
ホウセンカの花では、6枚の花被片が、ちり取りのような形を作る。花の後ろ側には細長いひものような距がついている。距は花被片の表面が突き出たもので、先端部には蜜が溜まっている。花を正面から見ると(右下)、内側の上の方に雄しべと雌しべがある。

雌しべの周りに、5つの雄しべがべったりと張り付いて一体となっている(上段と中段)。先端は少し下を向いており、一面に白い花粉がついている(下右)。雄しべが取れると雌しべが露出し、5つの突起からなる柱頭がやはり下を向いている(下左)。
ホウセンカは、オドリコソウ(シソ科)やラン科と同じように、奥深く隠された蜜を求めて花の中に潜り込んだ昆虫の背中に花粉や柱頭をくっつけることで送粉を行っていると思われる。ホウセンカは園芸植物なので、実際の送粉の観察には、同じ属で自生しているツリフネソウ類の方が適している。

ホウセンカやその仲間は、花粉管の発芽・伸長の観察によく使われる(発芽率が良く、また、発芽・伸長を短時間で見ることが出来るため)。写真は砂糖を溶かした寒天(水10ccに対し砂糖1g・寒天0.1g)上で約1分おきに撮影したもの。

果実の中には、種子がついた軸がある(左下)。熟すると、ちょっとしたきっかけで果実の皮が瞬間的に丸まり、軸を勢い良く発射する。このときに、種子は軸から離れて飛び散って行く。果実の皮の丸まる方向は逆だが、ムラサキケマンとよく似ている。

葉の付け根に近いあたりには、いぼのような蜜腺があり、アリが来ているのが見られることがある。このように葉の基部に蜜腺を持つ例は、いろいろな植物に見られ、昆虫の食害に対する防御のはたらきを持つと考えられている。