企業<オケアノス>の影があった。各地の漁場で従来種の魚が見られなくなり代わりに巨大な”悪魔の魚”が目撃される。その正体は<オケアノス>によって遺伝子改変されたサケで、<オケアノス>はこの新種の魚を各地に放流し漁獲を自らの手の納めようとしていた。この事件の裏にはバスク人にからむローランの秘宝や消えたナチス・ドイツの飛行船の謎がからみ、事件とすべての謎はオースチンとザバーラにトラウト夫妻も含んだNUMAの特殊班の活躍で解決される。このNUMAファイルシリーズはダークピットシリーズに比べると敵方や出てくる謎の規模が小さく、主人公が直面する危機のスケールも小さく感じられるし、最後もわりとあっさりと解決してしまう。カッスラーが老いたのか相方のケンプレコスによるものなのか、そのあたりでイマイチ感がぬぐえないのは残念である。
(「オケアノスの野望を砕け(上・下)」クライブ・カッスラー&ポール・ケンプレコス著、土屋晃訳、新潮文庫、2006年7月発行、ISBN4-10-217037-5,4-10-217038-3)
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