前回にひきつづき、目録等の書名からだけでは内容の見当のつかない近世紀行文について、その行程や特徴を簡単に紹介してゆく。なお、ナ行以下は点数が比較的少ないので、今回まとめて一度に紹介する。ア行からの分も含めて、今回もれた作品の追加分は、ひきつづき紹介する予定である。なお、カ行とタ行の作品、すなわち「近世紀行文紹介 その二」「近世紀行文紹介 その四」については、九州大学国語国文研究室発行「文献探究」25・26号を参照されたい。
- なかそらのにき 量湖
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柿衛文庫蔵。板本一冊。国書総目録には安政六年刊とある。友人たちと玉野に月見に行 った時のもので、歌仙や発句が多い。文章は少ないが、山間の風景など描写している。 冒頭に月見の論あり。
- 中空の日記 香川景樹
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帝国文庫「続紀行文集」所収。文政元年、江戸から東海道を経て、名古屋に至るまでを 記す。和歌を多くまじえる。文体は一見優雅だが、歯切れよく、やや俗文めいためりは りの強さもある。記事も、土地の風俗に目を注いだ珍しいものが多く、また、山道をあ えてわけいって崖から落ちるなど、作者の強い個性に彩られた個人的な記事が印象に残 る。秋成の紀行文ともやや共通する、紀行文制作への意欲的な工夫と、清新な感覚がう かがわれる作品である。
- 長山氏庚子遊艸 作者不明
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無窮会図書館蔵。7046。写本一冊。25.0×16.6cm。十行書。二十四丁。 朱少々。共表紙、仮綴。左肩白題簽。外題「長山庚子遊艸」。内題「庚子遊艸」。天保 十一年、江戸から水戸、仙台、米沢、会津を巡り、当時の社会情勢を、博打、乞食、学 問の風などにわたって、漢文で詳しく記す。資料として貴重であろう。
- なまよみ日記 松本文雅
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国会図書館103/141。写本二冊。文久元年の自序があり、それによると、亡き父 が日蓮宗の徒であったため、自らはその宗派ではないが父に代わって参詣し、また武田 氏関係の古戦場見物などもしたいと旅立ったとある。同年八月十一日に江戸を出立、青 梅道から日野、駒木野、津久井、鶴川など経て、甲州へ向かう。参詣の後は付近を遊覧 する。川舟を多く用いるのも特徴の一つであろう。従者を一人つれていること、その従 者の性格なども記し、読み物としての面白さを配慮している。かなりの長編だが、参詣 記、古戦場見物記、富士周辺の遊覧記など、多様な性格を備えており、土地の風俗や見 聞したものの記事は豊富で、説明も詳しく、文章も明快で読みやすい。文字はやや小さ くて、読みづらい印象を与える。
- 並山日記 黒川春村
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東京大学図書館蔵。J40−9。写本三冊(十巻十冊と目録一冊の計十一冊を合冊)。 26.3×19.4cm。十行書。朱色表紙。中央白題簽。外題「並山日記」。文久元 年、浅草、高橋広道写の奥書あり。嘉永三年、江戸から甲州街道を経て、身延山へ、そ の後、富士から東海道へ出て、箱根を通って江戸へ帰る。冒頭に紀行文論あり。記事の 内容は豊富で面白い。美しい彩色図が多い。「甲斐資料集成 一」に翻刻あり。
- 南歩の記行 彰馴亭花鈴
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無窮会図書館蔵。写本一冊。寛保三年の春、大坂を出発、河内、大和、紀伊方面を巡る 紀行文。高野山や和歌の浦の描写が詳しい。貝原益軒の「南遊紀行」と共通する記事が 多く、同書を参照している可能性もある。個人的な感想めいたものは少なく、客観的な 記述が主だが、記事の内容は充実している。
- 日岳先生漫遊記 富田日岳
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国会図書館蔵。写本一冊。外題「漫遊稿 内篇外篇 完」。内題「漫遊稿内篇」。漢文 紀行である。享和元年二月、熊本を出て、筑後川に至り、高良山に登る。更に太宰府に 参詣し、箱崎、香椎、小倉を経て、下関の阿弥陀寺に詣でる。長府、岩国などに立ち寄 りながら、船で瀬戸内海を進み、室に上陸、石の宝殿を見物、楠木正成の墓や一の谷を 巡って、大坂、京都、近江を遊覧した後、伊勢や奈良を巡り、再び船で帰途につく。内 篇には、その旅の大略を記し、外篇には細かい旅の日常を記すことを、冒頭に言う。長 編だが、平明な記述で、細かく旅のさまを記し、読みやすい。軍記物関係の記事がかな り詳しく記されていて、作者が興味を持っていたことがわかる。風景描写も多く、箱崎 の浜辺の様子なども、よくわかる。
