サトイモ科のほとんどでは、やや太い棒のような軸の表面に、花柄なしで花がびっしりと敷き詰められるようにつく。このような花序を肉穂花序[spadix]という。
直立した茎の先端に花序がつく。茎の途中からは2枚の葉が横に広がる。雌雄異株で、雄花だけをつける雄株と、雌花だけをつける雌株とがある。
茎は一見太く見えるが、断面を見ると、2枚の葉の葉鞘で厚く囲まれており(さらに外側は、薄い鱗片葉の葉鞘が取り囲む)、本当の茎は意外と細い。外側から見える太い茎は、中を通っている細い真の茎と区別して「偽茎」と呼ぶ。
苞葉にくるまれた「つの」のような芽が伸び、苞葉のすきまから2枚の葉と花序が展開する。

仏炎苞をめくると、鮮やかな白い筋(白条)が縦に走っている。


雄株の花序と雄花の拡大。雄しべ3個だけの単純な花。



仏炎苞の開口部から入った虫は、附属体の裾に阻まれて逆戻り出来ない。雄花序の仏炎苞の基部(左)には小さなすきまがあって、花粉を体につけた虫の出口となる。雌花序の仏炎苞の基部(右)は、堅く閉じていて、虫は出られない。
秋になり葉が枯れるころには、ハエの犠牲によって受粉した雌花は赤い実に変わっている。
小さい株が束になって生えていることがある。雌花序が実をつけたまま倒れ、そのまま発芽したのかも知れない。
マムシグサの雌雄は、株の大きさによって決まることが知られている。大きい株は雌になり、小さい株は雄になる(さらに小さい株は開花しない)。大学周辺のマムシグサ(2006年度卒業生の卒業研究)では、偽茎直径15mmあたりを境にして雌雄が分かれている。だから、成長して個体サイズが大きくなるにつれて雄→雌と変化し、環境が悪く個体サイズが小さくなると雌→雄と変化することもある。このように、同じ個体が条件によって性を変えることを「性転換」[sex change]という。











畑のわきや石積みの隙間に生える雑草。仏炎苞や附属体は緑色。

肉穂花序の上半分に雄花が、下半分に雌花がつく(雌雄同株)。花序の雌花部は仏炎苞に埋め込まれ、仏炎苞の壁に雌花が並ぶようになる。雌花部の上部から短い柄が出て、棒状の雄花部につながり、さらにひものように長い附属体になって仏炎苞の上から伸び出す。雌花部の下では、仏炎苞に出口がある。
受粉すると、ふくらんだ子房が仏炎苞を押し広げるように顔を出してくる。花序は倒れる。
葉は三出複葉で、小葉の付け根や葉柄の途中にむかごがつくことがある。むかごは簡単に取れて新しい株となる。
梅林の下で無数の子株が見られた。



肉穂花序にハエが止まって葯をなめている
