2005年11月アーカイブ

前半の「サイナック脳の謀略」では、ゼロ時間ブリッジにより一時的に地球のアンドロローダンの策略は阻止される。一方、ローダンが通常のサイナック脳ではなく、謀略によりナウパウムに流されてきた犠牲者だと知ったサイナックハンターのトリトレーアがローダンを捕らえようとする。ローダンたちはそれを逆手に取り、逆に罠をはってトリトレーアとの直接会談に成功し、太古、ユーロクと敵対していた種族ペルティスのことを聞きだす。後半の「ムクトン=ユルの叛乱」では、なかなかサイナック脳を捕らえられないトリトレーアに対し、ユーロクのからんだ陰謀の話を聞いたチャトロはトリトレーアに疑いの目を向けだし、もう一人のユーロクであるノクを目覚めさせる。潜伏地でノクに遭遇したローダンは危ういところを太古のユーロクであるトゥクストの出現で助かる。ノクを追ってきたトリトレーアは戦いの中でノクがムクトン=ユルという組織による叛乱を意図していることをつきとめ、ノクを倒し、ローダンにペルティスの情報を渡す。

(「サイナック脳の謀略(ペリーローダン317)」クルト・マール&H.G.エーヴェルス著、天沼春樹訳、ハヤカワ文庫SF1536、2005年11月発行、ISBN4-15-011536-2)

SF Japan 2005 WINTER

| コメント(0)

久々の SF Japan。シリーズものの新作として宮部みゆき「ドリームバスター3」と山田正紀「神獣聖戦、最終話ディープタイム前編」。どちらもこれまでの話を読んでないんだが、ドリームバスターは惑星テーラの事故で凶悪犯の意識が異世界である地球の人類の夢の中へ逃げた世界で、逃げた犯人を夢に潜って狩るドリームバスターのシェンたちを描く。今作では新たなキャラクタであるカーリンとの交流と、虐待児タカシに潜むモズクを追うシェンたちの結末。神獣聖戦は前編なのでどうなるかまだよくわからない。連載陣では夢枕漠「闇狩り師、黄石公の犬」と火浦功「又火星のプリンセス・リローデッド」はどちらも、もうちょっと1回で進展して欲しい。古橋秀之「百万光年のちょっと先」は連作ショートショートだが、いずれもちょっといい話を読んだ気になった。清涼院流水「われはロボット」はアシモフ作品にからんだ作家ロボットのキャルシリーズの話。若木未生「オーラバスター・インテグラル」はつづくそうなのでまた。谷口裕貴「11月のおわり」はエイリアンとの遭遇の中で超光速理論の秘密を入手しようとする話だが短編に詰め込まれたワイドスクリーンバロックといった感じで長編にしてもいいかも。巻末の特集は「恋愛SFに、涙する」というテーマで桜庭一庭「A」はアイドルのいなくなった時代にアイドルをよみがえらせようとする話。西澤保彦「キス」はモリナツコシリーズの1つで中学生のころ出会った少女を探すあかりを描く。梶尾真治はインタヴューと「時の”風”に吹かれて」は叔父の絵の中の女性を救おうと過去に向かった男の話。パターンだが安心して読めた。

(「SF Japan 2005 WINTER」徳間書店、2005年11月発行、ISBN4-19-862090-3)

大森望によるSF作品の時評集の第2弾。前巻に続いて1996年から2005年までをカバーする。1996年と1997年はアニメージュの連載に小説すばるのコラム、本の雑誌やSFオンラインの書評で補足したもの。1998年からは本の雑誌の「新刊めったくたガイド」を基本に集めている。各年末にはその年の総括として、各種ベストの投票結果などでまとめてある。巻頭の「はじめに」では、前巻も含めて30年間、1500冊から現在も入手可能もののベストを上げてある。これを見ると海外SFはともかく日本SFは結構読んでないのがあるのがわかる。この巻の最初で扱っている1996、1997年あたりというのはSF冬の時代の真っ最中だったとのことだが、確かにそうした論争があったことは記憶してるが、実感としてはあまり残ってない。それに対して後半の2000年代に入ってからは「夏」と言っていいくらいの出版量になっているが、実感としても文庫以外の叢書が結構増えたのは感じる。最後は出たばかりの啓示空間、太陽レンズの彼方、血液魚雷あたりまで載ってるのはビックリ。