- 日日庵宗匠旅路之記 宗雪
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岩手県立図書館蔵。写本一冊。享和三年、江戸から千住、草加、糟壁、栗橋、小山、宇 都宮を通って、日光に参詣する。発句をまじえて、簡明で軽妙な筆致で、旅の様子をよ く描いている。知人宅に立ち寄り、茶室や庭を見ることもある。宿の描写なども丁寧で ある。記述は具体的で生き生きしており、常套的な表現が少ない。
- 幣ふくろ 枇杷園士朗
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帝国文庫「続紀行文集」所収。安永三年、名古屋から船で佐屋渡りをして、関、石山な ど近江を見物、京に入る。その後、船で大坂に行き、また伏見などを遊覧する。発句を 多くまじえて、短い紀行文だが、歯切れよい文体で、旅の様子や見聞を生き生きと描い ている。
- ぬさふくろ日記 小津久足
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無窮会図書館蔵。7062。写本2冊。22.9×15.6cm。十行書。第一冊・六 十六丁、第二冊七十二丁。朱入。青地に銀の花模様表紙、左肩題簽。外題「ぬさふくろ 日記」。内題も同じ。奥書「天保九年といふとしのかみな月 小津久足」。冒頭に「か ら人の詞に、くせなき人をにくむといへるはうべなることにて、くせある人はかならず ひとつのとりどころありて、をかしきものなり。われ、人なみにかずまへらるべき@は にはあらねど、ひとつの癖あり。そのくせはいかにといふに、国々の名山水をこのむの くせなりけり。」とあって、この作者の他の紀行文と同じように、丁寧で平明な和文で 旅先の土地のことが記される。伊勢を出発して、近江や京都周辺を巡っており、益軒の 京都の案内記も参照している。都市の名所の描写も丁寧である。
- ねそびれ草 作者不明
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東北大学狩野文庫蔵。4門11203。写本一冊。23.4×16.0cm。14丁。 茶色表紙(後補)。左肩白題簽。外題「ねそびれ草」。中表紙(共表紙)題、内題も同 じである。江戸の千住から宇都宮、喜連川、芦野、鍋掛、小坂峠、信夫、清水、庄内、 上ノ山を経て大沼に至り、やや滞在して近辺を遊覧、その後、吹浦、三崎峠から出羽三 山に至って終わる。末尾に「此出羽紀行、蜀山先生よりかりまいらせし、走筆にうつし をきぬ。辛未仲夏 初六夜。たれ人の道の記にや後日猶たづぬべし。文宝亭」とある。 内容は、やや雑な印象もあるが、軽妙な筆致で、旅の実態をよく描いている。
- 後しゐの葉 椎本才麿
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京都大学図書館蔵。板本一冊。京都寺町、井筒屋庄兵衛の刊記あり。作者には、同じ元 禄五年に「椎の葉」という紀行文があるため、この題がある。九月の末に、備前の岡山 に赴いた時のもの。上巻はすべて、旅先での歌仙である。下巻は発句をまじえて簡単に 淡々とした筆致で、吉備津の宮など、土地の名所の伝説や実態をつづっている。
- 後のさしもぐさ 石川万甫
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西尾市立図書館岩瀬文庫蔵。写本一冊。文化十年、屋代弘賢らと、江戸の近くの海根川 に蛍見物に行った時のもの。挿絵もまじえて優雅な和文で、人々との交流や、蛍の様子 を記している。それほど長い作品ではないが、蛍見物を中心に書いているのが珍しい。
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- 野山のなげき 伴林光平
