2006年5月アーカイブ

諸星大二郎が「ネムキ」誌に載せた短編の中からグリム童話にかかわるものを集めた作品集。内容は、「Gの日記」がヘンゼルとグレーテル、「トゥルーデおばさん」はあまりなじみがない、「夏の庭と冬の庭」が美女と野獣、「赤ずきん」はそのまま、「鉄のハインリヒまたは蛙の王様」は蛙の王様、「いばら姫」もそのまま、「ブレーメンの楽隊」もそのまま、「ラプンツェル」もそのまま。いずれも諸星大二郎らしい味付けがしてある。出てるのはわかっていたのに近所の本屋で見つけられず、博多に出て行った機会にやっと入手した。
(「」諸星大二郎著、眠れぬ夜の奇妙な話コミックス(朝日ソノラマ)、2006年2月発行、ISBN4-257-90546-8)

SFマガジン 2006年6月号

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ヤング・アダルト・ノベル特集。ここでいうヤング・アダルトは日本のライトノベルとは意味が違ってヤング・アダルト・ファンタジー的な意味合いで使われ、収録作品もその線に沿ったものになっている。美食クラブの面々が究極の食材を求めるニール・ゲイマン「サンバード」、魔女により三角関係を利用されそうになった少年少女が取った行動を描くティム・プラット「魔女の自転車」、母親の事故と死体で見つかったクラスメイトの事件にまつわる少年の話を描くクリストファー・バルザック「少年が死体で見つかって」が特集作品。他に読みきりでゾンビたちがやってくる聞こ見ゆる深淵の近くのコンビニでの3人の登場人物を描くケリー・リンク「ザ・ホルトラク」。浅倉久志セレクションではパパがタイムマシンでダ・ヴィンチを呼び出したが返せなくなって、という話のキット・リード「ダ・ヴィンチさん」。連載は、山田正紀「イリュミナシオン」の第6回、夢枕獏「小角の城」の第5回、田中啓文「罪火大戦ジャン・ゴーレ」の第17回はそろそろ重大な進展か。あとはいつもの評論やコラム類。

涼宮ハルヒの憤慨

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涼宮ハルヒシリーズの8巻。中身は中篇2つ。「編集長★一直線!」では、突然文芸部が活動していないことを根拠に部室の撤去を申し渡す生徒会長に対し、部会誌を発行して活動を認めさせる条件で対抗するハルヒが鬼編集長と化し、SOS団の面々に原稿を提出させる。朝比奈さんには《童話》、長門には《幻想ホラー》、小泉には《ミステリー》と題目が出され、キョンに出されたのは《恋愛小説》であった。苦労の末の挿絵つき《童話》や意味不明の《幻想ホラー》に対しキョンは昔の体験を元に何とか《恋愛小説》にオチをつける。鶴屋さんの冒険小説の中身も読んでみたいものだ。2編目の「ワンダリンング・シャドウ」では、同じクラスの阪中さんから愛犬の様子の変化について相談を受けたSOS団が調査したが何も発見できなかったところ、突然その犬が原因不明の病気になる。犬を調べた長門によって情報生命素子がウイルスのように犬に取り付いていることが判明し、長門により情報生命素子を凍結・アーカイヴしキョンの家の猫のシャミセンに封印することで決着する。今巻はどちらかというとインターミッション的な内容。アニメも始まっているので見てみたが原作の雰囲気をよく出していて気に入った。ただ、いくら土曜とはいえあの時間帯(26時40分)では直で見るわけにもいかないしなあ、録って見るかなあ。

(「涼宮ハルヒの憤慨」谷川流著、角川スニーカー文庫、2006年5月発行、ISBN4-04-429208-6)

MOONLIGHT MILE 12

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この巻は吾郎とロストマンの真っ向対決から始まる。米国主導を主張するロストマンと月での理代子に対する仕打ちに怒り日本独自での月行きを主張する吾郎の対立は双方の護衛同士が銃を向け合う一触即発になるが、タイミングを見計らった理代子のTV電話での介入と折衷案の提案により何とか妥協点に落ち着く。しかし米国の援助を断った代償として吾郎たちのH?Aを使った有人打ち上げ計画はテロリストの標的とされる。種子島に上陸したH?Aを標的にしたテロにより多くの技術者が負傷し、テロリストによる土砂崩れの復旧も完了しないままに、近づくH?Aの輸送車に対しテロリストのロケット榴弾が向けられる。負傷技術者に付き添って移動中に偶然テロリストに出くわした橘陸曹長はテロリストを阻止できるのか?といったところまで。

(「MOONLIGHT MILE 12」太田垣康男著、小学館 BIG COMICS、2006年4月発行、ISBN4-09-180325-3)

巻頭は高斎正氏との対談「人類にとって自動車とは何か?」、高斎氏が同郷の豊田有恒氏との関係なども語っている。コラムは歯科医の田北敏行氏と関西歌舞伎を愛する会の川島靖男氏。菅谷充がエロチックな夢の内容が放送されてしまう能力を発現してしまった男の顛末を描いた短編小説「妄想の遺伝子」を載せているが、マンガ家のすがやみつる氏とのこと、早稲田のeスクールに在学中とかでベテランでありながら新しいことにチャレンジする姿勢がすごい。とり・みきのマンガ「NO WHERE BUT HERE」は各ページ9コマで描くシュールな物語集。「戦艦大和」見学ツアー始末記。休刊したゼネコン大林組のPR誌「季刊大林」についての元編集長の林章氏の顛末記が面白い。1990年9月8日に龍谷大学での第2回日本シミュレーション&ゲーミング学会における講演記録「シミュレーションとフィクションについて」。自作を語るのコーナーは短編小説(60年代後半?70年代前半)。小松左京研究会のページは住吉信夫氏による小松左京の原点を訪ねる富崎漁村の話。

(「小松左京マガジン第22号」、イオ(株)発行、角川春樹事務所発売、2006年4月発行、ISBN4-7584-1067-4)

前半の表題作では、惑星ペノロクの調査を続けるローダン一行の前にヤアンツァルとカトロン銀河をつなぐ結合脈を通ってトリトレーアが出現する。結合脈こそが鍵と信じるヘルタモシュはグロモ=モト星系の第3惑星パインテクを調査し、この惑星からの6次元ハイパー放射がヤアンツァルの固有定数を操作し脳移植を可能にしていることをつきとめる。パインテクの静かな監視者の庭で18のペルトゥス脳と対峙したローダンたちだが、突然の攻撃でナウパウム艦隊は全滅し、ローダンたちもペルトゥス脳を破壊し、最後に残ったペルトゥス脳を老科学者ドンクトシュに移植する。後半の「過去から来たゴリアテ」では、残されたわずかな乗員と搭載艇でパインテクのカトロン脈の放射装置に侵入したローダンたちだが、増加したペルトゥス脳の支配力に屈したドンクトシュが逃亡し、非常時用の強化生物ゴリアテに自身を移植したペルトゥス脳の襲撃を受ける。ローダンたちは激しい戦いの末、かろうじてゴリアテを麻痺させ、ペルトゥス脳を元のドンクトシュの体に戻すことに成功する。

(「静かな監視者の惑星(ペリーローダン322)」ヴルチェク&クナイフェル著、天沼春樹訳、ハヤカワ文庫SF1556、2006年4月発行、ISBN4-15-011556-7)

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