「現代SF1500冊回天編1996-2005」大森望著、太田出版、2005年10月発行、ISBN4-87233-988-6)

裏モノ日記

| コメント(0)

2年ほど前の本。ウェブ日記としては定評のあるものだろうけど、著者が唐沢俊一なので内容は当然そっち方面が多い。必ず駄洒落のタイトルがつき、ロフトやオタクアミーゴスのトーク、と学会関係のイベントやSF大会、コミケの様子などが綴られるが、私が九州在住ということもあって、そうしたイベントにほとんど参加してないんでいろいろ興味深く読めた(九州でやったイベントもあるけど行ってないし)。中で世田谷の一家殺害事件のことが触れられているくだりを読んで、東大のSFアニメ研のこととかも出てくるが、そういえば唐沢俊一って私とほとんど同年代なんだなあ、と今更のように思った(唐沢氏は1958年、私は1957年生まれ)。当時はこちらはSF研が主で、SFアニメ研の方は同級生のO氏に連れられてちょっと触れた程度だが、どこかで遭遇していたかもしれん。全然記憶にはないんだけど。

(「裏モノ日記」唐沢俊一著、アスペクト、2003年9月発行、ISBN4-7572-0989-4)

電撃!!イージス5Act-II

| コメント(0)

大学入学を機に変人科学者の祖父の家に下宿と考えた主人公が、祖父の家で遭遇したのは、5人の美少女とAI搭載の羊のぬいぐるみであり、美少女たちは高次元からの侵入者であるEOSを撃退するための戦士であった、というのが前巻の設定。この巻では、告られた巴が主人公相手にデートの練習をする第6話、元気いっぱいの琴梨のスケボーに振り回される主人公の第7話、校内バレーボール大会に潜入したガニメーデスの第8話、主人公の妹の李里の登場で大騒ぎになる第9話と収録。最後の第10話では、凌央そっくりの黒凌央が出現し、凌央は人類の観察に高次元から送り込まれた観察用ボディであり、観察期間が終了し、人類を消滅させるために来たのが自分だと宣言する。しかし決定に逆らう凌央が黒凌央の攻撃を防ぐうちに、高次元を漂流していた祖父が帰還する。黒凌央に対し、しばしの猶予(50億年)を勝ち取った祖父は、最後に計略を用いて高次元に脱出し、それを追って黒凌央も去ったので、主人公たちはめでたく元のEOSとの戦いの日常に戻るのだった。イラスト担当の後藤なおの裏いーじす・まんがも巻末に収録。ちょっとあっけない終了なので、もっと読みたかった気も。

(「電撃!!イージス5Act-II」谷川流著、メディアワークス電撃文庫、2005年10月発行、ISBN4-8402-3173-7)

CB感/006

| コメント(0)

ジュンはイーサムやモラたちと湘南の海へ行くが、自然の海辺には誰も出て行かず、モラなどは屋外へ出ただけで湿疹が出てしまう。そこで、ジュンはイーサムからモラへの告白を頼まれるが、勢いで、バイクのレースで勝ったら自分とつきあうようモラと約束する。ノブにバイクの乗り方を教わり、モラとレースをするジュンだが、何とか勝ってしまい、モラとつきあえるようになる。しかし、それ以上にバイクにのめりこむジュンはノブのCBナナハンが気になって仕方なく、しばしば黙って借り出して乗り回すようになる。調子にのって地上にまで出たジュンは公安に取り囲まれる。慢心したジュンは公安のパトカーを振り切れるか、というあたりまで。

(「CB感reborn/006」東本昌平著、小学館・ビッグコミックス、2005年10月発行、ISBN4-09-187336-7)

小松左京マガジン20号

| コメント(0)