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「勤皇文庫」第三編「山陵記集」所収。文久二年の奥書を持つが、それより二十数年以 前から、畿内の天皇陵が荒廃しているのを気にして、時には師の加納諸平と共に、また は一人で、それらの陵墓を巡った折の見聞と、簡単な調査を記している。長歌や和歌を まじえ、それほど長編ではなく、形式もやや整わないが、師に命じられて、墓の上で酒 宴をしている僧たちを追い払う様子などが、てらいのない素直な調子で書かれている。 本居宣長の「菅笠日記」や、同じ「勤皇文庫」所収の「藺笠のしづく」(谷森善臣・安 政四年)などのように、古陵探訪記は小さいながら紀行文の一ジャンルをかたちづくっ ており、特に幕末には勤皇思想と結合して、いくつかの作品を生んでいる。その発生や 特質についての今後の調査が必要であろう。
- 浜木綿日記 小津久足
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無窮会図書館蔵。7072。写本三冊。24.1×15.2cm。十行書。第一冊・八 十八丁、第二冊・八十六丁、第三冊・九十六丁。朱少々あり。黒地に銀の花模様表紙。 左肩題簽。外題「浜木綿日記」。内題も同じ。奥書「雑学庵の主久足ふた@び記 浜木 綿日記巻下終」。天保十年三月末に、伊勢を出発して畿内をめぐり、熊野に参詣する。 それから根来に詣でて、大坂に行き、芝居見物などをしている。(以上第一・二冊)ま た、天の橋立を見物して京都に戻り、名所を見物する。(以上第三冊)わかりやすい丁 寧な記述で、個人的な感想や珍しい記事も多く、この作者の他の紀行文とともに、傑作 と言ってよいだろう。末尾に紀行文や旅について述べ、貝原益軒の「諸州巡覧記」をた よりになると高く評価している。
- 常陸帯 安藤朴翁
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帝国文庫「続々紀行文集」所収。元禄十一年、京都から東海道を経由して江戸に至り、 小石川園で水戸侯と対面するなどして、江戸滞在の後、鹿島、水戸周辺を遊覧し、日光 に参詣して、また水戸に帰る。和歌をまじえて、格調ある文体で、見聞したものを記し ている。風景描写も多い。都市を描く紀行文としても注目される。近世前期における長 編の力作であろう。
- 常陸紀行 黒崎貞孝
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帝国文庫「続紀行文集」所収。文政九年刊。題は「紀行」とあるが、日時や行程は一切 記されず、作者も登場しない。常陸の国の名所旧跡や社寺、伝説、産物などを、詳細に 記述する地誌の体裁をとっている。内容は豊富で興味をひくが、このように近世の末に なっても、まだ地誌と区別できないような形式をとっているのは、国学者たちをはじめ とした作者たちによって、地誌的な要素も持ちながら、文学的な面も重視した紀行文が 完成しつつある状況の中では、やや古めかしい感じもうける。
- 風土遊覧集 二階堂休翁
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北海道大学図書館蔵。北大旧記534。国書総目録になし。板本五冊。22.5×15 .9cm。青色表紙。左肩題簽。外題「風土遊覧集 東之巻(以下、西之巻が二冊、南 之巻、北之巻が各一冊)」。内題「風土遊覧集 一 東都二階堂休翁述」。刊記なし。 序文は宝暦六年。図書館のカ−ドには「最初の3巻は蝦夷地と関係なし。北之巻は享保 13年(1728)採薬使として松前に来た著者の蝦夷地見聞録。最後の西之巻は児玉 貞良『蝦国風絵図』の写しである。」と記す。内容はこの通りで、カ−ドが蝦夷地と関 係ないと言っている三巻の内容は、神話や軍記物関係の伝説の紹介である。やや風変わ りな内容で、制作意図などについて、なお検討の必要があるだろう。
- 筆満可勢 富本繁太夫
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「日本庶民生活史料集成」第三・四巻所収。竹内利美氏の解題に詳しいが、作者は文政 十一年から天保七年にかけて、旅芸人として東北や越後、京都を巡った。その間の旅日 記で、芸人の生活を窺う貴重な資料として有名である。文学的な工夫の跡のない、俗文 の記録体だが、それがかえって生き生きと、当時の村や町の様子を伝えている。
- 丙辰紀行 林羅山
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帝国文庫「続紀行文集」所収。元和二年、江戸から京都までの東海道紀行。地名を項目 に立てて、土地の伝説や名物などの記事を簡潔に記し、漢詩を加える。近世初期に、地 誌的な傾向を明確に示すものとして、注目すべき作品である。羅山は他にも、風土記や 延喜式など、地誌的な要素を含む書籍の出版などに関わっており、「本朝神社考」など の作もあって、近世紀行文学史上、重要な存在である。
