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平成29年度卒業式 式辞 (平成30年3月23日)

 平成29年度の卒業式、修了式にあたり、卒業生並びに修了生の皆さんに福岡教育大学の教職員を代表して、お慶びを申し上げます。おめでとうございます。
 同時に、学生の皆様を今日までささえてこられました、ご家族の方々に対して、お祝いを申し上げますとともに、卒業生及び修了生の皆様の栄えある前途を祝福するために、ご臨席を賜りました、ご来賓の皆様にも厚くお礼を申し上げます。

 本日ご卒業される方々は、福岡教育大学教育学部、大学院教育学研究科、特別支援教育特別専攻科、そして教員研修留学生の皆さんです。それぞれの所属に応じて、本学で過ごされました期間には違いがございますが、本学での学びはいかがでしたでしょうか。
 皆さんの中には、期待や希望とともに、一抹の不安を抱えながら入学された方も、いらっしゃったことでしょう。しかし、その不安に打ち勝ち、無事に今日という日を迎えることができたのは、皆さんの努力に拠るものであると思います。多くの困難の中で、皆さん、大変良く努力をされました。私は、皆さんに敬意を払います。
 加えて、忘れてはならないことを申し上げます。皆さんが、努力できたのは、皆さんの努力を後押しした、仲間、先輩や後輩、家族などの励ましや応援、温かい思いやりがあったからです。そして本学の教職員による励ましもあったことと思います。努力は応援する人々の存在により、力強く続けることができるようになるものです。
 皆さんは、本学で多くのことを学ばれるとともに、多くの感謝すべき人々とも出会われたことでしょう。本学で得たことを大切にして、力強く社会に羽ばたかれることを、心より祈念いたします。

 これから皆さんは、いろいろな場で、教育にかかわって生きていかれることでしょう。教育に、より良くかかわり続けるためには、新しい知識を得る学びを続けることが必要となります。
 しかしながら、知識そのものには、ほとんど価値がないのではないかと私は思っています。知識のもつ価値は、知識を受け取った側に生まれるものだと思うのです。そして、その価値は、受け取った人により異なっていると思うのです。今日ここには、700名あまりの卒業生と修了生がいます。皆さんが、例え同じことを学んだとしても、その価値は、それぞれに異なり、あわせて700もの価値を生んでいるのです。
 さらに、知識は人々に共有されることにより、その価値が飛躍的に増幅されます。

 しかしながら、知識のすべてが人々を幸福にする価値をもつとは限らないことを知っておくことも大切です。例えば、インターネット等で共有された知識の中には、誤ったもの、悪意や敵意に満ち溢れたものもあります。
 悪意や敵意は共有されることにより、大きな害を及ぼすことになります。いじめは、その典型的な例だと思います。情報が溢れる社会の中で、皆さんは自らの頭で情報の適否を判断する必要があります。その判断力は、学びを通してのみ、磨き上げることができるのです。ともすれば、「人は、見たいものを見、聞きたいことを聞き、信じたいものを信じるものである。」ということを常に心の隅に留めておいてください。

 本学で皆さんが手にされました知識と、人の輪である「人的ネットワーク」を、広く教育に、そして、社会のために活用してください。また、皆さんにはその義務があるということも、どうぞ忘れないでください。

 最後に、ロシアの数学者である、ポントリャーギンの話をします。彼は、1908年に生まれ、微分方程式や微分幾何学でその才能をいかんなく発揮し、1988年に80歳で亡くなりました。彼の業績に対して、レーニン賞をはじめ、多くの賞が与えられています。
 ポントリャーギンは、大変貧しい家庭に育ち、14歳のとき、ストーブの爆発事故で失明しています。しかし、目が見えない彼に代わり、母親が英語を学び、英語で書かれた数学の専門書を読み聞かせ、数学の学びを助けたといわれています。彼の本は、何れも名著と評判が高く、とても読みやすく書かれています。
 さて、皆さんにポントリャーギンのことを紹介したのは、彼が才能に恵まれていたということを話したかったからではありません。彼の才能をもってすれば、彼の業績は、当然のものかもしれません。しかし、お伝えしたかったことは、彼は絶望的とも思える苦難の中でも、多くの人々の支えの中で、見事に、自らの才能を開花させたということなのです。
 ポントリャーギンの努力、同時に彼を支えた母親と、彼を数学に導いた恩師や仲間に恵まれた幸運に目を向けていただきたいのです。自らの努力と支えてくれる人々の存在こそが、困難に対する一番の解決法であると思います。

 これからも多くの困難が皆さんを待ち受けていることでしょう。そのようなときは、志を秘め、謙虚に学び、勇気をもって困難に立ち向かってください。本学で学んだことが生かされることがあれば幸いです。必要があれば遠慮なく、再び本学を訪ねてください。皆さんのネットワークの中に、福岡教育大学があることを決して忘れないでいただきたい。
 皆さんの課題の解決に、本学がかかわることができれば、望外の幸せです。

 卒業生、修了生の皆様が、希望に満ちた人生をしっかりと歩んで行かれることを祈念して、式辞といたします。

                                      平成30年3月23日
                                          福岡教育大学長
                                            櫻 井 孝 俊

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