5年間、20号の区切りの号。といってもそれらしいのはOB座談会くらいか。小松左京の担当をした編集者5名(森優(SFマガジン)、高松繁子(オール読物)、濱井武(カッパ・ノベルズ)、萩原実(問題小説)、石井紀男(SFアドベンチャー))が往時を回顧している。巻頭インタヴューは櫻井よしこ、第6回小松左京賞を「ルーツ(出版時「神の血脈」)」で受賞した伊藤到雄氏は63歳だそうな。連載は高齋正の車コラムは「ツーリスト・トロフィー・レース」、田中光二のシネマ・オデッセイは最終回でミュージカルを扱っている。小説では、高千穂遙「人形師」は、時空を歪める実験で現世に漏れ出した冥界の意識の断片が人々に憑いて様々な事件を起こす世界で、切り裂き魔と化した弟の始末を依頼人の姉から請け負った魅来凶太郎が魂魄を入れる生人形を作る能力を使って相棒の降霊術師、亜里沙と事件の裏をあばく。藤臣柊子「男子高校2年の秋は眠いのだ」は、やたら眠気を覚える加々谷だが、眠くなるのは加々谷家が地球に来ている事情が理由であった。

(「小松左京マガジン20号」イオ発行、角川春樹事務所発売、2005年10月発行、ISBN4-7584-2050-5)

ハイブリッド

| コメント(0)

ネアンデルタール・パララックス3部作の完結編。並行宇宙のネアンデルタール人物理学者ポンターは事故によるこちらの宇宙への落下をきっかけに、両宇宙間の門の設置をし、ネアンデルタール(ホモ・ネアンデルターレンシス:バラスト)と人類(ホモ・サピエンス:グリクシン)の交流が始まった。ポンターと人類の遺伝学者メアリはお互いに愛し合うようになるが、種族の違いを乗り越えて2人の子供を作るには、ネアンデルタール人遺伝学者が作成し、禁制品とされた遺伝子操作機コドン・ライタが必要だった。自発的に追放人になっていたコドン・ライタの開発者ヴィサンからコドン・ライタを入手したメアリは人類側の地球に持ち帰るが、並行宇宙との交流に対応するための機関シナジー・グループのディレクターであるクリーガーはコドン・ライタを使えばネアンデルタールだけを選択的に殺害するウイルスを作成できることに気付き、並行宇宙のネアンデルタールを抹殺し人類のために使おうと画策する。一方、神経生物学者シャノンたちは人類が神を信じるのは脳の中の特定の構造によるもので、それはネアンデルタールにはないことを突き止める。おりしも弱くなった地磁気の影響がまさにその脳内部位に影響を及ぼしだす。ぎりぎりでウイルス危機は回避され、2人は結婚するが、地磁気の影響はこれからも続く、というところまで。

(「ハイブリッド」ロバート・J・ソウヤー著、内田昌之訳、ハヤカワ文庫SF1535、2005年10月発行、ISBN4-15-011535-4)

マッカンドルー航宙記の第2弾。原書では完全版という形で関係全作を集めた本が出てて、今回はその中から前巻に収録されてないものを入れてある。そのせいか全体に小粒な感じで、特に第1話「影のダークマター」と第2話「新たなる保存則」はマッカンドルーとジーニーを落としいれようとするアンナ・グリスの陰謀がらみの話で、あんまりマッカンドルーが宇宙の謎に挑む的な部分がない。表題作はさすがに面白い。100光年という近さに出現した超新星の観測に太陽レンズの焦点に向かった調査船が謎の救命信号をキャッチしたが該当宙域には何も見つからない。マッカンドルーが推理した宙域にはかつて地球を旅立った植民船がいたが、救出に向かったマッカンドルーたちはあやうく殺されそうになり、船がAIに支配されていることを知る。かろうじて脱出したマッカンドルーたちが再度、その船に向かった時にはAIは十分に進化しており、いずこかへ謎の推進方法で去ってしまった。第4話「母来たる」はペンローズ研究所にマッカンドルーの母が来たが、その話の中から失踪した父の話が出、残された父の手記から、父の失踪の真相を探る。第3話なんかは続編が読みたいものだがシェフィールドの死去で叶わぬこととなってしまった。

(「」チャールズ・シェフィールド著、酒井昭伸訳、創元SF文庫、2005年10月発行、ISBN4-488-69304-0)

2010年3月

  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      

このアーカイブについて

このページには、2005年11月に書かれたブログ記事が新しい順に公開されています。

前のアーカイブは2005年10月です。

次のアーカイブは2005年12月です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。