- 戊戌道の記 作者不明
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東北大学狩野文庫蔵。4門11318。写本一冊。24.3×15.9cm。50丁。 茶色表紙。左肩白題簽。外題「戊戌道之記」。中表紙(薄海老茶に黒の木の葉模様。左 肩白題簽。)題も同じ。内題はなし。天保九年、「あづまにおもむく帰るさ、越の前な る国福井の通寺に輿をよせて法のわざせよと、そのわたりなる人々のせちに乞ひもとむ る。よて」と、京から東海道を経て江戸に至り、江戸見物、帰途は江ノ島に立ち寄る。 また岐阜にも立ち寄っている。その後、美濃から中河内、今庄、府中を経て、福井に至 る。滞在の後、吉崎に行き、再び福井、米原を通って、老曽の森、武佐、瀬田、大津を 経て帰る。作者は僧侶で、あちこちの通坊に泊まり、福井では法のわざをして門下を集 めている。長編で、記事は詳しくしっかりしており、珍しいものもある。和歌、漢詩を まじえている。
- 本朝奇跡談 植村政勝
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叢書江戸文庫「近世紀行集成」所収。慶応大学等に板本四冊または二冊で存する。板行 は安永三年だが、もとは、駒場の薬園長植村政勝が享保五年から宝暦三年にかけて、薬 草を求めて各地を巡った折の見聞を記した、いわゆる採薬記である。京都の村上治兵衛 他三書肆が、小野高尚の序文を付して、内容はほとんど変えないまま、奇談集の体裁に して刊行している。奇談集と紀行文の関係を示し、また前期の貝原益軒と後期の橘南谿 を結び付ける位置にもある、注目すべき作品である。
- 正辰(まさとき)道の記 正辰
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国会図書館蔵。211−599。写本一冊。22.6×15.9cm。八行書。三十七 丁。青と茶色の布表紙。外題・中表紙題ともに「正辰道の記」。内題はなし。「天保六 年乙未の春、弥生半比より、あづまのかたへつとむる事ありて」と冒頭にあるように、 江戸に赴いて滞在の後、水無月に出発、中仙道を経て京に帰る。和歌をまじえた軽やか な筆致で、「一笑して」としばしば出るように、雰囲気は明るく、福島の馬市など珍し い記事も多い。非常に美しい淡彩色の挿絵が多く入っている。
- 窓の曙 似雲
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東京大学図書館蔵。E26−434。写本一冊。26.3×19.6cm。七十八丁。 茶色表紙。左肩白題簽。外題「窓の曙」。内題「窓の明ぼの 似雲」。安政年間写の奥 書あり。享保十五年、京都を出発、東海道を経て奥州や信濃を遊覧する。和歌をまじえ ているが、「ゆきCBて所の人に、つぼの石ぶみを尋れども、あはつけきかほして、し れるものなし。さながら、つと問ひ様を思ひ付て『大き成る石に字の書たるはなきか』 と問ひければ」などと、むしろ飾り気のないしっかりした文章で、旅の間の見聞や、土 地の伝説について語っている。感傷性は少なく、しかも無味乾燥ではなく、内容が豊か で、興味をひく記事が多い。名作の一つと言っていい。
- 真多念之夢 赤元良
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中野三敏先生蔵。国書総目録にはなし。写本一冊。天明四年、京都から伊勢、東海道を 経て江戸に帰る。漢詩、和歌、俳句を交え、優雅な中にも明快な筆致で、旅の見聞をつ づっている。特に、富士の近くの今泉村の篤農家、五郎右衛門の名が見えているのは珍 しい。
- 漫遊日記 花房駿
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国会図書館蔵。119−86。板本一冊。文久元年、佐賀を出発、小倉から船で瀬戸内 海を経て室に上陸、須磨などを見物して、京都に至る。町を遊覧し、斎藤拙堂の弟子、 山中春助らと会う。以後、京都とその周辺の各地を巡り、さまざまな人々と交流する。 その後、再び船で帰国する。(以上上巻)同二年、再び船で瀬戸内海を経て、楠木正成 の墓を拝した後、大坂に上陸、近江の義仲寺など、京坂を遊覧する。拙堂も訪問してい る。帰途はやはり船である。(以上中巻)更に、慶応元年、友人数人と長崎に赴く。清 の商人宅で、病気の夫人を筆談で治療する記事などあり。(以上下巻)簡潔な記述だが 面白い記事も多く、都市を描いた紀行文として貴重である。交流した人名が多く出るの も特徴の一つか。長編の佳作と言えよう。
