画面を目で見て,マウスやキーボードで操作している多くの人々とは異なり,パソコンの画面を目で確認できない人々(重度視覚障害の人々)はパソコンにインストールした画面読み上げソフトの音声でパソコンの状態や入力した文字,自分がいる場所を確認し,キーボードで文字を入力したり,コマンドを打ち込んだりすることでパソコンを操作します。パソコンを重度視覚障害の人々が操作することの彼らにとってのメリットは多様であり,とても大きいです。特に挙げるとすると情報の収集,テキストや音声を中心にしたコミュニケーションへの貢献があるでしょう。
しかし,パソコン上の架空の事物を操作することは容易ではありません。なぜならその架空の事物の表現は,視覚で捉えて効率的に行えるように工夫されているからです。GUI(graphical user interface)に代表されるようにです。特に先天的に目に障害があり,視覚的表象が少なかったりユニークだったりすることが考えられる先天性の視覚障害の人々にとって,時としてこの架空のコンピュータ上の事物を操作することは困難を極めることがあります(経験的には子どもよりも大人のほうが大変のようです)。しかし,彼らの状態を考慮して学習環境を整備することでこの困難は克服できます。この「学習環境の整備(単に物理的なことだけでなく,教師の言葉掛けや指導法も含めた環境)」について研究を進めています。この研究の節目として,「声ユーザーへのパソコン導入期指導プログラム(読書工房)」を出版しました。

視覚障害の原因には眼球,中枢,その中継部分の3か所が考えられます。この中で,脳血管障害・外傷・一酸化炭素中毒・低酸素症・尿毒症などにより中枢(眼球・中継部分を経由して送られてきた情報を解析する部分)に障害を持ったとき,その部分によっては外界の状況をうまく処理できない事態に陥ります。こうした状態を皮質盲とよびます。典型的には明暗を感じられないが,対光反射はある状態ですが,その状況は様々なようです。例えば歩いたり,食事をしたりなどの日常生活は何とかこなせるが,図形を処理したりすることは全くできないといった状況もあるようです。この状態になると多くの場合文字を読んだり書いたりすることが困難になります。
このような状況の子どもに対してトーキングエイド(声の出るキーボードをイメージしてください)を用いて文字指導を行い,最終的にはメールを送れるようになったという事例です。
詳細は:鶴井善子・氏間和仁, 皮質盲児に対するワープロ指導の実践例, 弱視教育, 40, 4, 1-7, 2003
理療科とは、あん摩マッサージ師、はり師、きゅう師の国家試験受験資格を得るための学習を行う盲学校独特の教科です。この分野に関する研究・実践を掲載しています。
上月エデュティメント教材開発助成事業の助成を受けて開発した視認性の高いマルチメディア教材を掲載しています。
日本理療科教員連盟のワークグループで開発している、視覚障害教員の図譜作成を支援するソフトです。
東洋医学科目は東洋哲学の理解からはじまり、それを基に人体の働きや病の状態、治療の方法を案出する学問です。文字からイメージを膨らませたり、概念を演繹的に利用して理解する力を身につけることが求められます。視覚障害者、特に漢字の学習を十分に行う機会がなかった者にとっては困難な科目といえます。そこで私が行った授業の実践例を掲載してみました。