- 漫遊文草 平沢元
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架蔵本(明治版。初版は寛政元年)による。板本一冊。18.1×12.0cm。全五 巻。海老茶色表紙。左肩白題簽。漢文で、全国にわたって遊覧した地を「岐蘓紀行」「 登富士山記」「汎海紀行」など、さまざまな形式をとって紹介している。よく読まれた か、多くの刊年不明本が残る。挿絵をまじえ、形式の多様さを利用して、巧みに各地の 風物や風景、旅の様を記している。
- 漫録
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京都大学富士川文庫。マ74。写本一冊。共表紙、仮綴。左肩打付書、外題「漫録」。 内題なし。内容は雑記で、紀行文ではない。
- 三日月の日記 浅香久敬
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金沢市立図書館蔵。1693−10。写本一冊。23.2×17.3cm。九行書。百 十一丁。茶色表紙。左肩白題簽。外題「三日月の日記」。中表紙題、内題も同じ。加賀 能登郷土図書叢刊に翻刻あり。元禄九年三月に金沢を発って、能登をはじめとした北陸 方面を巡る。石動山に登ったり、長谷部信連の古跡を訪れたり、田舎の家々が節句にあ やめを軒に葺くのに感心したり、内容は多彩で、描写は常套的なところが少しもなく、 詳しく具体的で、珍しい記事が多い。この地方の紀行文の代表作と言っていい。作者に は他にも紀行文があり、近世紀行文作家として注目される一人である。末尾に明治三十 一年の後書あり。
- 岬徑草 作者不明
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国会図書館蔵。土佐国群書類従百五(写本一冊)の内。嘉永五年、友人たちとともに、 多賀や坂本、三崎などを遊覧する。知人宅をよく訪問して、饗応されるなど、明るく楽 しげな紀行文である。その中にも、鯨とりのこと、非人の様子、遍路たちの姿、外国の 侵入に備えて設置された大砲のことなど、興味深い内容が多い。
- 未曾有之記 遠山景晋
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叢書江戸文庫「近世紀行集成」所収。名奉行で知られる遠山景元の父景晋が、寛政十二 年、公務のため蝦夷地に赴いた時の紀行文。彼にはなお、この他に「続未曾有記」「未 曾有後記」「続未曾有後記」「津志満日記」等の紀行文があり、「未曾有後記」は文化 二年の蝦夷への再踏査行である。近世後期に、蝦夷地の開発が進むとともに登場してく る、この地を題材とした紀行文は圧倒的多数にのぼり、いずれも大作、力作が多い。こ れも、その一つで、蝦夷の人々の生活、苛酷な自然条件の中での旅の様子などが、力強 く、平明な筆致で描かれている。作者は作中で夢に託して文章論も展開しており、読み 物としての面白さも充分に意識して書いているようである。
- 道芝の露 成島和鼎
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帝国文庫「続々紀行文集」所収。安永五年、徳川将軍家治の日光参詣に随行した折のも の。このような時に、公式の行事として、旅の様子を将軍家の威光を示すべく華やかに 描写する役割が成島家の人々に与えられることが多く、その場合、従来の旅の憂いを中 心とするのではなく、楽しく豪華なものとしての旅行を描くという点で、近世の紀行文 に一つの役割をはたした。この紀行文は、そのような命令によるものではないが、やは り同種の華やかさと明るさで、将軍家の旅の様子を細かく描いている。
- 道の記 通菫
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金沢市立図書館蔵。特1693の20。写本一冊。明和八年、国君治脩公の宮中等への 捧げ物の使いのための旅行で、金沢から水島、鯖江、鯖波、梁ガ瀬、米原、鳥居本、武 佐、草津を経て京に入る。以後、京都を見物し、宮中へも赴く。帰途は多賀明神に参詣 し、ほぼ同じ道を通って帰る。和歌や俳句が時々入るが、それほど多くはない。長編で はないが、「誰彼のころ、三條河原町、海老屋何某となんいふ家に舎りぬ。此家、心の 外によからぬ住居也。家はせまからねど、ふるき住居なり。此年しも都はいとAのこる 暑さなるに、西南に向たる庭にて、終日日影さし入、あつさ限なし。庭の詠めもいさ@ かなし。」などと、無駄のない平明な筆致で、明確に旅のさまを記しており、都の見物 も地名の羅列に終わってはいない。金沢には有沢一族をはじめとした、すぐれた紀行文 の伝統が存しているようだが、これもその一つであろう。
- 道の記 大原幽学
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「大原幽学全集」所収。全三巻。「錦江堂日記」とも。天保四年から十三年にかけて、 房総各地を講演して回った時期の日記である。発句や和歌をまじえて、各地での人々と の交流の様子をつづっている。具体的な人名が多く出る。作者の他の紀行文にもあった 「膝栗毛」風の滑稽さは、それほどは見えないが、「オヤ先生、おまへの顔はだいぶん 赤いネエ、ハ@@」と酔った顔を笑いあったり、放屁の話で皆が大笑いをしたりする描 写が会話体で記されたりする。日光参詣、鎌倉や奥州への旅の記も含まれている。日常 生活が旅と区別がつきにくく、日記がそのまま紀行文となっている一例である。
- 道の記 植松茂岳
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碧冲洞叢書「日記紀行集」第三冊所収。文政七年、名古屋から京へ往復する旅の記。そ れほど長い作品ではない。和歌をまじえて、優雅な和文で旅の様子や人々との交流を細 やかに記す。人名が多く出るところなどは、国学者の紀行文の特徴か。京都の名所遊覧 の描写なども、丁寧である。
- 道の記 伊達吉村
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「仙台叢書」第四巻所収。「藤原朝臣吉村公道の記」とも。宝永元年四月、江戸から仙 台に帰る折のもの。和歌をまじえて、無駄のない格調高い文体で道の様子をつづってい る。日光、松島に参詣している。末尾に同年の秋、居城の近くの社寺に参詣した短文を 付す。いずれも、派手な工夫はないが、的確な観察眼と表現力を感じさせる。
- 道の記 畑中盛雄
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「仙台叢書」第八巻所収。安永六年、伊達重村に従って仙台から江戸へ上る時、「道の 程のおもしろからんことなど、かきいづべきよし仰ごとくだり」、記したもの。和歌を まじえて、道筋の人々のさま、土地の伝説、風景などを、穏やかな和文で綴っている。 一見淡々とした筆致だが、鋭い観察眼がうかがわれ、また、くりかえしや無駄になりや すい記事は省略するなど的確な工夫があり、春の旅の華やかさがおのずと浮かび上がる ような、すぐれた表現力がある。
- みねのかけはし 花垣一衛
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大阪市立大学森文庫蔵。写本一冊。嘉永五年、江戸から京に帰る時のもので、中仙道を 経由している。和歌をまじえて、記述は簡単だが、街道の伝説や旅のさまを記し、個人 的な記事もある。肩の力の入らない日記のような自然な記述である。上部の余白に宿場 の名と距離を記している。
- 都日記 石塚竜麿
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「鈴屋大人都日記」に同じ。東京大学図書館蔵。E26−549。板本一冊。25.8 ×18.0cm。八十一丁。茶色表紙。左肩白題簽。外題「都日記 全」。内題「都日 記 上巻」。本居宣長が京都に講義に訪れた折のもので、その間の移動にともなって記 されているため、自ずから紀行文のかたちはとっているが、和歌と人名が多く、当地の 国学者たちの記念のための記録といった内容である。同じ、講義のために訪れた師と弟 子たちの交流を題材とした「天石笛之記」のような面白さには欠けるが、国学者たちの 実態はよくわかる。
- 都の手ぶり 浅香山井
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国会図書館蔵。写本六冊。元禄十年から十五年にかけての、金沢から京への往復と、京 の近郊の遊覧を記したもので、「ひなの道づれ」(第一冊)「九重のすさみ」(第二・ 三・四冊)「越の家づと」(第五冊)「鞍馬詣道くさ并大原道の記」(第六冊)より成 っている。形式はやや名所図会風だが、もちろん名所図会の出現より時代は早く、むし ろ初期のものにもかかわらず、感傷性がなく、地誌的で作者の考察も多いことが注目さ れる。近世紀行文の前期のものの中では見逃せない大作であろう。作者には他にも紀行 文の作品があり、あわせて調査が必要である。
- 妙海道の記 妙海
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国会図書館蔵。写本十冊。「都のつと」「伊勢路の日記」「奥の家づと」「越の雪踏」 「越路の月見」「都の追つと」「紀路の日記」「播磨路日記」「奥の追つと」と題して 安政から慶応年間にかけて、各地を巡った旅を記す。行程は非常に広範囲にわたり、作 品も大部のものだが、内容は和歌を交えた簡単な記述で淡々としており、それほど面白 いものではない。
- みるめのさち 成島司直
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帝国文庫「続紀行文集」所収。文化十三年、将軍世子の川崎大師に参詣した折の随行記 である。「こたびも御道すがらの事ども記し奉れとの仰せ言を、大隅守景元、伝へしか ば」とあるように、旅行の記録を書くよう公式に命じられて記したもので、和歌をまじ えながら、華やかに細かく、旅の様子をつづっている。必ずしも、格調にとらわれて堅 苦しくなってはおらず、紀行文の伝統のひとつである、日記的なのびやかさを失わない よう心がけているのがわかる。それほど長編ではないが、この種のものとして充分な質 の高さを持っている。
- 昔の旅 中井積徳
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大阪府立図書館蔵。223.6−48。写本一冊。27.0×19.2cm。十行書。 24丁。白色表紙。左肩白題簽。外題「昔の旅」。内題はなし。友人二人、従者一人と 共に、明石付近に桜を見に行く紀行文。公の旅なら豪華だろうが、私的なささやかな旅 なので、昔はきっと旅とはこのようなものであったろうということで題としたと、冒頭 にある。春の、のどかで明るい、楽しげな旅で、漢詩と和歌をまじえながら、さりげな い中に的確な風景描写を行い、土地の伝説などもよく記し、また飢饉のために土地の人 がよい着物を着られずにいることなど、興味深い記事も多い。
- 夢中記行 蘭友
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カ−ド不備のため、所在が不明。国書総目録にはなし。写本一冊。24.4×27.9 cm。共表紙。仮綴。左肩打付書。外題「莵道 夢中記行」。内題「宇治記行」。宇治 遊覧記で、和歌をまじえて、軽妙な明るい筆致でつづっている。ただし非常に短い作品 で、いきおい記述も簡単である。
- 陸奥太守参議氏郷道行 氏郷
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内閣文庫蔵。177−1113。写本一冊。25.9×18.1cm。十行書。九丁。 茶色表紙。左肩白題簽。外題「立野侍従道行 全」。内題「たちの@し@う道ゆき」。 末尾三丁の内題が「此冊陸奥太守参議氏郷道行」となる。「立野侍従道行」は、京から 江戸への東海道の記。和歌が多く、記述はごく簡単である。「陸奥太守参議氏郷道行」 は秀吉入唐の時の随行記で、白河から信濃、美濃、近江を経て京に至る。ともに、近世 のものではない。
- やをかの日記 岩沼花香
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九州大学国文研究室蔵。板本一冊。天保二年、多々秦明に勧められて、富士山に登った 折のもの。大半は和歌で、記述の部分は簡単で短い。しかし、その部分は明るく、具体 的で、旅の様子がよくわかる。末尾の書肆の広告には「居ながらにもふじのたかねにの ぼれりしここちもこそせめ」などとある。尾張の片野善長の後書あり。
- 遊嚢日録 海老名絅
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中野三敏先生蔵。板本二冊。漢文紀行。天保六年、京の勝村治右衛門他の刊記あり。文 政四年に本間光風に誘われて、畿内から屋島、壇の浦まで遊覧しようと江戸を発つ。途 中で秋葉山に参詣しながら東海道を進んで、近江から京に到着。次いで奈良、初瀬、吉 野を遊覧。(以上第一冊)高野山、和歌の浦を巡り、四国に渡って、屋島、金比羅に行 く。更に備前に赴き、その後、大坂に戻り、有馬に入湯、伊勢に参詣、名古屋を通って 木曽路に入り、江戸に帰る。長途の大旅行であるが、社寺の由来や土地の伝説、風景描 写なども多くて、内容は豊富である。
- 夢のしをり 松田直兄
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帝国文庫「続々紀行文集」所収。同書の解題には文政頃の作かとある。京都を出発して 吉野、初瀬、奈良などを友人たちと遊覧する、のどかで明るい紀行文。和歌を多くまじ えて、記述は比較的簡単である。
- 夢のただぢ 小沢蘆庵
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刈谷図書館蔵。同作者の「東の道の記」(写本一冊。22.9×16.3cm。十一行 書。六十丁。薄藍段染め表紙。左肩打付書。外題「東の道の記 蘆庵 小沢玄仲」。中 表紙題「小沢玄仲 東の道の記 加藤氏ノ蔵本ニ如此表題アリ」。内題はなし。)の後 半三十二丁分(中表紙題「小沢玄仲 夢の多だ智 加藤氏ノ蔵本ニ如此表題アリ」)に あたる。寛政十年写の加藤氏本の後写である。「東の道の記」は主君に従って京から中 仙道を経て江戸に行き、「夢のただぢ」は、その帰途で、東海道を通っている。和歌を まじえて道のさまを記しており、個人的な感想も、土地の描写も多いが、なだらかで癖 のない、よく整った文章のため、かえってやや迫力を欠き印象が薄い。(なお、この紀 行文の調査は坂本真理子氏と共同で行った。)
- 遊米廼都登 作者不明
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宮城県立図書館蔵。KM290−ユ1。写本一冊。27.5×20.0cm。八行書。 四十四丁。共表紙。仮綴。左肩打付書。外題「游米廼都登」。内題はなし。松島および その近郊の遊覧記である。年代は不明だが、「何栗毛とかいへるたはれ草紙めいて」と 冒頭にあるので、近世末期であろう。細やかな筆致で、松島の風景を描写しており、風 景描写の多い作品として注目される。画家の友人との二人旅で、雰囲気は楽しげで明る い。
- 万覚帳 松館幾右衛門
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宮城県立図書館蔵。KM290−ヨ1。写本一冊。五十九丁。8.3×19.9cm。 寛政六年の道中日記である。
- 理斎帰路旅日記 志賀理斎
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国会図書館蔵。112−119。写本一冊。寛政十二年、長崎から江戸への紀行文。一 年程の滞在の後、九月に長崎を出発し、小倉から船で瀬戸内海を進む。小倉までの記述 は簡単だが、下関のあたりで、平家物語に関する記事が非常に多く、橘南谿「西遊記」 を引用して肥後の五ケ庄のかくれ里のことまで触れて、長文を費やしている。岩国に上 陸して錦帯橋を見物、以後は近世では珍しく陸路をとって、厳島、吉備津の宮などに参 詣する。須磨で月を見て喜ぶが、このあたり以後の記述は、再び簡単になり、瀬田で秀 郷のムカデ退治についてやや長く記す他は、記事もほとんどなく、江戸に着く。そのよ うに大胆な省略をして、興味あることについては詳しく記すなど、書き方に工夫と自信 が見える。辺境の民は純朴であるという見解が見えるのは、南谿の影響か。なお、冒頭 には附録として長崎のことを項目別に記す目次があるが、この部分は存在しない。ある いは他に一本として存するか。
- 若葉能紀行草稿 小笠原長毅
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東北大学狩野文庫蔵。4門28468。写本一冊。26.3×18.8cm。13丁。 茶色表紙(後補)。左肩白題簽。外題「若葉の紀行草稿」。中表紙(共表紙)題も同じ である。内題はなし。冒頭に昭和六年に書かれた著者についての考察があり、小笠原長 毅かとする。安政五年、京の二条城の守りを命じられて、江戸から出発し、東海道を下 り、京に着くまでを記す。和歌をまじえて記述は簡単だが、「磯べの松立つAく。波の 音聞ゆれども海は見えず」などの素直な風景描写が清新である。添削が多い。師のもの かと冒頭の考察に言う。
- 和閑葉の記 長甫
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東北大学狩野文庫蔵。3門7936。写本一冊。17.1×12.3cm。47丁。共 表紙。仮綴。中央打付書外題「和閑葉の記」。内題はなし。安政五年の秩父順礼紀行。 江戸から出発して、大宮、秩父、熱川をめぐって帰る。地名と寺名で項目をたて、道中 記風に説明を加える。字は記録風でやや読みにくいが、書き入れなどはなく、整ってい る。食物のことなどが多く、旅の実態がよくわかる。跋文は少し気取っている。